01/07「悪意論」
ということで、なんてかな、世の中というやつは悪意に満ちてるんじゃないかと思うんですよ。
急に何を云い出すんだこの童貞32歳は、という意見もございましょうが、いやそれ童貞とか関係ないだろという反論はともかくとして、基本的にある程度大人になると、不条理な悪意にさらされることってあんまりないじゃないですか。
あるとすれば自動車教習所くらいのもので、たとえばあたしが出た八王子自動車教習所なんてところはもうほんとに教官の9割がうんち虫みたいなところでしたがそういうところはやっぱりつぶれるわけで、本来であればそういう悪意というのは自然と駆逐されていくものだとそう思うわけです。教官が会社を訴える!って悪いのお前らだろ。
ところがですね、この悪意が放置されている箇所というのがございまして、それがあたしがこうして有益性のまるでない文章を垂れ流してリソースを無駄遣いしている「ネット」という社会です。
何度も書いてますけど、あたしは某巨大匿名掲示板が大嫌いでして、自分から率先して見に行くとかそういうことはしないんですけど、仕事とかあるいは検索してて引っかかって開いちゃったりするときはあるわけですよね。そうするとそのたびにその悪意に満ち満ちた雰囲気にゲンナリするわけでして、なんかもう顔が見えないのをいいことにあちこちでけちのつけあいが行われてて、実際に会った人にもお前らはそんな口の聞き方してるのか、と思わず不安になってしまうわけですよ。
さらに、これもプライベートで見ることはありませんけど、某巨大動画サイトがあるじゃないですか。
あれなんかある意味さらに露骨で、動画にコメントをつけられて楽しい、みたいなのはわからないではないですけども、特に自分で曲を演奏したり、昔で云うところのMAD動画みたいな動画とか、もう露骨に悪意に満ちたコメントがつけられてたりして、見てるだけでうんざりしてくるわけですよ。まあその、某巨大掲示板のほうもそうですけど、あそこ見てる人はよく耐えられるなあれにと思うわけです。
よく、「顔が見えないからこそ本音が云える」みたいなことを云う人もいますが、そりゃ確かにそういう側面もあるでしょう。コンサート会場で、演奏している人に面と向かって「あなたへたくそですね」とはなかなか云えないものです。そういう率直な感想が聞けることが、「作る側」にとってプラスであるというそういう面があることは否定しません。
でも、それはあくまでも特別な一部であって、それと「何を云ってもいい」というのはまったく別だと思うんですよ。
特に、ああいう匿名掲示板や、あるいは動画サイトでのコメントは、自分は安全地帯にいるままで容易に人を非難したり傷つけたりすることができます。作り手に対して残酷な感想を云うのはもちろん自由ですが、その残酷な感想を云うことに対しての責任をまったく負わないというのが、なんだかものすごく嫌なんですよ。その「責任」を負った上で同じ言葉を云えるのか、とそういうことだと思うんです。
責任を負わなくていいから率直なんだ、というのは、必ずしもイコールで結ばれる関係はありません。無秩序が自由とイコールではないのと同じことです。
このサイトでもゲームレビューなるコンテンツがありますし、さらにゲームに限らずともここで色々と文章を垂れ流してますが、それに対してもしなにか云いたいことがあれば、メール等で反論をすることが可能です。そのためにメールアドレスを公開しているわけですから、ある意味でそういう意見が来るのは当然だと思っています。
でも、匿名で書き込むことができる掲示板や、あるいは件の動画サイトはそうではありません。どんなに不条理に人や人の作品を罵倒しようが、仮に人気のある人やモノ、あるいは動画サイトなら人気のある動画にただやっかみで悪口を書き込もうが、一切責任を負うことはないわけです。
極端な話、動画サイトでなにか曲を演奏している動画に、「へたくそだから基礎からやり直せ」と楽器などできないあたしがコメントしたとしても、あたしはそのコメントに対してなんら責任を負わなくていいわけですし、「お前そもそも楽器の基礎なんか知らないだろ」と突っ込まれることもありません。
これって、実はものすごく怖いことだと思うんですよ。
某匿名掲示板も、あるいは某動画サイトも、見るにあたってとりあえず今のところは年齢制限はありません。と云うことは、精神的に未成熟な子どもでもあそこを覗くことができるということです。
もしも、そういった子どもが、「責任を負わずに人の悪口を云う」ことを当たり前のことだと思って、そのまま育っていったとすれば、これはもう現実の社会にまでもその悪意が伝播してくると思うんですよね。悪口を云うことに対して、「これは悪いことなんだ」という自覚がまったくなくなるという、つまるところよく子どもの頃に云われた「人の気持ちを考えて行動しましょう」というのが形骸化してくるのではないかと。
去年あたりから、「空気が読めない」という言葉を多く見かけるようになりましたが、こういう風潮が続いていくと、「空気が読めない」人というのはさらに増えてくるでしょう。だって、人の気持ちなんかそもそも「わからない」のに、それを考えようともしないんですから。云うなれば「無意識の悪意」です。
