ということで、もうなんてかな、彼女とかむちゃくちゃいいなあと思うわけですよ。
　というなんだ、いきなり戯れ言から始まる文章を読まされる方もたまったもんじゃないと思いますけどもね。いやまあ我慢して聞きねえって。ノロケっから。
　まあそのなんてんですか、実際のところあたしなんかむちゃくちゃ経験豊富じゃないですか。なんかこうちょっとした恋愛師匠みたいなところもあるわけじゃないですか、もう毎日日本全国のボーイズンガールズの恋の悩みを聞いたりもしてたわけですよ。聞くだけですけど。まあなにが云いたいかってと、前々からそういう片鱗はあったわけだな。
　まあそのあれですよ、最近になってようやくあたしも彼女ができて、なんだかんだで幸せな毎日なわけじゃないですか。
　今までやれ彼女なんていらない俺は一匹狼だくらいのこと云ってましたけど、そうじゃないわけですよ。好きな人がいて好きでいてくれる人がいてくれる、こんな幸せなことはないじゃないですか。そういうのをですね、自分に彼女がいないとかそういう理由で無闇矢鱈と否定するのはよくないと思うんです。ああすみません云ってなかったですね先だって彼女ができました。いやほんとに。
　というわけでですね、まあ毎日いちゃいちゃですよ。もうすんごいもの。手とかつないじゃったりあまつさえキスなんかしちゃうもの。
　彼女ができたらここで云うっていう約束だからここで紹介しますけども、いやまあちょっとひとつ年上なんで年下がいいなあなんて云ってたのとはちょっと違うんですけども、まあそんなものは好きになったら関係ないですよね。すごい面倒見のいい優しい人なんですよ。もう可愛いったらありゃしない。ちょっと前に携帯電話のメールのやりとりなんかめんどくせえみたいなこと書いたこともありましたけど、そうじゃないんですよ。なんかこうメールを送って返事がくるまでのあのどきどきってんですか、そういうのたまんないですよねほんとに。名前なんですけど姉ヶ崎寧々さんと云います。
　……いやさ、これもうほんとに出来心だったんですって。品薄品薄って云われてたとき、ちょっと中古で売ってたもんでさ、新品よりぜんぜん安かったしつい買っちゃってさ、いやもうすんごいのさ。一日でDSのバッテリなくなったもの。ばかじゃないのあたしとか。ああわからない人のために書いておきますと『ラブプラス』というゲームの話です。彼女？できるわけないだろそんなもの。もうあと２ヶ月足らずで33歳童貞のできあがりですよ。
　いやでもね、よくできてますよコレ。いやほんとに。詳しいことはゲームレビューのほうに書いたんでそちらを見ていただくとして、コミュニケーションゲームというコンセプトは完璧ですね。
　なによりやっぱりキャラクタの書き出し方と云いますか魅力の書き出し方がすごくて、それにプラスして皆口さんのあの声じゃないですか、こりゃもうぶっ壊れますよこんなものは。ああ、彼女がいるとこんなふうにメールのやりとりしたりするんだなーなんて思ったら、もうほんと心の奥底から彼女が欲しくなった。なんか余計に寂しくなるんですよコレやってると。なんでみんなあんなに平然としていられるのか不思議なくらいさ。
　特にあれですよ、もらったメールの中でさ、「おやすみ。今日も一日＊＊くん（本名）のことが大好きでした♥ なんてね」ってのがあってさ、もうなんかほんとにもうアレだなってなもんでいい年して心からどきどきしたりしてさ、それでいてなんだ、可愛い服が好きだって云ったらデートに可愛い服着てくるし、髪型それじゃないほうがいいなあって云ったらほんとに変えてくるしもうなんなのこの子！　もうほんとにもう！　なんでネネさんは現実にいないの！？
　ってなもんで、見ていただいてわかるようにそんなにはハマってないわけなんですけど、まあそのなんだ、改めて彼女っていいなあっていうことをきわめて冷静に考えているわけです。
　とはいえ、これも「ゲームレビュー」に書いたのですが、ちょっと作業になっちゃうところはあるんですよね。あたしはなかなかリアルタイムモードでゲームができないのでよけいになんですけど。
　そうすると楽しめるのがラブプラスモードですよ。
