4/21 「紹介論」

 ということで、いやあ皆さんお久しぶりです。いい加減あれですね、ここまで間空くと、逆にもう「早く更新しろ」「死んだんですか」「もう見に来るのやめようと思います」「この童貞野郎」とか云われなくなりますね。まあ密かにゲームレビューとかは更新してたんですけども、誰も読んでないと申しますか大勢に影響なしと申しますかなんと申しますか。童貞は関係ないだろ。
 いやあのね、あれなんですよ。色々とここに書いてきましたけども、特に結婚した人間の「女の子を紹介してやる」ほどアテにならねえものはない、という話は何度もしているわけでして、実際問題結婚した友人が嫁さんの友人を紹介してくれたことなど皆無であり、いやそれはお前みたいなダメ人間に紹介するような女性がいるわけなかろうというそういうことであれば専ら仕方がないと云えなくもないのですがそれはともかく、まあなんてかな、そういうのがいわゆる社交辞令、口さがない云い方をすればその場しのぎの言葉でしかないことくらいはわかっているわけです。
 なんせあたしもいい加減31ですからね、「女の子紹介するよ」「マジで!? 待ってるからな! 絶対紹介しろよ! 俺の希望としては巫女さんで髪型はセミロングでちょっと泣き虫で」みたいなことを矢継ぎ早に云って相手を引かせる、そんな時代はもう過ぎ去ったのです。ああそうかそんなこと云ってたから誰も紹介してくれなかったのか。ものすごい納得した。
 という、そのなんだ、結婚しているとかしていないとかに関わらず、今までの31年間にわたって「女の子を紹介」してもらったことなど一度もない恙無い人生を送ってきて、ろくな出会いもないまま無事に童貞を守り抜いてきた挙句に小学校入学以前依頼一度も女の子と手を繋いだことすらないまま生きてきたわけです。
 ところがですよ、世の中そんなことばかりじゃないと申しますか、やっぱりいるね奇特な、いやいや正義の味方が。なんてかな、うわべじゃないあたしの姿をわかってる人ってかな、頼るべきは遠くの親戚より近くの知人と云うかいやこれぜんぜん関係ないな。
 いや、金曜日の午前中に、何をするでもなくだだらに過ごしていたんですけども、というか社会人として金曜日の午前中をだだらに過ごしているというのはどうなんだというようなあれはともかく、そのときに携帯に電話がかかってきたんですね。
 だいたいあたしの携帯なんでほとんど伊達携帯ですからね、実家と会社以外からはほとんどかかってもこないしかけることもないというある意味冷戦時代のホットラインみたいなもんなんですけども、この番号が見たことのない番号なんですよ。そこでまあある程度警戒して出るじゃないですか。
 そしたらですね、中学時代に同じ学校で時々一緒に遊んでた奴なんですよその電話の相手が。なんで携帯の番号なんか知ってるんだと思ったんですけど、実家に電話→携帯番号ゲット、の流れらしく、なんかこうアレだな、個人情報もへったくれもあったもんじゃないな。
 でもまあなんせ15年ぶりとかですからね、当然久しぶりだなあってなことになるじゃないですか。今なにしてるのかとかなんとかいろいろ話も弾みますさねそれは。なんせあたしらはクラス会とか一回もやってないですからね、いやもしかしたらやってるけどあたしだけ呼ばれてないとかそういうあれかもしれませんけども。
 そんなこんなで10分くらい話をしたところで、彼が云うわけですよ。「ところでお前付き合ってる人とかいるの?」「いやいないよ。今はね」まさか童貞だとは云えないので多少見栄を張ってみました。「それならよかった、お前に紹介したい女性がいるんだけど」
 もうね、なんてかな、いろいろ駆け巡るじゃないですか妄想が。あの頃に好きだったけど云えないままここまで来ちゃったんだけどここに来てやっぱりどうしても想いを告げたくなったんじゃないかとか。とにかく今まで「女の子を紹介する」と云われては裏切られてきた31年間ですから、これはもうあれですよ、時代の流れが俺に来たとしか云いようがない。
