12/04「冬コミ論II」

 ということで、無事に原稿も終わりましてね、あとはまあ色々と推敲というか微調整して印刷所に持って行くだけというところまでいきました。よく書き終わったなと自分を褒めてあげたい。
 今回は仕事のほうが忙しくて家に帰る時間が遅かったもんで、正直どうなるか、最悪上下巻になるかもしれんなあと肝を冷やしましたが、人間、やればなんとかなるものです。
 案の定というかなんと云いますか、ページ数がえらい増えてしまって、いつもの本と同じ文庫本サイズではあるものの、いつもよりも一ページあたりの文字数が増えているのでちょっとお得です。なに読みにくい? まあいいじゃないかそんなことは。それはあんまりよくないよ高御君。考えてみれば料金同じなんだから新書サイズにすりゃよかったんだよな。
 というわけでですね、洒落でもギャグでもネタでもなく、『おいでください、こっくりさん!』が出ます。なにかここからものすごいトラブルとかが起きたら話は別ですが、普通にしている限りは出るはずです。ここまで書いといて出なかったらもうネタにもならんなこれ。そのときはたぶんあたしのせいじゃないですたぶん。
 まあ、ここを継続的に読んでいただいている方はご存知の通り、ちょっと前にここで書いたいつも通りの妄言がベースになっているわけですが、適当に広げていったら意外とちゃんと話になってきっちりまとまったのでびっくりしました。
 若干、ページ数と時間の都合でちょっと書き込みきれてないと云いますか、納得しきれていない箇所がないわけではないのですが、そこはまあなんでしょうか、ギリギリの折衷と云いますか。便利な言葉ですねこれ。
 とりあえず、ここを読んでいただいている方なら、あの妄言がこんな話になったのかというそういう意味で楽しめるのではないかと思いますので、コミケとかいらっしゃる方は是非。前回も書きましたが、三日目の西館という非常に行きづらいというか、三日目でしかも東の人の波を歩いててもう疲れたよ西なんか行けるかというのも実にごもっともではありますがそこをなんとか。
 なんでこんなに必死になってるのかと云えば、不安だからなんでしょうきっと。人間、不安だと一所懸命宣伝するものです。なんせオリジナルで小説で表紙イラストはアレな感じでエロ無しという、もはやヘレンケラーも吃驚の、売れ筋同人誌という視点からすれば何重苦なんだよそれというようなあれだもの。なんてかな、同人誌ショップとかに委託を頼んだら、四秒で「委託お断り」の返事が返ってきそうな代物ですからね。なんか自分で云ってて哀しくなってきた。
 そんなわけで、在庫を抱えた辛く長い旅のスタートを自ら切ってしまったような気がしないでもないですが、まあいいじゃないかたまにはそんなこともあるさね。たまにはやってみたいじゃないかそういうことも。まあ毎回そんなことやってるっちゃそうなんですけど。
 ま、とりあえずそういうあれでして、無事に作業も終わりましたが、前回も書いたとおり今回ちと締め切りが早いのと、あとは秋のコミティアに新刊出せなかったのもあって、久しぶりにコピー本の一冊でも作ろうかなあと考えております。考えてるだけでほんとに出るかどうかは割と運任せなところがありますけど。いいのかそんなことで。
 あと、ちょっとこの作業の間に頂いたWEB拍手の中からぽんと出てきた一ネタ。複数人の方からいただきました。

> 萌え古事記みたいな本はゆいにゃんの仕事ですか?
> イカロス出版の萌ゆる古事記が高御さんの同人誌に似すぎていて笑えます。ぜひ立ち読みを。
> 新説古事記とそっくりの本が出ましたね

