07/21「長野論」

 ということで、なんてかな、最近はもう本当に長野なんですよ。長野大ブーム。時代は長野だね。なにがなんだかよくわかりませんけども。
 いやね、ようやっと仕事も一段落して落ち着いてきたんで、ちょっとツーリングでも行くかってな話になりましてですね、知り合いと二人で出かけてきたわけです。しかもそこまで書いといて一日目は群馬ですからね、もうなにがなにやらですよ。
 実はここ3カ月で長野へのツーリングは2回目なんですけど、両方とも『咲』の舞台を訪れようみたいなそんなようなあれである意味清純ある意味不純きわまりないわけなんですが、まあたまにはいいよねそういうのも。なによりいつも一人旅だから二人でどこかへ行くということ自体が楽しくて仕方がないわけです。
 とりあえず、今回の乗り物はコレ。オートバイにくわしくない人には全部同じに見えると思いますが、実はコレ、サブで使っているCB750FourKという昭和53年式の古い車体でして、今回は30年以上前の車体でどこまで戦えるかの実験でもあります。前日に日焼け止めやらなんやら綿密に準備に準備を重ね、翌日朝5時半出発です。
 まず待ち合わせ場所は関越道高坂PA。朝の時間帯にも関わらず、既にバイクが大量に停まっていて、梅雨明けを待っていたバイク好きたちの血がたぎっているのがよくわかります。
 そこで相手と落ち合い、一時間ほどしてから出発。ちょっと肌寒いかなあくらいの朝の気候の中、これといった渋滞もなく軽快に飛ばし、降りたのは関越道沼田IC
 ここからは一般道の「日本ロマンチック街道」なる冗談のような名前の道をひた走り、朝10時頃に川原湯温泉に到着です。
 ここはもう、どちらかといえば「八ツ場ダム」と言ったほうが通りがいいでしょう。すっかりニュースで話題になった、「ダムの底に沈むんだか沈まないんだかよくわからないことになっている温泉」です。
 同じ群馬県内でも、たとえば草津とか伊香保とか有名な温泉地はいくらでもあって、そこだと旅館やら土産物屋やらが立ち並ぶ「いかにもな温泉街」なのですが、ここはもうそういう事情もあるでしょうし、もともとあんまりそういう雰囲気じゃなかったような感じもします。まあとにかくそういう賑々しさがまるでないんですよ。
 何年か前に来た時もなかなか凄いところでしたが、今回はそれにさらに拍車がかかってすごいことになっていて、とても三連休中日の温泉地とは思えないくらい。それでも前回よりは人がいる感じがしたのはやっぱりニュースの影響でしょうか。
 そこの露天風呂で朝から風呂に入り、飲み物を買って川原湯神社で休憩。ここがまたいいところなんですよ。なんにもないちっちゃい神社なんですけど、基本的に人がいなくてほんとに静かなんです。温泉がメインで来る人もここには滅多に来ないですし、静かに休むにはこんなにいいところはありませんってなもんです。
 実際、なにもないにも関わらず、ここに1時間近くいましたからね。たいしたものです。
 ちょっと涼んだらあたりを散策。近場の牛乳屋でそこで作っているという飲むヨーグルトを飲み、またそこでしばらく30分ほど休憩。
 この「なんにもしないでもなんとなくいられる」のがこの川原湯温泉のいいところで、正直な話見るようなところはなんにもないし、温泉地にあるような土産物屋も食べ物屋もないようなところなんですけど、でもそれでいいんですね。ただのんびりするにはこんなにいいところはありません。
 まあ、地元の人からしてみればいろいろあるんでしょうけど、あくまでも外からの無責任な云い方をすれば、この場所はこの場所で残しておいて欲しいなあ、と思ったりもするわけです。
 しばらくのんびりしたあと出発。目的地は長野方面なのですが、せっかくだからと大きく北上して白根山を目指します。
 ところがこれがもう大変。白根山の途中までは非常に流れもよくて気持ちもいいし、景色も綺麗だったのですが、山頂が近くなるにつれて大渋滞発生ですよ。さすが三連休、甘くはなかったという感じです。
 いやね、車ならいいんですよ。よかないでしょうけど、まあ、快適にエアコン効いてる中で渋滞の列を待ってればいいわけじゃないですか。でもバイクなわけですよ。バイクってね、運転したことある方ならわかると思うんですけど、右手でクラッチを握って左手でアクセルを開ける乗り物なんですよ。つまりもう右手も左手も鬼のように疲れるわけです。さらに、ちょっと古めのバイクのエンジンって、標高が高くて空気の薄い場所になると、エンジンが吹けなくなるんです。だから余計にアクセル開けなきゃいけなくて、これがさらにもうひとつ大変。なんせちょっと油断するとあっというまにエンストしますからね、常にアクセルを煽っておいたまま止まってときどき動く、という、温泉で回復した体力をすべて奪う感じで1時間ほど。死ぬかと思った。