「それは誰だ」「いやそれは会ってからの話で」「いつ」「明日とかどうかな」またずいぶん急な話だなと思いながらも夢にまで見た「女の子を紹介」ですからね、何しろ特に土曜日だからと云って用事があるわけでもないし二つ返事で頷いたわけですよ。もうこれはしょうがない。笑うなら笑うがいいさ。
 それでいざ土曜日、車を制限速度で飛ばして約束の場所に行くわけです。約束の場所ってなんかかっこいい響きだな。いやただの駅前の喫茶店なんですけども。
 あたしが着いた時に彼は既に来ていて店の前に立っておりまして、15年ぶりながらちっとも変わってなかったのですぐにわかりました。ただ、当時はどっちかというと痩せ型だった彼の体型がちょっと太った感じになってはおりましたが。
「いや悪い、待たせた?」「いや、約束通りの時間だから」「どれくらい前から来てたん?」「15分くらい前かなあ」15分前! そこまでしてあたしに会いたい女の子ってのはいったいどれほどなんだ、これはあれか、即手を繋ぐこともできるんじゃないかくらいの勢いですよね。野望がまた低いな。
 店の中は土曜日の午後ということもあってそれなりに混んでいて、女性一人の客もそれなりにおりましたから、どの人かなあなんてことを思いながら見渡しつつ店の奥に連れていかれたんですよ。
「こっちこっち」となぜか店の奥まったところに連れて行かれて、そこには果たして見たことのない女性がおりました。それもなぜか二人。まずこの「二人」な時点で面食らいましたがまあそれはよいです。
 いやまあそのなんと云いますか、顔がどうこうってのは云いませんさ。そりゃね、あたしだって全国不細工連合(全不連)東京支部の部長ですからね、人の顔についていろいろ云うほどの度量は持っちゃいませんからこれはまあいいです。第一に付き合う人間を顔で選ぶような心の狭い人間じゃあないつもりですし。
 いいんですけども、なんてかな、明らかにちょっと普通の人と違う感じのオーラってあるじゃないですか、ああいうのがひしひしと出てるんですよ。
 まず一人は、洒落た感じというかそういうのがまったくせず、いやまあ洒落っ気のない野暮ったい感じの娘さんというのはむしろウエルカムな感じで非常に好みではあるんですけども、そういうのとも違っていて、コミックシティとかで普通にあぐらかいて通路の端に座りながらなんかこうあっちの世界に行っちゃった目つきでやおい同人誌読んでる感じってわかりますか、ああいう感じの眼鏡をかけた女性で、芸能人で云うとよく昔ワイドショーに出てた江川なんとかさんっていうジャーナリストの人いたじゃないですか、あの人を太らせて病的にした感じで年齢不詳。もう一人は細身で長髪黒髪ストレートというと聞こえはいいけどさあ、という、芸能人で云うと貞子を病的にした感じでたぶん年齢はあたしと同じくらいかなあというような。
 つまり二人ともなんか妙に青白い感じで病的なんですよ。普通、喫茶店で女性二人で待ってるって云ったら、なんかにこやかに話でもしてるじゃないですか。実際、ほかの客はみんなそういう感じでものすごく明るい昼間の喫茶店なのにも関わらず、二人して黙って俯いてるの。なんかそこだけ明らかに異空間なんですよ。実はここは幽霊が出るって評判の店でね、と云われたら納得できるくらい。
 ああこれはあれか、流行りのヤンデレってやつか一度惚れられたらなんか夜中にドアの外に立ってたりほかの女の子と歩いてるところ見られて刺されたりするのかなあとか思ってはみたものの、もうそうなるとそんなことを考えてる余裕ないですからね。っていうかもう明らかにおかしい。
「こちら先輩の○○さん(以下貞子)と××さん(以下江川)」先輩だったのか。いやもう年齢とかわかんないんでそれならそれでいいんですけど。そしたら貞子のほうが「**君(あたしの名前)だね、△△君から聞いてるよ」いきなり君付けタメ口ですかいや別にいいんですけど。よくねえよ。
 で、よく覚えてないんですけども、最初は普通の自己紹介だった気がするんですよ。趣味はなんだとか仕事はなんだとか。まあ、変わってるのは向こうは聞くばっかりでぜんぜん自分のことを話さないという、なんだこれはなんかの面接かというようなあれではありましたが。
