08/04「結婚論」

 ということで、なんてかな、もうあれですよね、やっぱりさ、結婚だと思うんですよ結婚。
 最近、ことここの文章は、ネタのひとつもない真面目な文章とか旅行記とかは誰も興味を持たず、かと云って彼女が欲しいトークをすると今度はお前の努力が云々と怒られるという非常に大きな矛盾を抱え始めておりまして、もうなにを書いたらいいのかさっぱりわからなくなってきているんですが、もういいよこうなったら欲望だけを書き連ねていくさ。
 もうなんだ、彼女がいるような充実した生活を送っている人はこんなとこじゃなくてもっとこう明るく楽しいウエブページを見に行けばいいじゃないか。こんなね、気まぐれにテレビ出たら外見については「不細工」「ハゲ」以外の感想がまったくなかった奴のページなんか来るもんじゃないよ。「こいつ一生彼女できねえな」ほっといてくれ。
 でさ、結婚ですよ。もうねなんてかな、よくよく考えてみれば、あたしみたいなのにとって、世間ではあたりまえにこなされているにも関わらずこんなに難易度の高いイベントもそうはないわけです。
 なんかさ、こないだちょっとした用事で結婚している夫婦(子ども1人)と行動をともにすることがあったんですけどもね、もうなんかそういうの見てるとさ、やっぱりそういうのこそ幸せのかたちなんじゃないかとこう思えてならないわけです。
 いやね、そりゃ一人は気楽ですよ。何買うにも相談もいらないし、自分のことだけ考えてればいいし面倒もないし、そりゃもう趣味を楽しむといううえではこんな恵まれた環境ないでしょうよ。
 でも人生そればっかりじゃないじゃないですか。やっぱりなにか守るべきものがあってこそ、みたいなところあるわけじゃないですか。
 なんてかあれじゃないですか、上にも書きましたけど、こんなにみんな普通にこなしているのに難易度の高いことないわけですよ。実家に帰れば両親も「結婚はまだか」とか云うじゃないですか。これはまあその普通なら普通にこなせることだからであって、「お前はいつ総理大臣になるんだ」とかは云われないわけですよ。
 あたしなんかもう33ですからね、今年の12月には34ですよ。もうね、一番多感な17歳のころからすればダブルスコアですからね、あの頃まさかダブルスコアになっても結婚してないどころか女の子の手も握ったことがないだなんて思ってもみなかったなあ。なんか素敵な彼女と幸せな家庭を築いてるもんだとばっかり思ってた。
 そもそもさ、何年か前にだらだら遊んでた頃は、なんかまわりの人も別に結婚してるとかそういうのなかったんですけども、最近になってみるともうそろそろ結婚してますみたいな人も増えてきてしまっていて遊んでくれなくなっちゃってさ、なんかそういうのを見るたびに焦ってもくるわけですよ。
 そうかと思えばなんかもうね、世の中にはバツイチとかなんとか、何度もやってる人もいますからね、その反面でコンカツとか云ってる人もいるわけで、こんなに差が極端なものがあっていいだろうかいやよくないわけです。
 いやね、まあそのなんだろうな、どっちが幸せかとかなんとかそんなこと一概には云えないですけど、やっぱりそのなんだ、誰もいない真っ暗な家に帰って半額で買ったアジフライかなんかを電子レンジであっためて食って誰とも会話せず寝る生活よりも、家に帰ったらお嫁さんとか子どもがいてだ、なんかご飯とかもちゃんとあって、くだらないこと話したりしてみたいなそういうのなんかいいじゃないですか。それこそなんかごくありふれた人並みのシアワセっぽいじゃないですか。
 いやこういうこと云うとさ、既に結婚してる人とかから「いや一人のほうが気楽でいいよ」みたいなこと云われるんだけどもさ、そりゃあんた33にもなって結婚どころか彼女ができる兆しもない状態に置かれても同じことが云えますかってなもんですよ。衣食足りて礼節を知る、という言葉を送りたい。中には「ほんと結婚(彼女)とか大変だよ。お前と代わりたいよ」とか云うやつもいてもうねなんてかほんとに代わりたいかと。いっぺん代わってみるかこの野郎。不細工童貞甘くみんなってなもんです。
 なんかね、あれなんですよ、別にべたべたする結婚生活っていうか、なんてかな、「ご飯にするお風呂にするそれともわたし」的なアレを期待しているわけじゃないんですよ。ていうかそんなこと云ってる奴いたらエボラ出血熱にかかってしまえと思いますよあたしだって。いないと思うけど。
