ということで、このタイトルからいやもう200系は最高だよね！みたいな話を想像される方もいらっしゃるかもしれませんけどもそういうわけではなくて、いやもうそもそも「200系」というものが存在しているかどうかも知らないわけなんですけどそれはともかく、あたしはあれなんですよ、電車とか詳しくないと云いますか、それ以前に通勤のときとか仕事関係で移動するときくらいしか基本的に電車乗らないんですよ。プライベートでの移動はほとんど車かバイクなわけです。
　子ども時代、割と男の子は「乗り物」というくくりで電車とか好きだったりするものですけど、あたしも嫌いではないにせよあんまりそこまで好きになるかと云えばそういうことはなかったわけです。
　もちろん人並みかそれ以上に乗り物は好きな子どもでしたけど、これあたし前にも書いたかもしれませんが、自分で操縦できない乗り物に興味がなかったんですよね。だから車とかは大好きでしたけど、電車とか飛行機とか戦車とか船とかそういう乗り物はそうでもなかったんですよ。
　いやもちろん電車だろうが飛行機だろうが免許を取れば操縦できるんでしょうけど、普通に生きていく上ではまずそういう免許取らないし操縦することないじゃないですか。そういうあれなんですよね結局。アニメとかの巨大ロボットみたいなやつも同じような理由で、これも結局自分でコントロールできないものだからこそあんまり興味がなかったわけです。
　ちなみにこれは今でも変わりません。が、逆にそれなら操縦できるようになればいいんじゃないかと云うようなそんなあれで、船舶免許とかちょっと欲しい。大型自動車以上に使い道なさそうだけど。
　なもんで、ここを読んでいただいている鉄道ファンの方には非常に申し訳ないのですが、どうにも鉄道の魅力というのがわからないんですよね。まあ、いろいろあってあんまり長い間電車乗ってられないという実質的な問題はさておき、やっぱり車とかバイクのほうが時間にも縛られないし便利だなあと思ってしまうわけですよ。
　とはいえ、通勤にはやっぱり電車を使わなければならないわけで、そういう中でですね、毎日同じ電車の同じ場所で会う女の子、というのはこれはすごくロマンチックが止まらないと思うんですよ。
　いやあたしもねバカじゃないですからね、いやバカですけどあれですよ、いくらなんでもたとえば修学旅行で班で回ってるときにみんなとはぐれちゃって、そのはぐれたのがあたしともう一人同じ班の、普段は本ばっかり読んでてあんまり会話とかない地味な女の子と二人で回ることになって、なんかこう行った先の伏見稲荷神社あたりでそのあまりの風光明媚な景色にちょっとだけ饒舌になった彼女と普段は見せない彼女の笑顔にちょっと胸がきゅんとなって、なんだかんだでなんかわかんないですけど二条城とか回ってホテルに戻ってきたところでほかの班の奴らに「なんだよどこ行ってたんだよ、心配したんだぞ」なんていう会話をして、それじゃあ部屋に戻るかってなったときに彼女が「……今日は、ありがと」「うん？　礼を云われるようなことはなにもしてないけど……」「ううん。すごく楽しかったから」「はは。そか、それはよかった」「……でも、ね」とか云ってちょっと照れたように「明日も二人で抜けだしたいな、って思った」なんて恥ずかしそうに云われてどきどきしてそこからなんだかんだで恋仲になるとか、そういうことがないことくらいわかってるんですよ。修学旅行行かないし。なにも一行で済むところをこんなに大量に文章使って説明することないよね高御くん。
　なんですけど、この33歳童貞にしたって、まだその「いつも乗る電車の、いつもの車両のいつもの席に座って本を読んでいる女の子との出会い」はこれはなくはないじゃないですか。
　あたしの勤めている会社は出勤時間が比較的フリーダムなんですけど、それでもそのフリーダムさに甘えているといつまでもだらだらしてしまうので、毎日同じ時間に通うようにしているんですけどもね、だいたい通勤電車って乗る車両とかが固定されてくるじゃないですか。降りる駅がいつも同じなら、出口に近いところがいいとかすいてるほうがいいとかいろいろあるわけですけど、だいたい乗る車両やドアの位置というのは自然と同じになってると思うんですよ。
　で、時間も同じ、乗ってる車両も同じってなことになると、これはもうなんかそういうあれがあるんじゃないか、とこう思うわけです。
