07/19 「宣伝論」

 というわけで、今の世の中、宣伝するにも才能がいるってことなんですよ。
 そのなんてんですか、ネットサーフィンってんですか、だっせぇ言葉だないまあえて使ってみると、いやまあそれはともかくとしてそういうことをしてるとさ、掲示板とかブログとか、そういうのに「貴重な場所をお借りします」かなんかではじまる宣伝の書き込みってのが散見されるワケなんですけども、ああいうのって見かけると決していい気持ちはしないワケですよ。
 スパムメールとかも、最近うちのページはメールフォーム形式にしてしまったのでめっきり来なくなりましたけど、ああいうのもまあ無意味無作為に送りつけられる宣伝ですから、「宣伝」=「迷惑」みたいな感じになりつつあったりもするワケです。
 まあ、ネットの書き込みにしてもスパムメールにしてもそうなんですけども、ああいうのを見てさ、「それはいいものだな、ちょっと買ってみるか」ってならないと思うんですよあたしは。いやな、間違ってクリックさせてそれでカネを取ろうとするみたいなものは目的がまったく違うので別として、単純に商品とかウェブサイトとかの宣伝をだよ、たとえば1000個のブログのコメント欄に書きこんだとしてだ、それでもし万が一1個売れたとしても、その数百倍の人から嫌われてるっていうか、こんなうっとおしいことしてくる業者からモノなんか絶対買わねえ!って思うと思うんですよ。
 もちろんメールを大量に送りつけるのもブログにツールで宣伝を書きこむのも、郵便とかと違ってとくにカネがかかるではないですからね、やってみて1個売れたら儲けもんじゃん、って考えなんでしょうけど、もうそれによって失った数百倍の信頼ってヤツはさ、絶対戻ってこないワケですな。
 つまり、基本的に宣伝ってヤツは「すればするほどそれを望まない見ている人にはノイズであり、不快にさせる」ってコトなんですけども、世の業者ってのはなぜかそれに気が付かないのか気が付いていてわざとやってるのか、コメントスパムとか掲示板スパムみたいなやつってのは絶えないわけです。
 まあ、よく云われる「いい商品なら宣伝しないでも売れるハズだから、ネットなんかで宣伝してるモノなんて全部ろくでもない」っていう論法があって、それは半分真実で半分は間違いだとは思うんですが、いずれにしてもネットで絨毯爆撃的に宣伝を投下したところで、それが有効かどうかっていうのは結構微妙だと思うんですよ。
 つまり最初に帰って、才能がある人間がやらないと、ネットでの宣伝ってのはもうどうしようもないくらいマイナスであるってコトです。
 それから一歩進んだのが、ちょっと前に流行った「ステルスマーケティング」ってヤツで、こんなもなずっと前から当たり前のように行われていたんでしょうけど、コレも才能がないヤツがやると件のニュースみたいに「やってることがバレる」わけで、才能がある人間がやってるステルスマーケティングってのは、ネットの連中があれはステマだなんだと騒いでるもの以外、みんなが自分で選んで買ってると思ってるものでこそ知らない間に行われてると思うんですよ。
 才能がない人間のやる宣伝ってのは、よくある「商品名連呼」とおなじで、とにかく自分の商品はここがすごいんです!ここがいいんです!だから買ってね!っていうことだけをアピールするだけで、そんなものはそれに興味がない(ジャンル的に興味がないんじゃなくて、その商品に対しての興味ってコトですね)人にとってはどうでもいいコトでしてただただ不快なだけなんですけどもね。
 しかもこういうことをする手合いというのはだいたい「目立たなきゃいけない!」という使命に燃えているのでわざと目立つようにしたりもするので余計に邪魔さが際立つわけで、結果ただ自分を嫌ってくださいこの商品を嫌ってくださいっていうことを宣伝しただけで終わるんですけど、さらに才能がない人間だと、「この商品は本当にすばらしいと思っている」から「宣伝すればみんなが受け入れてくれるはずだ!」と思いこんで上記のような宣伝をして案の定嫌われて、「なんでこんな素晴らしいものを宣伝して嫌われるのかわからない」みたいに不貞腐れる、みたいなヤツですね。ポータルサイト作りました系に多いですこういうのは。で、そういうポータルサイトはだいたい半年後くらいに見に行くとなくなってます。