 それでも江川のほうはあんまり話さず、主に貞子が喋ってて、時々江川が頷いたり補足したりという感じで、中学時代の知り合いはほぼ無言。さすがにここまで来て彼女を紹介してくれてるんだなんていう雰囲気じゃないことくらいはわかりますからね、ああなんかへんなとこ来ちゃったなあと思いながら話してたわけです。
 で、30分くらい経った頃から、なんか話がおかしなことになってるんですよ。
 なんか普通に仕事が大変で、とかそんな話をしてたはずなのに、「**君(あたしの名前)は、幸せってどういうことだと思う?」とかそんな話になってるの。そんな哲学的なこと聞かれても、ってのはあるんですけども、なんか適当な答えを返したら、「そんなのは本当の幸せじゃないよ」とか頭ごなしに否定され、お前にあたしの何がわかるんだと思いつつもはいはいそうですかと聞き流していたんですよ。
 もうそれから一時間以上哲学的問答。あとなんか世界中を幸せにするのが夢、とかなんとか云ってた。立派なことだと思うけど少なくともあのときのあたしはあんたに関わったことで幸せではなかったけどもな。
 そんなのが一時間半くらい続いて、ようやく貞子が切り出してきたある宗教団体の名前。「□□(団体名)って知ってる? わたしとか江川とか**君もだけど、そこで修行を……」
 うわあ。やっぱりか。やっぱりかこの野郎。中学時代の知り合い(友達、とはもう呼びたくない)を見るとなんか無表情でこっち見てた。誰だこいつを正義の味方とか云った奴は。あああたしか。
「あ、でも勘違いしないで、これ勧誘とかじゃないから」これが勧誘以外の何だと云うんだ。「いやあたしはそう云うの興味ないんで」「なんで?興味あるかどうかなんてやってみなきゃわかんないじゃん」いやわかるだろ。興味ってそういうもんだろ。「あえて云うなら神社が好きなんでそういう宗教とかはちょっと」「神社は駄目だよ、鳥居をくぐったり神社の敷地に入ったりするとパワーが落ちるから」「そういうオカルティズムと神社と結びつける考え方が一番嫌いなんですよ」「でも神社はパワーが落ちるんだよ、これは本当。証明されてるから」誰によってだよ。「神社に行けなくなるんじゃ趣味の神社巡りもできなくなるし無理です」「趣味なんかよりも幸せを優先すべきじゃない?」「いやそういうことじゃなくて」「とにかくやってみなきゃわかんないじゃん」
 という実に不毛な会話のループ。っていうか向こうがこっちの云うことなんか聞いちゃいないんでちっとも会話になってねえ。
 ほかにもなんかわけのわからんこと云ってたけど、怒りを押さえるのにいっぱいだったんで書きたくないってかあんまり覚えてない。しかもここになると貞子と江川二人して喋ってるんでなんかわけわからん。
「とにかく一度来てみてよ、今から案内するから」「行かないって云ってるじゃないですか」「どうして」「そういうオカルトは嫌いだって云ってるでしょう」「オカルトじゃなくて本当の幸せを云々」「とにかく行きませんので」「行かないでそういうこと云うのは卑怯じゃない?」お前のほうがよっぽど卑怯だバカ野郎。「そういう用事なら結構ですんで帰ります」「話聞くくらいいいじゃん? タダなんだしさ」散々聞いてるんですけど。しかもあたしの時間はタダですか。横には件の知り合いがいるんで逃げるに逃げられないというフォーメーションの見事さ。感心してる場合じゃない。
 そんなこんなで三時間ほどごちゃごちゃ云われたんですが、いい加減頭にきたんで、先に払ってもらってたココア代をテーブルに置いて「もう帰るんで」と云い残して帰ってきました。なんか二人でごちゃごちゃ云ってたけど知ったこっちゃない。件の知り合いも「とりあえず一回だけさあ」とか云ってたけど無視。そいつを押しのけて出てきました。出る間際にもなんか云ってたけど知ったこっちゃない。
 後から同じ電話番号から二度ほど連絡がありましたがそんなもん出るわけない。二度と話す気もないしな。
