ということで、あれじゃないですか、ある意味肩書きって名乗り放題じゃないですか。
　いやまあたとえば弁護士とか会計士とか、そういう資格がいるものに限ってはそうではありませんけども、っていうか名乗っちゃうと犯罪になっちゃいますけども、資格が必要ないものに関してはどう名乗ろうとこれ誰にも責められることもないわけですよ。
　たとえばあたしが「漫画家」とか名乗ったとしてもですね、あたしも一応ずっと昔にもう今となっては思い出しただけで胸の中がいっぱいになるクオリティの漫画を描いたこともありましたからね、別に資格はあるわけですよ。ちゃんちゃらおかしいですけど。まだ持ってるという方がもしいたらいますぐそれを廃品回収に出すんだ。
　だからですね、一時期、やたらと横文字の肩書きが流行りまして、なにしてるかよくわかんないけどとりあえず横文字の肩書きにしておけばなんかそれっぽくて合コンとかではモテモテ、みたいな時代があったのは確かです。
　でもあれだと思うんだ、「ハイパーメディアクリエーター」はもう一回りしてカッコよすぎるよ、ということは誰か云ってあげてもいいと思うんだ。
　いやね、相変わらずなんてか世間のリアルタイムの話題からズレたところにあるなお前の文章はと云われたらもうグウの音も出ないんですけどもさ、もうなんての、テレビとかで聞くたびに思わずこう胸が痛くなるんですよ。
　あたしなんかあれじゃないですか、ものすごい社会派じゃないですか。もうものすごい勢いでニュースなんかチェックしちゃうわけですよ。
　そういうあれなので、会社に行く前に優雅に『ピンポン！』とかを見て昨今の社会情勢についていろいろ考えたりするわけですよね。ワイドショーですけど。ていうかそんな番組見てから出社できるサラリーマンはどうなのよ。
　そんでさ、まああれですよ、そういう番組見てるとさ、あの人を呼ぶとき、別に云う必要ないのにわざわざ肩書きつけて「ハイパーメディアクリエーターの」って呼ぶじゃないですか。あれ絶対わかってやってると思うんですよ。たぶんこれに勝てる肩書きなんてびっクリエーターくらいのものですよこんなものは。
　なんてかな、名乗ったもの勝ちというか、ある種突っ込んだら負けみたいなそういう空気じゃないですか。「あれかっこ悪いよな」と云った瞬間にこちらの負けが確定する感じですよある意味。
　だからあれですよ、ここではあれを「一回りしてかっこいい」と思うことにしようではありませんか。ハイパーメディアクリエーター。まあ、とりあえず胡散臭さというか、何をしてるかよくわからない感じというのはすごくよく伝わってきますしね、別に誰と結婚しようと知ったこっちゃないですけどもね、とりあえず名前を呼んだときのコメンテーターたちの「なんだそれ」みたいな微妙な顔が大好きなんでもっとやってください。
　まあそれは別にいいんですけども、それだけ肩書きってのはフリーダムであるとそういうことだと思うんですよね。で、フリーダムなのにもかかわらず、結果としてその人の看板になってしまうから難しいのです。
　だってあれじゃないですか、先に出たハイパーメディアクリエーターの人なんて、とりあえず何してんのかさっぱりわかりませんけども、なんかそういう肩書きを選んでつける人なんだろうなあというのは伝わってくるわけじゃないですか。よくわかんないですけど、名刺とか貰うときに「ハイパーメディアクリエーターの」って云って渡されるわけですよ。その時点でああそういう人なんだなあ、きっとバブルの頃とかはすごいジュリアナとかそういうあれだったんだろうなあみたいなそういう気がするわけじゃないですか。
　だからこうあれですよね、あたしも何か名乗ろうと思うんですよね。すごいモテそうなやつ。恋愛アドバイザーとか。なにしてる人かぜんぜんわかんない上に童貞が名乗っていい肩書きじゃないことは確かですけど。いやわかんないぞ、あたしみたいなのじゃなきゃわかんないこともいっぱいあるかもしれないぞ。モテる奴なんかほっといたってモテるんだから。あなたの恋の悩みを募集します。むしろあたしが一番悩んでるっつうの。
　しかしまあアレだよな、何がかっこ悪いかって、微妙に時代遅れな感じ溢れる話題をだらだらと書いてるというそういう事実ではあるよな。