05/13 「あの頃論」
というわけで、まあそのなんてんですか、変な話ですけども、まあ36年も生きてるとね、いろいろあるわけじゃないですか。そらね、36年間の年輪が人生という幹に刻まれてくるわけです。どっから借りてきた言葉だか。
もしかしたらあれだ、学校に入学しましたとか、あるいは新しく会社に入りましたとか、そういう環境が大きく変わってだ、新たにここを見始めている人とかいるかもわからないませんね。はじめまして。何を血迷ったか知らんが新しく見にくるようなとこじゃないぞこんなとこ。36歳童貞のハゲかかったおっさんがひとり運営してるようなあれだしな。君らの求めている情報も出逢いもアバンチュールもここにはないからな。こんなとこ見に来てる時間があるなら青春しろ、青春。
これな、あれなんですね、20代の後半とか、もっといえば20歳から30歳になるときとかそういうときに顕著なんですけど、若返りたいっていうかなんていうか、あのころに戻りたい的なことってのがどうしてもでてくるわけですよ。なんかこうなんだ、別にノスタルジーに浸るとかいうんじゃなく、あのときこうだったらこうだろうなあ的なものでもなく、さらに強い感情ですね。もうあのときに戻って過ごしたい、あの頃はよかった、みたいな。
いやま、そこで思い描いている「あの頃」だって相応に悩んだり苦しんだりしてるはずなんですけど、まあ少なくとも今現在それを通過して生きてる段階で、その悩みってのはいま抱えている悩みに比べたら些細でどうしようもないものだったよなあってな思いがあるわけです。
なんかさ、明日から中間テストなのにこれっぽっちも勉強してないとか、勉強してないから帰ってきたテストが目も当てられない結果になっててどうしようとか、明日の宿題まったくやってないのにもう夜になったとか、まあそういう悩みってのは少なからずあってだね、それはたぶん今も昔も変わらないっていうかだ、今時分そういう中学生高校生くらいの人のい悩みっていうかそんなのを見てるとね、まあそんなこと云ってるわけですよ。
そらまあね、この36歳の今になってみればだ、そんなことをなんとか知恵袋に相談する暇がったら公式のひとつも覚えろってなもんですし、そもそも今になってようやく体系的な勉強っていうのかな、教科書というのは実によくできていて、頭は優しく終わりは難しくみたいな、それをまじめにやれば一通りの知識みたいなものはつくようになってるというそういうシステムの中に組み込まれた勉強ってのをもう一回ちゃんとやってみたいみたいな、そういう思いがあるわけですよ。
だもんでさ、自分が中学生の頃なんて、思い起こしてみるに授業中なんて寝てるか教科書に落書きしてるかノートに自分の理想のスカイラインGT-Rのスペックとイラストを描くかのどれかですよ、先生の話なんか聴いちゃいないわけで、こんなもな勉強なんかできるようになるわけがないし、それでもまあ国語とかは割と本が好きだったせいでどうにでもなるんですけど、英語とか数学とかそういうものには後々大学卒業するまで苦しめられることになりますからね。
まあ、英語なんかちゃんと勉強したところで会社入って受験英語を使わなくなればそんなもんすっかり忘れるもんで、浪人時代にあれだけ必死で頭に叩き込んで入試をクリアした文法とか活用とかそんなものすっかり忘却の彼方ですけど、数学とかね、あれはいまちゃんと体系的にやっておけばよかったなあとほんとに思うわけです。
あたしはあの頃、いやま今でもあんまり変わらないんですけど、ああいう「理詰めで物を考える」ってのがものすごい苦手でしてね、あの頃からいたでしょう、数学の証明問題ってんですか、△ABCと△ACEが相似であることを証明せよ、みたいなのを、パズル感覚で楽しんで解いてる人。あたしがうんうんうなってる問題をだな、もうむっちゃ楽しそうに解いてるわけです。
まあその確かにそのとおりでさ、たぶんパズルみたいなもんなんだと思うんですよ。糸口をみつけてそこから逆算して理詰めで解いていけば解けるんでしょうし、そのプロセスが楽しいみたいなこともわからないではないわけです。それってなんだ、10セント硬貨4枚と5セント硬貨3枚を使って100セントの支払いをするにはどうすればよいかみたいな問題とかと同じですからね、いやこれはいまそれっぽい問題を適当に考えただけなんで、不可能っていうか答えは「店員を殴って奪う」しかない問題なのでこんなものをまじめに考えられても困るのですけれど。あれなんでセント硬貨なんだろうな。ディナールとかフォリントとかじゃだめなのか。いや円でいいだろ円で。
温泉宿に置いてある誰がやってんだかわかんない娘脱出ゲームみたいなやつとかもそうですし、さらにはあれだ、ルービックキューブとかもそうなんでしょうけど、理詰めで考えていけば必ず解けるものってのは、逆に云えば理詰めで考えなければ絶対に解けないわけなんで、数学とかってのはいうなればそういう思考回路を育てましょうみたいなことだと思うんですけど、なんにしてもそういう考え方に慣れるというか、そういう考え方ができるようになるためのプロセスみたいなものじゃないですか、そういうあれなのですけれど、そういうものから逃げて逃げてここまで来てしまったのでありますなあ。