 この渋滞がまた白根山山頂の駐車場待ちの列で、山頂の駐車場を過ぎたら一気に流れる、というのもまた腹立たしいわけです。あたしらはただ通過しただけなのに。
 そこからはひたすら南下、軽井沢を抜けて小諸方面へ。途中、浅間山麓の休憩所でホテルを予約。この時点でこの日の目的地は松本市に決定しました。
 ちなみにこの浅間山麓も非常に綺麗でした。なんかすごく空が近くに感じるんだよなあ。
 そこからはひたすら西進。小諸でちょっと駅前に立ち寄った以外はひたすら松本を目指します。途中、「松本」の標識が出たので折れてみたらなんだかよくわからんこまごまと金を取られる有料道路で非常に損した気分になりましたが、とりあえず松本までは到着しました。
 で、この松本駅前のホテルがまたすごいことになっていて、なんせ一人一泊3700円という格安価格なせいか、明らかに「一人部屋に無理やりベッド入れて二人部屋にしたよね?」というのが丸わかり。ベッドの上にロフトベッドがある部屋なんてはじめて見た。しかも鬼のように部屋が狭いというおまけつき。
 とりあえず近くのラーメン屋でラーメンを食べて部屋に戻り、シャワーだけ浴びて横になったところ、なんせ疲れていたせいであっという間に熟睡。気が付けば朝ですよ。
 翌日は朝にホテルの簡単な食事を済ませ、まずは安曇野方面へ。長峰山という小さな山へ登っていったところの景色。安曇野の市外がわーっと広がるかなり雄大な光景です。
 まあ、ここに来たのはこれこれを見に来たからなんですが。いいんです。わかる人だけわかってください。『咲 -Saki-』に登場した場所なんです。
 山を下りて安曇野の蕎麦屋へ入り、わさび菜そばを注文。で、これが上手い。今まで長野へ旅行へ行って上手い蕎麦にめぐり合えなかったのだけれど、今回はよかった!という感じですね。
 安曇野から今度は南下、塩尻へ。途中、ヤマダ電機に寄って『ラブプラス+』のご当地モードを試してみたりしつつ、目的地は塩尻市役所前にあるレザンホール。なんでこんな場所に行ったかと云えば、いいんです。『咲 -Saki-』に登場した場所なんです。
 そしてその後はそこから1キロほど離れた西福寺です。なぜかと云えば『咲』の(以下略)。
 この間に、道をUターンしようとして旋回中にギアが抜け、いきなり立ちゴケをするというこのバイク初の立ちゴケを経験したりもしましたがまあそれはそれ。おかげでミラーは曲がるわブレーキスイッチは調子悪くなるわの大騒ぎですが。
 そこからは高速道路で一気に南諏訪まで。途中、中央道原のPAで長野名物?ソースカツ丼を食べたらこれが存外に美味しくてびっくり。PAの食事なんてたいしたもんじゃなかろうと思っていたんですがこれがなかなかどうして期待をいい意味で裏切ってくれました。
 目的地は長野県内の原村なんでもない場所。なぜかといえば以下略。いいんです。そういう旅なんです。
 そこから山梨方面に一般道を走ったところにあるペンションの案内所。これも例によってなんですけど、これは原作に登場している主人公キャラの一人が住んでいる家のモデルになった建物らしく、こんなものがあって、こんなものが入っています。さらに原作者の方も書きこんでいたりしてなかなかに楽しげです。書きこんできたので行った方はご覧ください。行かないと思うけど。
 ちょうどここに来たとき、同じく『咲』ファンだと思われる二人組がこれを見ていて、ああそういうバッティングもあるのだなあと。
 あとはひたすら帰るのみなんですけど、どう帰るかが問題なわけです。北へ出て上信越道から関越、圏央道、中央道で行くか、中央道を途中で降りるか。普通に行くなら中央道で行けばいいんですが、三連休の最終日とあって大渋滞してるわけですよ。
 とりあえず中央道に向かうことにして、途中のPAでの決定は、混んでいる大月から八王子までを避けて山中湖方面へ向かい、そこから道志を抜けて橋本へ抜けるコース。
 既に日も落ちかけてきていて、しかも標高が上がっているせいで若干寒かったりもしましたが、なんとか2時間かかるかかからないかくらいで到着しました。中央道の渋滞に入っても2時間くらいで抜けられたかもしれませんが、まあ、止まってるより走ってるほうがいいやね。特にバイクは。
 というわけで帰宅が10時過ぎ。一泊二日とちょっとゆったりしたスケジュールでしたが、なかなかこういう旅行も楽しいもんです。こういうのは一人で行くよりも、そういうのが好きな人何人かで行ったほうが楽しいですね。
 まあ基本は『咲』の旅だったわけですが。

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