 いやあたしのじゃないです。もちろん本業のほうで絡んでるとか云うこともありません。
 ここで云われてるのは、イカロス出版の『萌ゆる古事記』という本なんですが、こんなん出てるの知らなくて、この拍手レスを見てから買ってきて読んだんですけどもね、なんつうか実にアレですね。中身そのものについてはとりあえずおいときますけど、やってることが同じすぎて大笑いしました。ある意味であたしゃ未来に生きてたわけだな。
 で、中身が似てる似てないで云っちゃうと、うちの本は、原本の中巻真ん中の実に中途半端なところで終わらせてるんですけど、この本も終わらせるポイントがまったく一緒ってのは確かにちょいと面白いかも。
 あと、うちの本を読んでいただいている方はご存知かと思いますが、あれは訳すのが面倒なところとかややこしいところはかなり豪快に飛ばしてるんですけども(いやまあそれはどうなんだという是非はともかく)、その飛ばしてるポイントも割合共通してるってのは実に興味深いです。
 やっぱりアレなのかなあ、こう云う本を作ろうとすると考えることはみんな同じってことなのかなあ。
 しかしこの本、「参考文献」欄に、阿刀田さんの解説本とか対訳本は載ってるのにも関わらず、原典の『古事記』が載ってないってのはどういうこったい。
 現在手に入る一番手軽な原典は岩波書店のものだと思うんで、どんな形にであれ、原文から『古事記』を訳そうと思ったら、岩波の『古事記』は絶対避けて通れない文献だと思うんだけどなあ。対訳本の原文を読んで訳しましたとかってのも絶対にありえない話じゃないだろうけど、ちと無理がある気はするなあ。
 もしかして、っていうかもしかしなくても、自分で訳さずに対訳本に載ってた現代語訳だけ読んで、上っ面だけいわゆる「萌え」アレンジをしたってことなのかしらん。だとしたらこの本、あまりにお手軽すぎるぞこれというようなそんなような。参考文献の中に『古事記 マンガ日本の古典』が入ってるのも凄いな。潔すぎる。
 なんて云うか、宮沢賢治についての本を出す際に、アニメの『銀河鉄道の夜』だけ読んで本を出してるようなもんさね。うちの本に似てるとかいうことよりもそっちのほうが気になるわ。他人の訳をさらに訳してどうすんだ、ってかそれはただの改変って云いませんか。
 あるいはなんてかアレですよ、ノストラダムスブームの頃、五島勉の本あたりだけを参考にして書かれたノストラダムスの予言解釈本が山のように出ましたが、あれと同じですよね。
 フランス語が読めないんだから仕方ないじゃないかと云うかも知れませんが、それなら予言詩の解釈なんかやろうとするなよ!というような。
 これも同じで、原文が読めない(か、あるいは読むつもりがない)んなら、『古事記』の解釈なんかやろうとするなよ!ってことですわな。本業が本業なもんでちょっときつい云い方になるけども、はっきり云っちゃえば、文章を書いてお金をもらってる人としてちょっと恥ずかしい仕事だと思うよコレ。
 というような、うちのサークル及びこのページのネタ的には実に面白い本が出ましたけど、そういう意味でものすごく志が低い本な気はするので、古典とか記紀に興味がある方でもどうしても欲しいという方以外は購入に際してはよく立ち読みしてからにしたほうが。ま、あたし的にはひとネタできたからいいかって感じですが、とりあえずこれを読むなら値段が半額以下のうちの『新説古事記』を読んでいただいたほうがいいと思います、とか宣伝してみたりしてな。もうあんまり在庫ないけど。
 まああれですよ、万が一にもないとは思いますが、もしもですよ、ライターの方とか出版社の方とかがここを見ててうちの本持ってますみたいなことがあったら、それはそれでまたネタとしては面白いので連絡ください別に怒ったり噛みついたりしませんので。なんかもう十分噛み付いてる気はしますが。

<近況報告>
  • > TOP絵削除反対!結構好きです
     まさかそんな奇特な人がいるとは……。もう誰も見られてないっていうか、いいよ絵とか君はとずっと云われてるような気がしていたよ!
    > web拍手で『死ね』なんてメッセージ、ホントに来るんですか?
     びっくりするだろうけども来るんだこれが。最近は少なくなってきましたけど。あんまりアレなのはここではカットしてたけどあれ結構凹むよ?
    > 現実的に考えるとFF7ってメテオよりスーパーノヴァの方がよっぽどヤバいと思うんですが。
     RPGの世界で後先考えてたら魔法なんて使えないぞ! ドラクエのラナルータとかすっげえいい迷惑だと思うんだ。
    > 実はこっそり冬コミにサークル参加します。日曜西館のどこかでお会いしましょう
     き、君はいったい誰だね!?
    > 今年も誕生日ネタやるんですか?もう魔法使いじゃないとか?
     前も書きましたがもし彼女ができたりこのマジシャン生活を卒業するようなことがあったら真っ先にここで報告しますのでそれまではそういうことはないと思いねえ。誕生日? 永遠に来ないよそんなものは?
    > 準備お疲れ様です。寒くなりましたので体調など崩されませんよう。それにしてもこっくりさん書いちゃったの
     書いちゃったさ。いろんな意味でびっくりだね!
    > さだまさしが紅白に出場しないとあっては、大晦日は何を楽しみにしたら良いのですか。
     そうなんだよなあ、なんで出ないんだろう。いやまあ紅白なんてほとんど見ませんけど。まああれですよ、その後にやる深夜のAMラジオみたいなだだらな番組はきっとやるでしょうからあれを糧に生きていこうではありませんか。


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