んでな、何が云いたいかってとだ、そういうのって体系的に組み上げられた勉強をまじめにやってれば、比較的楽に身に着くはずの技術なはずなんで、今になってみるとそういう勉強ってのをちゃんとやってみたいみたいなことがあるわけです。
ええと何の話だっけ、そうだとにかくな、そういうこうなんだ、あのころに戻りたい的なものってのはあんまりなくてですね、いやまあ「それ自体が絶対に無理である」ということを悟ってしまったからというのももちろんなくはないんですけど、なんだろうなあ、こう歳を重ねていくってのもそれはそれで悪くないんじゃないかなみたいなこともあったりするわけですよ。
なんだろな、20歳とかもっと云えば30歳の前半くらいかなあ、それくらいまでってさ、なんかこう過去に未練があったっていうのかな、もしかしたら過去にこうしてればもっとよくなってたかもしれない的なものとか、なんかそんなようなことがあったんじゃないかなとこう思うわけです。
でもまあ考えるまでもなくそんなことはないわけでな、別段過去に戻ったってもう一回同じ人生やり直すに決まってるじゃんなみたいなことを思うとだ、なんかもう一回受験とか就職活動とかそういうボス戦をやりなおすのもめんどくせえなあみたいなこともあるわけだよ。のんべんだらりと人生のいいとこどりだけできりゃいいけどさ、少なくともそのボスを倒さないと今以上にはならないわけじゃんな。
ってのもあるし、まあそのなんだ、今になって考えてみればな、今回の人生ゲームもそんなに悪くはなかったんじゃないかなみたいなこともあるわけです。いやまあなんか人生終わるみたいな云い方ですけども、そらな、不満なことなんか山のようにありますしあのときああしときゃよかったみたいなことだってこれまた山のようにありますけども、なんかそういうことじゃなくて、結果たどってきたこの道だって捨てたもんじゃないぞみたいな、そんなようなこともあるわけだよ。
おそらくな、そういうのに気づくっていうか、なんかそれはそれでってことってのは、やっぱりなかなか気付きづらいんだよな。上にも書いたけど、もしかしたらもっといい人生があったかもなあって絶対思うじゃない。
そらもしかしたらそうかもしんないですよ、ちょっと違ったらいきなりもうものすっごいモテモテになってていまごろ子どもがいてなんか幸せな家庭を築いてたりしてだ、こう社会のためにものすごい役に立ってるかもしれないわけですけれども、それって結局可能性の問題でな、ある程度自分自身ができたところからやりなおしたって結局もう一回同じ苦労するだけで、今以上によくなるってのはないんじゃねえかなあみたいなこともあるわけです。戻るんなら精子の段階まで戻ってあたしが着床しようとするのを誰かに邪魔してもらうしかないわけでな。
だもんでな、まあもし将来にだよ、そういう機械が発明されてな、ってもう云ってることがもうどうしようもないですけど、まあ多少金額を払えばそういうこともできますってなことになったとき、じゃあそれをやるかってのは結構迷うところだと思うんですね。だってもう、あの頃は悩みもなく毎日毎日が楽しかったなあなんてのは幻想もいいとこだし、そら今になって思えばどうしようもなく小さい悩みでも、あの頃には心の奥底から悩んでたんだから。あたしがどれだけ高橋さんのことが好きだったかってことですよ。なに聞いてない。そうかそうか。
まあな、そらね、若いほうがいいっていうか、若さが武器っていうところってのは数多くあってね、たとえばあたしがいまから就職活動をしようったって、この年齢じゃもうちょっと、ってなところはたくさんあるわけだよ不条理だけど。特に未経験の業界みたいなところにあたしが飛び込みたいみたいことを思ったとしてね、とにかくやたらめったらに受けたってね、なかなか受かんないですよどう考えても。いかにこういう社会が間違ってるかを説いたところで、今現在そうなってんだから仕方ないんですな。
世の中のほとんどの事項ってのは、基本的に若さみたいなものをものすごく求めるわけで、こんな36歳童貞のおっさんを欲しがるシチュエーションなんて存在しないわけじゃないですか。急募!36歳童貞の男性!なんて募集が求人誌とかに載ってたらまず間違いなく詐欺を疑うレベルですよ。いやこれほんとだったとしたらそっちのほうが怖いな。なにをさせようとしてんだそいつらは。
けどまあ実質的にもう一回若くなるってのは無理な話だし、人間誰だって歳とるんだから、それをどうこう云っても仕方ないってかな、上にも書いたけどどうしてもそうしたいかってとそれもないってのは、結局まあ紆余曲折、浪人もしたし就職浪人もしたけどもさ、結果的に第一志望の学校入ってさ、第一志望の業界で仕事できてるってのがあるわけなんで、まあそういう意味ではこれ以上贅沢いえますかってことだと思うんですよこれ。そらその代償として36になるまで童貞をキープもするわなってなことでな。いやそれはどうだろ。
ってなことだからさ、あれだよ、これを読んでる若い人ってのはだな、まあ後悔しない程度に若さを満喫しておかないとだ、後々になってもどかしさを感じることになるんじゃないかと思うんだな。青春しろ青春。
しかしもうな、こういうこと云いだしたらいよいよおっさん化のはじまりだよな。
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