 ほら、これが彼女とのデートっていうかお付き合いって話になると、多少甘ったるいなにかを期待したくなるんです。たとえば今なんかだと花火の時期じゃないですか、なんか待ち合わせ場所に浴衣姿で登場してどきどきさせられたり、人ごみからちょっと離れたそうだなあ橋の欄干かなんかに座って誰もいないところで二人なにも云わずに花火を見たりして、ふと「なんかね、花火ってすごく綺麗なんだけど、見てるとちょっと悲しくなってくるんだ」「……なんだよ、急に」「うん」まみを見ると、その目線はじっと先、賑やかに咲き乱れる花火に向けられていて「花火って、どーんって咲いてすぐ消えちゃうでしょ? わたしもあんなふうに」「馬鹿云うな」まみの言葉を遮って「何度も云ってるだろ。辛いこと苦しいことがあったら、なにがあっても俺が守ってやる、って。手術だって成功する。お前がそんな気持ちでどうすんだよ」云うとまみが微笑んで「うん、そうだったね。ごめん」ちょっとの沈黙があって「俺はさ。お前といっしょにいるこういう時間が、すごく幸せなんだよ」「……うん。わたしも」「だからこの時間を失いたくないし、ずっといっしょにいるつもりだからな。たとえお前が迷惑だったとしても」「……え?」「……なんつうかさ。お前って、ほんと鈍いよな、こういうこと」「ご、ごめん……わたし、馬鹿だから」えへへ、と恥ずかしそうに笑うまみに向き直って「こういうことだよ、馬鹿」「え……あ」驚きいっぱいのまみにキスをして、ちょうどその日最後の花火が、ひときわ明るく、そして綺麗な花を夜空に咲かせたのだった。みたいなそんなような。なんか幼なじみ的ななにかに対してすごいアレがあるよなあたしは。どうでもいいけどまだいたのかまみちゃん。まだまだ元気ですまみちゃん。なんか病弱設定ついてますけど元気です。
 とまあそんなようなアレですけども、これがこと結婚になってくると、なんてかなもっとこう普通に普通がいいわけですよ。なんだろうな、家に帰った時の安心感みたいなそんなのとか、守っていくべきなにかとか、そんなのに憧れるわけです。ぶっちゃけあったかい家庭を作りたい。守るべきものが欲しいわけです。考えが甘いとか云われようとそれがいまなにより憧れですよ。
 とはいえ、彼女のひとりもできないままそこへ到達するのは無理な話なので、そこをなんとかってなもんなんですけど、ひとつだけそういうのをすっとばしてなんとかなる方法を見つけたんですよ。
 それがお見合いですよお見合い。古式ゆかしいこの方式、なかなか馬鹿にしちゃいけない。なんかこう唐突な感じありますけど、これはこれで凄くいいものな気がするんですよね。ほらよくあるじゃないですか。お互いにぜんぜん乗り気じゃなくて仕方なくお見合いするんだけど、実際に会って話してみたらなんだかちょっとお互いに惹かれあったりするようなアレが。なんかこう和服とか着ちゃったりしてる女性と二人で散歩とかしつつ、ちょっと会話に困ったりしつつそれでもなんかお話したりしつつ、それをきっかけになんだかんだでデートなんかしたらちょっとドジなところがあったりしてさらにそういうところに惹かれたりして、みたいなそういうあれです。
 なんかこう憧れるじゃないですかお見合い。どっちにしてもあたしの人生、普通になんか女性と出会うきっかけもありませんしね、そういうのでもないとどうにもこうにもなわけですよ。
 いやほんとほかの人はどこでどう出会ってるんだろうなあ。これが本当に不思議でならない。なんかこうわかんないけど、そりゃ女性と出会うことは多々あるけどもさ、恋愛感情にまで発展するほどに出会って話をしたり仲が深まったりするのってこうなかなかだよなあ。現にあたしなんか33年間の人生のなかで一回もないもの。考えれば考えるほど自分に置き換えて想像することができないわけですよ。誘ったら誘ったで断られるし八方塞ですよねこれ。
 いやそらまあそんなもなお見合いでもいっしょっていうか、ある意味でファーストインプレッションが写真な時点で現役不細工のあたしにはかなりのいビハインドなわけですけど、そこさえ乗り越えればとりあえずそういうお付き合い前提で話はできるわけですよ。
 まあそう考えれば合コンだって大げさなお見合いみたいなもんなわけでしょうけど、アレはアレでまたちょっと違うじゃないですか。なんてか浪漫がないわけですよ。やっぱりね、そういうなんだろうな、必要なのは「ご趣味は」からはじまるそういう浪漫ですよ。
 いいなあお見合い。誰かそういう話持ってきてくれないかなあ。  そらまあ相手の見てくれとかが理想の相手だとは限らないとかなんとかそういう現実的な話もあるでしょうけどもね、改めて云っとくけども、もうある意味でこちらから百パーセント完璧な理想を求めていられるほどの余裕もなければ自分のポテンシャルもないことは痛いほどよくわかりましたからもういいんです。こんな面白面を相手にしてくれるだけでもたいしたもんじゃないかとそういうことですよ。そこへきていいじゃないかお互い気が合えばそれで。なあ。
 それでもってなんかこう結婚したりして、子どもができたりしてなんかえらく落ち着いちゃって、ここにこんな童貞妄想トークを書かなくてもすむようになったり、33歳非童貞です、とか書けるようになったりとかそういうのですよね。いやもういまほんと本気で彼女が欲しいし結婚したい。なんでこうどうにもならないのかなあ。
 どなたか結婚しませんか。もうむちゃくちゃだ。

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