ということで、あれなんですよね、今までチョコレートの日についての愚痴は散々書いてきましたけど、それのお返したる３月１４日については今まであんまり触れたことがなかったんですよね。
　まあ、後からくっつけてできたものとはいえ、２月１４日がセントバレンティヌスのなんとかみたいなのに対して、この３月１４日はほんとに後付けもいいとこですからね、あんまりなんてかな、ロマンチックが止まってしまう感じがするからなんでしょうけどもね、実際問題テレビとかでもあんまり取り上げられないし、町もあれほどのにぎわいはないものな。
　とまあ、そんな不遇な扱いを受けている３月１４日ではありますが、それなりにいちおうまあ愛がどうした恋がどうしたみたいな日ではあるわけですよ。
　ただ、２月と違って、こちらから告白しましょうみたいなことよりもむしろ貰ったお返しをしましょうみたいなところが大きくて、つまりはもらえなければ返すこともできないという風潮もあり、それがゆえになんかこう今まであんまり相手にされなかったのではないか、と思うわけです。
　だいたいあれじゃないですか、よくこうネットなんかでまたぞろ「モテない」ということを勘違いした人たちが「粉砕！中止！」とかなんとか云ってるのは２月のイベントであって、３月のイベントについては粉砕も中止も叫んじゃいないわけですよ。
　そもそもここが彼らの大きなミステイクなわけです。オーミステイク事件なわけですよ。もうね、誰かに通じるネタをやろうという気が毛頭ない心情を吐露したところで、とにかくそういうあれじゃないですか。
　つまり彼らはいちゃついているカップルは許せないけど自分から告白しましょうみたいなことに関しては徹底的に後ろ向きなわけですよ。それでモテないだのなんだのを語るなんてちゃんちゃらおかしい。間違っていると思うわけです。
　やっぱりあれですよ、モテないってのは、告白してふられてこそなんぼじゃないですか。ふられもしないで何がモテないですかってなもんです。ふられ気分でロックンロールですよ。もう今回若い人置いてけぼりだな。
　だからこそ彼らは、こちらから告白してもよい日であるところの３月１４日に対しては口をつぐむしかないわけで、それはそれでちょっと卑怯なんじゃないのかい、と思うわけです。
　その点あれですからね、あたしくらいになるともうそのへんもばっちりですからね、中学生くらいの頃なんかもう今考えると頭を抱えたくなるくらいふられまくってるわラブレターなんか出しちゃったりしてるわ、つい最近にもここに書いたように思い切って食事に誘って、断られるでもなく「無視」というすばらしいふられ方をしてますからね、やっぱりモテないってのはこうでないと。かっこ悪いふられ方じゃないといけない。もう30歳以下の理解は諦めたな今回。TOMCATも大江千里さんすっかり見かけなくなっちゃって。
　とまれ、そういうあれですので、みなさん３月１４日ももっと大切にしましょうということなのですが、はてさて、３月１４日はお返しとして何を返すべきか、というのが実は結構困ったりもするわけです。
　クッキーに決まってるじゃない、という皆様からの総突っ込みがきそうですが、これね、あたしが中学生くらいの頃は、マシュマロだった気がするんですよ。
　なんかこう生まれて初めて２月１４日に好きな子に呼び出されてチョコレートを貰ったとき、とこうさらっと自慢気に書いてますけどそのあと特になにかあったとかはないどころかその子に告白して思いっきりふられているので今考えるとなんだかよくわからないのですがそれはともかく、マシュマロを買って渡したような気がするわけです。そして「ホワイト」という名前も、マシュマロならなんかわかる気がするわけですよ。
　ところが今じゃクッキーが主流ですし、さらにはいやキャンディーだとかホワイトチョコレートだとかいろいろあって、２月の「チョコレート一択」と比べるとかなり幅がある気がするんですよ。
　逆にそれだけこのイベントがどれだけ企業サイドによる恣意的なものかということの象徴でもあるわけなんですけど、場合によってはあれですよね、なんか下着とかプレゼントするみたいなのもあったりして、いやまあそりゃあたしはどちらかといえばちんこがついているほうの生物だから女性の気持ちはわかりませんけども、やっぱり困るというかちょっと気持ち悪いんじゃないのかそれは。それとも好きな人から貰えればなんでもいいの的なアレか。
　尤も、２月のそれに比べると盛り上がり自体がいまいちなのでこれを今更どうこう云っても詮なきことではあるのですが、やっぱりなんだろうな、このイメージの固まらなさが逆にイベント自体を盛り上げないという相乗効果な気がするわけです。
　そもそも２月にしても３月のコレにしても、「告白をしてもいい日」というの自体がなんとなくアレな感じがするというのはあるのですが、でも考えてみれば『ときめきメモリアル』とかだって「卒業式の日に伝説の木の下でなら告白してもいい」みたいなことだろうし、まあ結果的には同じっちゃ同じじゃないですか。そう考えればさほど無理はないわけでして、みんなしあわせになるといいね！　なんだこの投げやり感は。
　ただし、なんてかな、ちょっといろんな意味でイベントとしての３月１４日を想像しづらい、という欠点はあって、なんかこううまく云えないんですけど、２月のほうはなんかあれがああなってこうなってそうなるといいなあ、みたいなのがあったりするんですが、これが３月のほうになるとちっとも思い浮かばない。
　いやそりゃまあね、なんかわかんないですけど、なんかほら、たまたま校門の前で幼馴染みの女の子に会ってなんとなくいっしょに帰ったりして、もう何度もいっしょに帰ってるし話すこともとくにないんだけど、なんとなくいっしょにいるような感じで歩いてて、ふと「……ほら、コレお前に」「え？　なになに？」「お返しだよ。チョコレート、もらっただろ」「うあ……、別によかったのに、そんなの気にしなくて」「ば、馬鹿、そういうわけにいかないだろ。あんな」「あんな？」「……あんな気合いの入った手作りチョコレート貰って」云うとまみが顔を真っ赤にして「お、美味しかった？」「まあ、お前、昔からそういうの上手かったしな」「そっかー。よかった」「とにかくさ、そういうあれだから。お前みたいに手作りとかじゃないけど」「ううん。すごくうれしいよ。ありがと……あれ？」「なんだよ」「なんかお菓子と、指輪が入ってるよ？」「こないだいっしょに出かけたとき、欲しがってただろ、それ」「え？　だ、だめだよ、あれすごく高かったよ？」「いいよ別に。お前にはいつも世話になってるんだしさ」「で、でも……」「いいんだって。それに」「え？」「それに……お前にさ、贈りたいって思ったからさ。指輪」「あ……」「幼稚園の頃の約束、な」「え……？　それって……」なるべくまみのほうを見ずに云って「ほら！　そんなとこで止まってないで、さっさと帰るぞ！」「あ、うん！」とててて、と後を追いかけてきて「……えへへ」「ば、馬鹿！　抱きつくな恥ずかしい！」「いいの！　今日だけだから！」みたいなそんなようなことはあってもいいかなと思うわけです。思い浮かんでるじゃん。
　いやまあそれはそれとして、とにかくがんばれ恋愛予備軍。なんだかよくわからないまとめ方だな！