07/18 「ゲーム論」

 というわけで、そのなんてんですか、人間一度でも贅沢を覚えるとなかなか元には戻れないというか、上り坂の苦労はできるけど下り坂の苦労はできないっていうかな、まあそういうようなあれですよ。
 つまりなにが云いたいかっていうとだ、なんかの拍子に連続更新めいたことをしてみたわけじゃないですか、んでな、そのあとこう一気に仕事が忙しくなってだ、ちょっと間があいた瞬間コメント欄に溢れる罵倒の嵐ですよ。もう泣きたくなるくらいのな。やれバカだの死ねだの童貞だの嘘つきだのハゲだの。だからハゲは関係ないだろハゲは。気にしてんだから云うなそういうことを。
 だいたいな君ら考えてもみなさいよ、いままで月一どころか2ヵ月に1回くらいの更新ペースになってたこともあってだ、それがいきなり3日連続で更新したってことは単純計算向こう6ヶ月は更新しなくても責められないってことではありますまいか。
 まあアレだよ、毎日更新してみても見に来てくれる人が6人から8人になっただけでますますもってなんのためのサイトなんだかさっぱりわからなくなってきましたけど、そもそもこのサイトって昔みたいになにかこうゲームのサイトですみたいな看板があるでもないしさ、そんな漠然としたテーマでなにをそんな毎日のように更新しろってんだってことだよな。開き直りやがったなこの野郎。だって実際問題として35歳のハゲかかった不細工なサラリーマンのおっさんが今日はなに食べましたとかこんなもの買いましたみたいな日記書いたところで読みたかないだろ君ら。あたしだったら読みたくない。なにいまも別に読みたかない。そうかそうか。
 そのなんてかな、年取ると昔話が増えるっていうから、あんまりこう老けこんだようなことしたかないんですけども、ってももう35ですからね、おっさんに片足突っ込んでるってか、ストレートにおっさんなんでどうにもならないんですけど、このサイトを作ったばかりのころってのはさ、それこそそのいわゆるギャルゲーとかエロゲーとかそういうののサイトだったワケですよ。
 だもんだからさ、そのときはある意味それについてだけ書いてればよかったわけなんですけども、いまほとんどまったくと云っていいほどギャルゲーエロゲーってやってないですからね、もはやそういう人が集まっても今度はあたしがそういうハナシについてけないワケですよ。とくにエロゲーなんて最後にやったのはいつだっけってなもんです。
 別にゲーム自体をやらなくなったわけじゃなくて、それこそ『アイドルマスター』はDSもPSPもPS3もやってましたし、いまでは『世界樹の迷宮4』とかすごい楽しんでやってますけどもね、『アイドルマスター2』以外は共通して携帯機なんですよコレが。
 んでね、やり方自体も、ゲームをやるために時間をとるっていうよりも、電車の中の移動時間とかなんかそういうときしかやらないだもんで、もうな、1ゲームクリアするのにえらい時間がかかるわけですな。クリアの概念がないものなんかだといつやめたらいいのかわかんなくなるもの。『A列車でいこうDS』なんか結局1年近くやってたものな。
 云いかえると、テレビなりパソコンの前に座って長いこと進めるという、いわゆる昔ながらのゲームってのはさ、えいやって思いきってやらないとなかなかできなくなってる感じはあるワケですよ。いちど始めちゃえば結構長いことやってるんですけど。
 まあそもそも、ゲームだって遊びなんだから、遊びにそんな気合いがいる時点でもういろんな意味で変わったなあってなもんなんですが、それがパソコンでやるエロゲーってハナシになってくるとさ、導入部分っていうか出だしの最高でも1時間くらいかな、そこでピンとくるものがないともう続かないですよね。集中力切れちゃうもの。
 なんだろうな、いわゆる「全部クリアまで8時間!」みたいな大作ってのが、いまのエロゲー業界にどれくらいあるのかわかんないんですけど、こういうのってえてして助走時間っていうかしばらくはぼちぼちローテンションなハナシが続いて、そこから徐々に高度が上がっていって、最後に最高高度に到達する、みたいなのが多かったワケですよ。
 まあね、物語の作り方を考えればそれは当然のハナシですし、その頃だったらそれも耐えられたんですけど、いまはもうダメなんですよね、なにかしら引っかかるところがないと続けられないわけです。
 もちろん物理的に時間がないみたいなこともありますけど、なんだろうなあ、ゲームとかって上にも書いたとおり「遊び」なワケで、遊びでなにかこう耐えなきゃいけないってのがなんかこう許せないっていうかそういうのがあるワケですよね。
 あとはまああれかなあ、昔だとわりとパッケージとか雰囲気とか、そういうのを見てなんとなく「やってみたいなあ」っていうゲームがぽつりぽつりあった気がするんですけど、今はそういうのもなくなってきてしまったってのもあるかもなあ。
 いやもちろんね、実際にやってみたら面白い作品はまだまだいっぱいあるんでしょうけど、それを探しに行かなくなったっていうかな、そういうのはあるかもしれないなあと思うんですよ。これはまあこないだ書いたキャラクタのファンになるって話と通じるところはあるんですが。
