02/14 「バレンタインデー論」

 というわけで、なんてのかな、君たちあれか、バレンタインデーくらいこんなところチェックしてないでなんかこうなんだ、建設的なことをしたらどうなんだとこう思うわけですよ。おめえはあまつさえ更新してるじゃねえか的なことはともかくだ。久しぶりの更新がこのはじまり方だもん。見に来てる人ある意味すごいと思うよ。我ながら。
 なんだろうな、これを見ている人の年齢層ってのがどんなもんなのかあたしにはまるっきりわからないのですけれども、割と未来ある若人ってんですか、あたしみたいなハゲかかった童貞のおっさんじゃなくて、なんか明日から期末テストですみたいな、いくらなんでも若いにも限度あるだろみたいな人がさ、こんな高さをかけて2で割ると面積出てきそうな底辺のね、「Yahoo!きっず」とかだと余裕で表示すらされないこのまるっきり将来のために役にたたないことでおなじみのサイトを見てるわけでだ、君らもっと青春しろ、青春。
 そもそもだ、バレンタインデーなんてものは学生のためにあるようなもんでさ、これが社会に出てみなさいよ、そりゃね、チョコレートはもらえますよもらえますさ。会社に女性の社員いますもの、そりゃくれますよ。だけどもだ、渡すほうも思いっきり「まあ、そういう習慣だから仕方ないよね」くらいのあれでだ、もらったからどうなるでもなしですよ。それで「もしかしたらこいつおれのこと好きなのと違うかなあ」とか絶対おもわないわけだ。
 それがどうだ、学生にはそんな習慣ないじゃないですか。わかんないけどもさ、女子がクラス全員に義理でチョコレート配るとかないだろたぶん。ってことはさ、たとえ義理だったとしてもだよ、もらったらもらったでなんかこう夢が膨らむっていうか、勘違いのひとつもできるわけじゃないですか。もしかしたらあの子おれのこと好きなのとちがうかなあ、みたいなことを思いながら家に帰ってチョコレートを眺めたりとかそういうことですよ。
 そういうなんだ、期待しながら下駄箱あけたり、体育館裏に呼び出されたりそういうのが青春なんであってね、社会人がだよ、「ちょっと会社の裏に来て」なんて云われたら間違いなく「おまえクビ」か「実はすごい投資の話があって」か「脱サラしてラーメン屋はじめないか」かそんなところですよ。ろくなもんじゃない。
 つまりまあ、社会人にとってな、バレンタインデーなんてのはあれだ、1年に1度の通過儀礼みたいなもんでだね、そこでなにかこう淡い思いを抱くとか、なんかこうそういうあれではないわけだな。君らなにか大なる勘違いをしているようだけれども。
 まあとにかくね、そういうなんだ、愛恋沙汰に縁がなくても、ひいては童貞のまま36になってそろそろいろんな意味でリーチかかっててもだ、まあいちおうバレンタインデーというイベントは来るわけだよ。節分の豆まきみたいなもんでな、そこになにかあるではないわけだ。
 そりゃね、ライブにも行きますよ。いやね、行ってきましたよライブ。『アイドルマスター』の。なんだい画面の前の君のその怪訝な顔は。そらあライブくらい行くだろうどうやったって。
 なんかね、ここを長いこと見ている人ならもしかしたら感じていることかもわからないのですけれど、あたしはどうもそういうことに対して斜に構えてるっていうかさ、クラスで必ず一人いるじゃないですか、みんながわーってバカバカしいことで盛り上がってるようなとき、心の奥底ではそれに入りたいんだけどなんかそれができなくて、できないがゆえに拗ねてるっていうか、「あんなバカバカしいことやってらんねえよ」って云っちゃうような友達いないやつ。
 なんかああいう感じだったのですけれども、まあ、久しぶりにディープにハマりつつあるコンテンツですしね、昔と違ってある程度カネに余裕もありますし、あとはマインドの問題だな、ということでして、ライブとかそういうものも積極的に行ってみることにしたわけです。
 まあそれだけならあれなんですけどそれだけじゃなくて、あのほら、コールっていうんですか、昔でいうとパンパパンヒューみたいなそういうやつとか、あとサイリュームってんですかね、あの光る棒とかさ、ああいうのってあたしみたいなやさぐれた友達いないやつが一番嫌うやつじゃないですか、そういうのもさ、今回やってみようじゃないかと。
 いやー、がんばったね。なんせさ、コールなんて覚えなきゃいかんわけですよ。だって、みんなが叫ぶタイミングで叫ぶからいいんであって、これが見当はずれなところで大声出したらみっともないだけですからね、必死に覚えましたさ。もうな、大学時代のテストなんかよりよっぽど勉強したもの。
 でな、当日になってみるとだ、まあやっぱりね、今まで36年の人生の中でまるっきり抜けてる文化ですからね、いきなりほっぽり出されたってできないですよ照れくさくて。まわりがやってるからいいだろうとかそういう問題じゃないわけ。自分の中の理性というタガをはずさないといかんわけよ。
 でな、外したね、タガ。最初はゆっくりだったけども、ある程度まで抜けたらすぽーんと外れたね。もう叫ぶわ棒は振るわえらい騒ぎ。フッフーとか云ってんの。いやね、そら若い人ならいいですよ、フッフーも。あたしなんかもう36ですよ、世間で云ったらね、中学生の子どもがいたってなんら不思議じゃないってのに、はーいはいはいはいですからね、そりゃ順当に童貞ですよ。なにか文句あるかってなもんです。
 ただね、困ったことにこれがもうむっちゃくちゃ楽しかったわけだな。いやな、もともと曲聴きたくて行ってるわけだから、それだって別に十分に楽しめるわけなんですけども、そこへきてなんだ、この一緒に騒いじゃおう感ってんですか、なかなかないわなあ。この歳になってそういうの初デビューですよ。間違いなく実家の両親が見たら泣くと思うよそれは。来月童貞の兄をさしおいて弟が結婚するってのに。それで次の日に全身筋肉痛になってりゃ世話ないもの。
 まあつまりなにが云いたいかってとだね、ある程度の年齢になってくるとだね、社会環境みたいなものが変化を許してくれないわけなんだよ。だからこう自分で変えていくしかないわけだ。変化がないと愚痴り、腐っていくくらいなら、自ら新しいことに飛び込んでいくその覚悟と決意が必要だってことなんだよ。
 でな、それと同時に、年齢だとか時代だとか環境だとか、そういうものに対して保守的になってきたとしても、踏み出そうとすればそこに足場は必ずあるんだな。必要なものは、変えようとする意思なんだよ。なにかを変えようとする時代をいっしょに作っていこうじゃないか。
 まあ、かっこいいこと云ってるふうで、実はただ単にライブでフッフー云ってきただけなんだがな。いや『ビジョナリー』は名曲だったぞ。


戻る