　なんかわかんないですけどもね、いつもの電車のいつもの場所で本を読んでいるあの子と、お互いにちょっと気になる存在になっていたりしたいじゃないですか。それでこうなんだ、いつもの場所が別の人に取られてて、仕方なく隣同士に座ってちょっと意識したりとかしたいわけですよ。
　なんかわかんないんですけどもね、そういうの浪漫じゃないですか。いやそりゃね、このおもしろ面でそういう一目惚れ的なことが起こらないのはもう33年間の人生で嫌と云うほどわかってるつもりですけども、そういうのを鑑みてもやっぱり憧れたりはするわけですよねそういうのは。
　いやまあ実際はあたしが電車に乗って出勤する時間なんて11時とかですしね、いや君らは遅いって云うだろうけどもこれでも社内では比較的早いほうだったりしますし、そんな時間に毎回同じ電車に乗り合わせる人いないと思うけどもな。乗り合わせたところで電車の中で『ときめきメモリアル４』とかやってるしなんかもう色々駄目すぎるよね。わかってるならやめなさいよ。
　いやね、毎回じゃないんですけど、一週間に一回くらいの割合で同じ席に座ってる若い男性がいるんですけどね、この人がなぜか毎回豪快な寝方をしてるんですよ。
　たぶん見た感じ大学生くらいだと思うんですけど、あのほらなんてかな、電車の中ですごい勢いで寝てる人っているじゃないですか。普通に寝てるんじゃなくて、こうもう鞄とか持ってかれても気づきませんみたいな、雛鳥みたいに上向いて口開けて寝てる感じの。
　なぜかこの男性が毎回会うたびにこういう寝方をしていて、こういう寝方をされると座席を1.5人分くらい占拠するのでちょっと御勘弁願いたいんですけどもそれはともかく、何をどうしたら昼間の11時にああいう豪快な寝方になるのかと。しかも始発から乗ってたとしても、あたしが乗る駅は始発駅から三つめとかですからね、その短い間にそこまでに豪快な睡眠状態にまで落ちてるわけで、それも一回とかならともかく結構な頻度で見るわけで、あれなんか凄いなあと思うわけですよ。
　もしかしたら夜勤とかそういうあれなのかなあとも思ったんですけど、なんとなくそういう感じでもなさそうだし、毎回会うたびに彼については非常に謎が多いわけです。だって起きてるところに会ったことないんだもの。もしかしたらあれか、起きずにいったん終点の駅で折り返して戻ってきてるのか。
　いやまあ別にそんなこと気にしても仕方ないんですけど、その彼が女性だったらなんかこう素敵な出会いになったりしたりしたかもしれないのになあ。いやうそごめんないな。ないない。そんなことくらいでなんかあったらとっくになんかある。
　まあ所詮東京の地下鉄ですしね、そういうアメリカあたりだったら即持ち物が片っ端から盗まれてそうな人とか、あるいは電車の中で『ときめきメモリアル４』やってる奴とかそんなのしかいないわけなんですけど、たぶんこれ地方のローカル線とかだと違うと思うんですよ。なんかこうほかに誰もいない電車の優しい陽のあたる座席で、読んでいた本を膝に乗せてついちょっと寝ちゃってる女の子とかいると思うんですよね。なんかもうそういう子に会いに行くためだけに無駄に地方の電車乗りたいもの。
　いやまあ実際はあたしは電車嫌いだし（いや正確には嫌いというわけではないんですけども）アレなんですが、やっぱりそういうことだと思うんですよ。そこでこうなんだ、隣に座ってたその子が寝ちゃって寄りかかってきちゃって、なんか起こすのも悪いしそのままにしとこうかなあなんて思ったりするようなそういうあれがあると思うんですよ。さっきの前提だと「誰もいない電車」なのにどうして隣に座ってるのか、とかそういう疑問はとりあえず置いとこうじゃないか。変わったんですよ状況が。
　これあれじゃないですか、都内の地下鉄なんて眠って寄りかかってくるのなんてもうなんか泥酔して酒の匂いを全身から放つ親父とかですからね、そんなもな即叩き起こしますよ。それでまたたいていもう一度スリープモードに入るじゃないですかああいう人は。それで起こしては寄りかかってきての無限ループに陥るわけなんですけども。なんでああやってあたしの『ときめきメモリアル４』ライフを邪魔しようとするのか。わざとか。わざとなのか。
　まあ、電車に乗ってる時間なんてせいぜい30分くらいだし、別にそんななにか楽しめる要素を無理やり探すこともないんですけど、なんかそういうあれがあればがんばれるかなって。もうなにがなにやら。