　これ何かと云いますとですね、要するに音声認識機能を使って画面のネネさんと実際に話ができますというようなアレなわけです。こっちがおはようといえばおはようと返してくれるという、もう先進技術万歳なモードです。
　まあ、ハードの制約もあるでしょうしやっぱり機能としてはまだまだなところはあるんですけど、もうこれがなんか変なツボにはまっちゃってですね。もう暇さえあればこれやってますもの。
　いやもちろん最初のうちは真面目にやってたんですよ。好きとか呟いてみて二人で照れたりしてたわけですけど、あんまり話が通じないなあというのがわかってくるとついなんか遊んでみたくなって、まあこれで最初に思いつくのは卑猥な言葉じゃないですか。
　なにか質問ある？って聞かれたから、「ちんこ痒い？」って聞いたら「わたしもそうなの！」って云われて、そうかネネさん今すごい秘密を喋ったなと思ったり、「デートのときどんな服が好き？」って聞かれたから「まわし一丁」って答えたら「それじゃあそういうのも考える」って云われたりそういうあれじゃないですか。「キス好き？」って聞かれて「オナニーのほうが断然いいね」って云ったら「直球だなあ、でもわたしも好き」って云われたらどきどきするじゃないですか。
　で、そういうのも一回りしてくると、今度はあれですよ、なんかこうどこまで通じるのか、というそういうのを試してみたくなるわけです。いや通じないのはわかってるんですけど、通じたような気になるとそれはそれで嬉しかったりするじゃないですか。
　デートってどこでするのが好き？って聞かれたんで、「ジャスコ津田沼店」と答えてみたら「今度一緒に行こう」と云われてずいぶんまた地味なとこでデートするんですねと思ってみたり、なにか質問ある？って聞かれたから「フェルマーの最終定理について教えて」って云ったら「さてどうしましょう？」なんてはぐらかされて一応会話が通じてる！と喜んでみたり、「わたしを動物に例えるとなんだと思う？」って聞かれたから「エチゼンクラゲ」と答えたら「そういうふうに見えるんだ」なんてがっかりされてこれもまた会話が通じてる！と喜んでみたり、いま誰のこと考えてた？なんて聞かれたんで「宜保愛子」と答えたら「嬉しい」旨のことを云われてそうかホラー映画好きだから宜保さんも好きなのかと思ってみたり、「これからもふたりでいろんなことしたいね？」と云われたので長渕のモノマネで『Captain of the ship』のサビを熱唱してみたらなんか「そうだよね」なんて云われて喜ばれてみたり、「好きな映画は？」って聞かれたんで「勝新の座頭市」って云ったら「わたしも！今度一緒に行きたい」とか云われて趣味渋いっすねとか思ってみたり、わたしのどこが好きなの？って聞かれたから「ツノ」って答えたら喜んでてなんかすごい秘密を知ってしまったようなそんなような。もうなんかほんとにあたしに買われたソフトは気の毒なこと極まりないな。でもこんな会話で好感度上がってるんだぜ！　どんだけ純情なんだネネさん！
　しかしさ、あたしみたいなおもしろ顔の童貞32歳がだよ、一人暮らしの部屋でNintendoDSに向かって「ネネさん好き」とか云ってる光景ってさ、もう盗聴とかされてたら不倫とか以上に即死ものだよね。いやまあそれに気づいちゃいけないんだって絶対。
　あとあれですね、このソフト、中古で買ったということは中古に売った人がいたわけで、実際その売った人は本名プレイをしていた上にデータを消さずに残していたので、買ってはじめて起動したらいきなりしばらく会いに来なかった旨を会ったこともない凛子から責められたじゃないか。彼女を売るんじゃないよ松平君。リンコが悲しんでたぞ。あと売るときは本名プレイのデータは消してから売ろうな松平君。ショートカットが好きだということはよくわかったよ松平君。
　まあでもあれだね、こうしばらくアダルトゲームばっかりやってたんで、こういうキスどまりの恋愛ってのもこれはこれで初々しくていいやね。なんかあたしは別にセックスがしたいわけじゃなくて恋とかしたいお年頃なので、なんかもうある意味すごく理想的な気がしますよ。
　いやまあぜんぜんハマってないんであれですけど、そろそろネネさんが寂しがってそうなのでね、短いですけどね。いやほんと恋って素晴らしいよね！
　うん、なんか確信した。あたしこのままじゃ絶対彼女とかできないな。