今のそういう匿名系の掲示板や動画サイトからは、すでにその「無意識の悪意」をひしひしと感じます。特に悪いことを云っているつもりで書いていないというのが垣間見えるからこそ、見ていてなんともいたたまれない気分になるのです。
とりあえず何かを批判したくなる、という気持ちはよくわかります。だからこそ、ネットでは「マスゴミ」なんて云って既存の新聞やテレビメディアを叩くのが当たり前の風潮になっているのでしょう。
でもまあ、よくよく考えてみれば、なんでも批判するのはなんでも受け入れるのと同じくらいものごとを考えない行為なわけで、そしてそれはやはり「自分は正義である」という旗の下に行われている「無意識の悪意」なわけで、それもなんだかなあと思うのですよ。
いやもちろん、既存のメディア……いわゆるマスコミがすべて正しいとは云いません。批判されるべきところはたくさんあります。でも、いい加減中学生じゃないんだから、「テレビの云うことは全部嘘」みたいなことを息巻いて云うのってすっごいかっこ悪いよ、ということには気づいてもいいんじゃないかなと思うんですよね。
さらには、テレビでも新聞でもいいですけど、そういう既存メディアと、自分たちが妄信している(と云う言葉を敢えて使いますが)ネットでの情報の信頼性は、結局ハカリにかけたらたいして変わらないわけですよ。
特に某巨大匿名掲示板に多い風潮ですが、この掲示板にある情報はすべて正しく、さらにこの掲示板は社会に影響力があってここで脅せば世の中のあまねくすべてのものはシロがクロになるのだ、と思っているんだろうなあと感じさせてくれることがあります。
はっきり云って、あの掲示板にそんな威力、ねえです。というか、たかだかインターネットの掲示板ひとつにそんな威力があるわけがないのです。
それでいて、都合の悪いときだけ「ここは便所の落書きだから」と云って逃げるという、云ってしまえばこれも「無意識の悪意」なわけですよ。
ブログなんかで悪事をはたらいたことをほのめかす馬鹿は救いようがありませんが、それを正義面してしつこく追い掛け回して個人情報を掴んで晒して、なんてやってるほうも同じくらい馬鹿だと思うんですよね。で、しかもそれを自分たちは正しい行為だと思ってるから余計にたちがわるいんであって、それはいくらなんでもやりすぎじゃないの、とでも云おうものなら、数の力が正義とばかりにその意見を封殺して終わるという、ただの小学校のイジメの構図じゃんそれ、みたいなことが繰り広げられてたりするわけです。
なんてかな、このぼんやりとした悪意が満ちていくのってすごく怖いと思います。
子どもに対してのインターネットや携帯電話の規制なんてのがかねてから話題になってますが、正直、それもやむなしかな、という気がします。子どもを無菌状態のクリーンな環境に置くというエロゲー規制のおばちゃん団体みたいなことではなく、もっと根源的な、人格形成の意味合いにおいて、「悪意」を当然のことだと思わせてしまうのはものすごく恐ろしいことだと思うのです。
しかしまあ一番の謎は、なぜ正月二回目の更新がこんな内容なんだ、ってことだよな。さああたしにもよくわかりません。
<近況報告>
いやあ、仕事がだるいことだるいこと。しかも新年明けからやたらと打ち合わせとかが入っててなんでこんなに忙しいんだろう。休み明けだからか。
> ゆいにゃ〜ん。マダムセシールは?
新年一発目がコレでした。マダムはほら、今年の衆議院選に新潟一区から出るとかって今大忙しらしくてこれがなかなか。
> 就職活動がつらいです
あたしのときも氷河期とか云われて相当なものでしたけど、今も大変らしいですからねえ。もうひとがんばりだ。納得できる結果が残せるよう応援しております。
> 駄文放送局楽しみにしてます!巫女コンテンツ見ない程です。
ありがとうございます。巫女装束関連のコンテンツをお正月に見に来ていただいている人は検索で直接飛んできてる人がほとんどなので、なんというかこっちはほとんど見られてない気はするんですよね。まあ、それはそれでいいんですけど。
> あけおめDEATH。年末にインフルエンザに罹って冬コミどころではありませんでしたorzせっかく/顔出してこっくりさん買おうと思っていたのに残念です。通販は可能ですか?
ありがとうございます。あたしもコミケ会場で風邪を貰ってきてしまい未だにのどの調子が悪いです。通販はなかなか時間が取れないので基本的にはやってませんが、たぶん一年先、へたすりゃ二年先まで在庫を抱えてるのはほぼ確実なのでいずれいらっしゃったときにでも。
> 初代Sa・Gaの店員の態度って凄いですよね。『おい、銭が足んねーぞ!』とか。
まあ、「村一番の美人」がどう見てもモンスターの世界観ですからねえ。あれは衝撃的だった。もう一回やりたいなあ。Wiiのバーチャルコンソールで2と一緒に出てくれないかな。
> 大晦日・元旦と『毒電波』を観に来る人間はここにいるので、あまり気を落としませぬ様に。
ああいや別に気は落としてはいないですけど、でもお心遣いありがとうございます。まあでも、大晦日正月あたりはやっぱりネットとかじゃなくて騒いでたりとかするもんでしょうしそういうもんだと思っておりますので。あたしは来る人がゼロになるまで文章を垂れ流すだけのことさ。
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