ということで、なんてかな、誕生日ですよ誕生日。もうね、毎年書いてますけども、なんで誰も望んでないのに誕生日とかになるんだろうな。不思議でならない。行政は事業仕分けとかやるんならこういうところにもメスを入れるべきだと思うんですよ。なんとか誕生日にならないよう天下りとか禁止していただきたい。
　というまああれだよね、前回の文章のコピー＆ペーストでエディタ換算４行浮いたところで、これあれなんですよ、何事もないかのように通り過ぎようとすると、ほんとみんな親切だからさ、おめでとうとかあったかい言葉をかけてくれるんですよ。
　いやね、それについてはほんとにもうありがたい限りです。そりゃあもう誰にもなんにも云われなくなったらほんとに悲しいことこの上ないですからね。人間何が悲しいって、誰にも相手にされないことほど悲しいことはありませんから。
　ただね困ったことに、もう誕生日がくるたびに云ってますけどももうこれほんとちっともめでたくないんですよ。なんてかな、あれじゃないですか、お爺ちゃんの５回忌に「５回忌おめでとうございます」とか云わないじゃないですか、あれみたいなもんで、めでたくないんですけど、それでもまあおめでとうって云うよりないじゃないですか。あたしだって誰かが誕生日だって云ったらおめでとうって云いますもの。
　でもこの際はっきりさせておくけども、少なくともあたしに限ってはほんとめでたくないから。だって考えてみてくださいよ、云ってみればこれあれじゃないですか、一歩死に近づいたってことじゃないですか。死への一里塚じゃないですか。つまり誕生日おめでとうと云う言葉は、科学的に云えば、「さらに一歩死に近づいたねおめでとう！　もうさっさと死んじゃえばいいのに！」という言葉の云い代えでもあるとそういう解釈もできなくありません。どんだけひねくれてんだあたしは。
　だから一切おめでとうとか要りません。おめでとうと云った人にはレンタルビデオ屋で借りたいＤＶＤがいつも貸し出し中でうんざりしているところにたまたま行ったらあった！と思ったら店員の間違いで『おくりびと』のＤＶＤが中に入ってることがちょくちょく起こる呪いをかけます。
　……いやね、もう33ですよ33。33って云ったらね、15歳のころのあたしからすれば18歳年上ですよ。あたりまえですけど。
　いやだって、その頃の人生設計からすれば、とっくに恋愛だの結婚だのなんて済ませてそろそろ二人目の子どもが幼稚園に入ってるかなあどうかなあくらいの感じじゃないですか。へたすれば三人目が生まれてるかなあとかそういうレベルですよ。
　それがどうだ、ふたをあけてみればなにひとつ変わってないわけですよ。結婚どころか彼女ができる気配もないし女の子の手も握ったこともないしあいかわらずちんちんは未使用だし、こんなんあれですよ、15歳のころのあたしが見たらもう絶望してグレたりしますよ絶対。なんかもう尾崎豊とか聴きながら神輿みたいなバイクを夜な夜な乗りまわしたり挙句の果てにはシンナーとか吸っちゃったりしますよ。
　なんせあの頃のあたしはあれなんだから。すんごいピュアなんだから。もうそんじょそこらの女の子には負けないくらいピュアなんだもの。
　なもんだからさ、きっとあと何年かすれば普通に彼女とかできて幸せな恋愛をしてデートなんかしたりして手はつなぐわあまつさえキスなんかしちゃったりするわもう大変な騒ぎになるに違いないなんて思ってたわけですからね、それが18年経ってもなにひとつ適ってないというのは絶望するには充分すぎるわけじゃないですかこんなものは。しかもその後、高校時代に日本史の福田先生が「大学に入れば彼女ができる」というのを口癖のように云ってましたしね、もうそれを信じるしかないわけですよ。考えてみれば福田先生は何を根拠にそんなことを。
　いやまあ正確には適うことは適ったけど、相手がネネさんとかじゃないですか。いやそらもちろんネネさんに不満とかはないですけど、やっぱりですね、うすら寒いワンルームのアパートの一室でネネさんに卑猥な言葉とかを投げかけてる様子とかをその頃のあたしがタイムマシンとかで来て見たらたぶんがっかりするのを通り越してシンナー吸ったりとかすると思うんですよ。
　もうさあ、ここを読んでる人の年齢層がどれくらいなのかはわからないんですけど、たぶんあたしより上、という人はそんなに多くないと思うんですよね。もちろんいないとは云いませんけど、今までのWEB拍手から推測するにだいたい20代、もしかしたら10代の人とかもいると思うんですよ。さすがに一桁の人はいないと思いますけど。いたら今すぐバックボタンを押せ。二度とこんなとこ来るな通分の仕方とか勉強しろ。
　そういう人から見ればもう33ってもうあれじゃないですか、カラオケ行くけどあの人は誘わなくていいよね歌の趣味とか合わないし、みたいなそんなようなあれじゃないですか。GReeeeNとか歌って盛り上がってる中であの人一人で吉田拓郎さんの曲とか探してるし別に誘う必要ないんじゃない、みたいなそういうあれですよ。それでいて会社ではウインドウサイド属だし、もうどうしたらよいやらですねほんと。八方塞がりどころの騒ぎじゃない。
　もう誕生日を迎えるたびに、いろんなことを今年こそはなんとかしようなんかしなきゃいやなんとかしなきゃいけないと思うんですけど、結局のところなんともなってないって云うかそういうあれじゃないですか。なんかもう童貞力ばっかりほとばしってちっとも前に進めないわけですよ。前から云い続けている童貞ブームがそろそろ来るね。来年の流行語は「童貞男子」で決まりだ。やだけどな童貞男子。
　たぶんあれですよね、今年は彼女が30人できた！とか、宝くじで７京円が当たった！とか、釘宮理恵さんと結婚した！みたいなそういうあれがあれば、今年は充実してたなあ、みたいなそんなようなこともあると思うんですけど、残念ながら一度もそういうことないわけですよ。
　だからたぶん誕生日恐怖症なんだと思うんですよね。このままうだうだと年齢だけを重ねていいのかとそういうあれなわけですよ。25歳くらいから急加速してきたものそういうの。それで30になったら加速度的に上昇した。なんだこれ。
　とまあそういうあれではあるものの、どんなに愚痴ったところで33歳になってしまったという事実からは逃れられないわけで、せめて今年こそ何かこうあればいいなあと思ったりもするわけですが、なんかこう来年の今頃も同じこと云ってそうではあるよな。縁起でもないこと云うな。
　まあとにかくそういうあれでして、繰り返しになりますが、こう芸人の「押すなよ！」的なあれではなく、めでたくないのでおめでとうは要りません。ただし、誕生日のプレゼントおよび女性からの実はずっと昔から好きでした貴方が33歳になるのを待って告白しようと思っていました好きですという旨の告白等は随時受け付けます。なんで33歳になるのを待ったのかはさっぱりわかりませんが。
　あとあれです、いきなり家に帰ったら見知らぬ女性が味噌汁とか作ってるみたいなそういうあれも夢がなくはないのでそれでも可です。いや実際にそんな現場に居合わせたらすげえ怖いとは思うけど。