 うちもさ、朝起きて会社行く前に自分のアパートの部屋に投函されてるチラシとか郵便物をまとめて持って行って会社で処分するんですけど、まあそのなんだ、芸のない宣伝が多いことこのうえないわけですな。
 やれ近くにマンションができたから買えだの美容院10パーセント引きだの、ほんとにただゴミになるだけ。もったいないことこのうえない。たいせつにしよう限りある資源。こんな安普請のアパート住んでるやつが新築高層マンション5千万円!とか云われたって買えるわけないだろ。考えてもみろよ。
 かくしてネット上では「宣伝=害悪」という風潮が生まれてくるワケでして、これはもういままで宣伝をしてきた業者自らの責任ですしね、恨むんならそいつらを恨めってなもんでして、コレはアレだ、原発に反対することがカッコ悪いっていう風潮をどうにかしたいんなら、まずは原発に反対することをカッコ悪くしてしまった反原発芸能人たちを恨んでくださいってなもんでしてね、まあそのなんだ、味方に撃たれてる感じはするんですよ。
 だいたいさあ、そもそものところに立ち帰りますけども、行きつけの掲示板とかがあるとしてさ、別にそれが普通の掲示板でも匿名の掲示板でもなんでもいいんですけど、そこに見も知らない業者から書き込みがあってだ、そこからモノを買う気になるかいってコトですよね。
 まあモノを買うでなくても、上に書いたようなポータルサイトでもいいんですけど、なんかそこにいきなり業者からの宣伝があって「ポータルサイト作りました!登録してください無料です!」って書いてあったらさ、まずは絶対に怪しいなあとしか思わないじゃないですか普通。なんかあとからいろいろ請求されたり迷惑メールが来るようになったりするんでしょどうせってなもんでしてね。なんか便利そう! 登録しよう!ってならないと思うんですよ。
 とはいえ、じゃあ新しくポータルサイトを作ったり新商品を作ったりしたらどうやって宣伝したらいいのさってと、才能があるひとはそれなりに才能を駆使してやればいいし、才能がないなら相応にカネをかけるしかないワケですよ。才能がない人でも安く簡単にできる宣伝なんてたいてい宣伝にならないどころか逆効果なんですね。宣伝されるほうは迷惑に感じ、宣伝するほうはただ嫌われるだけという、結果として誰も得をしない結論になるんですけど、それにみんなが気付けばネットの中ってのはもうちょっと平和になるんではないかなあ。
 たいていこういうのって、簡単に無料で使えて、かつ昔は栄えてたけどいまはちょっと寂れ気味で宣伝に対して反対する人が少なくなってきた頃に目立つもので、いまはミクシがそんな感じですけども、ツイッタもだんだんとそういう感じになりつつありますね。だからもうぜんぶ逆効果だって。ツイッタで知らん人にいきなりモノを宣伝されたって買わないって。
 あとさ、スパムメールとかで「こんな面白いタイトルのスパムが来た!」って喜ぶのはなんか違うと思うんだよ。スパム自体がいまは法令違反なんだから。どんな面白いタイトルだろうがいらんものはいらん法令違反じゃって糾弾しないと、「おもしろけりゃいいのか」ってスパムが増えるだけのハナシだよ絶対。そういうのをナアナアで許したらいかんのさって。
 しかしまあそこへいくとこのサイトなんかすごいことになってるよな。コミケとか出ます!って自分のサイトで宣伝したところでひとりも来ないっていう、そのなんだ、君ら本当に行動がブレないなと思わず感動してしまうってなもんです。そこで実際にへえそんなん出てるんだちょっと見てみようかなってなことを思ったら負けみたいなそういうあれか。それについてはおおむね正しいけどもな。そこまでで完成するひとつのコントだよねコレ。いやいちおう来てほしいと思ってるんですよ? 毎回泣いた赤鬼みたいになってるんですよ?
 いやまあね、宣伝したところでその宣伝したものに魅力があるかどうかってのはまた別のハナシですからね、それでも興味を持ってもらえないって点ではあたしが悪いんでしょうけど、そういうのないとほんとにここ35歳童貞ってのがどれだけ社会において肩身が狭いかみたいなハナシばっかになるけどいいのかそれで。いいのか。


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