 いまだから云えるハナシですけど、こうなんだろうな、もう長いことゲームレビューのサイトってのをやってますけども、実はほかのひとのレビューを見たことってのがほとんどなくて、だもんであたしのレビューって云うのがどういう立ち位置のものなのか、もっと云えばあそこをちゃんと見ていた人はいたのかまったくわかんないんですけど、少なくともああいうのを書くからにはそれなりにゲームの数をこなさなきゃいけないわけでね、それが結構大変なんですよ。物理的に時間とりますからねゲームは。
 まあそれでも極力省力化っていうか、基本的に自分がやりたいと思ったものしかやらないから、なんかこう同人ソフトを作っておられる方とかから「無料でさしあげるのでうちのゲームをレビューしてください」みたいなオファーも実際のところ何回かあったんですけどお断りしてるワケです。そらそのゲームはやってみたら面白いのかもしれないけど、まずは自分の中で動き出すものがないとやっぱり続かないんですよああいうのって。頼まれたからやるってんじゃ絶対もたないんですな。
 そういうことからするとさ、まずその「動き出す」までってのがなかなか難しくて、学生の頃なんて唸るほど時間ありましたからね、それに対してやることは少ないしカネはないし、そらもうゲームくらいしかやることないですよ、ってなもんでずっとゲームやって、そりゃ多少最初が低空飛行でも耐えてやるくらいのことはなんでもなかったんですけど、今はこう「時間が開いたところでゲームをやる」感じにならざるをえないんで、どうしてもその低空飛行の時間っていうか、「遊んでるはずなのに耐えている」状況がダメなんでしょう、きっと。
 まあそのなんだ、それにくわえてさ、あんまり認めたくはないけども、やっぱり年齢を経ることによっておもしろいと感じるものが変わってくるって事情も少なからずあるとは思うんですよ。
 テレビで考えるとすごくわかりやすいんですけど、あたしが小学校とか中学校くらいの頃かなあ、『とんねるずのみなさんのおかげです』とか『やまだかつてないテレビ』みたいな番組がすごい流行ってて、クラスみんなでそのテレビのハナシをしててさ、つまりはそのテレビを見てないことには話題にもついていけないみたいなことだったんですけど、何度かここにも書いてる通りうちにはテレビ一台しかなくて、両親が別の番組……当時はプロレスとか野球が多かったですけど、そういうのを見てるとあたしは見られないわけですよ。見たいから見せてくれって云っても、あんなくだらない番組見なくていいみたいなことになるワケです。
 でな、当時のあたしからしてみれば、「両親はなんでこんな面白い番組を見ないでいられるんだろう?」と心から不思議に思ってたワケなんですけども、いま当時の両親の年齢とおなじくらいの年になってみるとさ、いまやってる同じような番組なんて見たいとも思わないワケじゃないですか。
 それをさ、「昔に比べてテレビがつまらなくなった」って云うのは簡単なんだけど、そうじゃないと思うんだよな。なんかこうなんだ、そういう番組のターゲット層ってのはもともと小学校中学校くらい、せいぜい高校生大学生くらいのもので、あたしがそういうテレビのターゲット層から外れたってだけのハナシなんだよきっと。
 逆にその頃両親はニュースとかをすごい見てて、こんなもん何が面白いんだと思ってたけど、今じゃうちで見るテレビなんてそれこそニュースくらいのもんですからね、逆にそのターゲットにあたしが入っていったってことなんでしょう。
 だもんで別にテレビに限ったことじゃなくて、「最近の**はつまらない」ってのはさ、年齢を重ねることで感性が変わってきて、それによってその「**」がメインターゲットにしてる年齢層から外れただけだってハナシだからさ、なんつうかまあ大人になったってことなんだよな結局な。最近の若い奴は、も同じかもしれないけど。
 そういうことからすると、ゲームもたいして変わんなくて、もちろん作り手側がそれを意識してるかどうかは別にしてってハナシですけども、たぶんメインのターゲット年齢は20代とかなんじゃないかなと思うワケですね。「昔のほうがゲームは面白かった」みたいなことでは絶対にないと思うんですよ。
 そらまあもちろん、テレビでもゲームでもそうなんですけど、時には年齢不相応なモノにハマることだってありますよありますさそれは。でもまあむしろソレがイレギュラなんであってね、ゲームでもなんでも、10代20代の頃に楽しんでいたものが昔のようになんでもOKってわけにはいかなくなるってのは、まあ自分のことに置き換えてみてもままあることだとは思うんですよね。
 そう考えればさ、昔やって面白かったゲームとか、逆につまんなかったゲームとかさ、いまになってやってみればまた違うとは思うんだよな。
 なんかさ、中学生のときに大人ぶって読んでた本とかあるじゃないですか。そういうのって当時はわかったつもりになっていて、実際のところこれっぽっちも理解してなかったけど、いま改めて読んでみるとちゃんと云ってることがわかるってのはよくあるハナシだからね、ゲームとかでもきっとそれはおんなじだと思うんだよ。もちろんわからないならわからないなりに考えるのが面白かったりもしたし、ほんとにわからないままってのも多々あるだろうけど。
 だからまあね、あくまでも悲劇を語ってるわけではなくて、それはもうそういうもので、新しく面白いと思うモノが出てきたりその逆が出てきたりがあるから、決して年をとることも悪いことばかりじゃねえなってコトですな。
 童貞ですけど。

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