 なんか怒りを思い出しつつ書いてるんで文章めちゃくちゃかもしれませんがそんな土曜日。貴重な三時間を帰していただきたい。
 まあアレですよ、日本には信教の自由がありますからね、別に人がどんな宗教を信じようと勝手ですし、そもそもあたしだって神社だの神話だのに傾倒してる時点でかなり強引に云えば神道の信者なんだと云えなくもないわけですから、それを否定するではありませんけどもね。けども宗教を信じない自由もあるわけで、それをああいうむちゃくちゃなやり方で勧誘するのはどうかと思うんですよ。少なくともこんな騙し討ちみたいな真似をするようなもんはろくなもんじゃない。
 だいたい31歳童貞を「女の子を紹介」という名目で釣るのはもう弱みに付け込んでるとしか思えない。飢餓で苦しむ人を食料があるからって釣るようなもんですなにそれに関してはあたしが悪いそうかそうか。いやそうでもないって絶対同じ立場だったら行くってこれを読んでるあなただって。
 先に結婚していった方々およびこんな男性と知り合いたい女性が近くにいる貴方、是非紹介してください。でもこういうのはもう結構です。
 そういや前にもこんなことあったよなあ。こんなに酷くなかったけど。あたしの周りこんなんばっかりか。
 ああ疲れた。

<近況報告>
  • しかも日曜日には夜中の首都高で危うくパトカーにスピード違反で検挙されそうになるしな。奴らのせいで逆に運気落ちてるんじゃないか。
  • 『ユグドラ・ユニオン』をクリアしました。いやこれは面白い。想像以上によくできた作品でした。難しさがだんだん心地よくなってくる感じのバランスもいいし、それぞれに特徴的なキャラクターもすごくいい感じ。ミステールさんが魅力的すぎますって。
  • > ご壮健で何より…私の様に不治の病に罹らぬ様、お気を付けてください。
     もう既に病には犯されているのでなかなか難しくはありますが。とりあえず生きていこうと思いますはい。
    > グルグルよりデジキャラットの方が最近じゃないですか?
     最近だと思いますけどもあたしデジキャラットは特に見てないわけなんですが。主題歌は歌えるけど。そんなんばっかり。
    > 日本政治の現状について真面目に語ってみませんか
     総理がアホだから政治ができへん。そんな感じ。こんなアホな総理大臣久しぶりだ。
    > 相変わらず丁寧なレビューですね。ここが批評サイトだったことを忘れておりました
     ありがとうございます。大丈夫ですあなただけではありません。たぶんここがレビューサイトであることを覚えている人のほうが圧倒的少数です。何だこのサイト。
    > 乗る度に人身事故で暫く足止めさせるJRは確信犯ですか?
     通勤にJRを使わなくなってからそれはひしひしと感じるようになりましたね。今は新入社員の影響で遅れてるそうでいろいろ大変だ。まあ人身事故はJR悪くないから責めどころが難しい。
    > FAレビューについて/私はFAコンプ後いくつかの複線未回収と整合性に結構不満だった/まあ「はにはに」やプリホリほど酷くはなかったからいいんだけど
     整合性は割と整っていたと思うんですが如何でしょう。まあ、物語の性質上どうしても矛盾してくるところは出てきてしまうとは思いますが。でも事実、今までのオーガスト作品の中ではもっともよく出来た作品なんじゃないかと思います。
    >世界樹とユグドラを同時にプレイしてるですって!? 握手してください!
     いやいいですよね、この二本は。これだけでもう4ヶ月遊んでますもの。ユグドラの二周目をやろうとすればまた一ヶ月潰れますよ。
    >ユグドラは癖がありますけど面白いですよねー。
     さすがにGBA版はしんどいですけど、PSP版はかなりいいバランスですね。普通よりちょっと難しい、くらいの気持ちいい難易度。こういうゲームゲームしたもの自体久しぶりなんで、ものすごく楽しい作品です。
    >君望リメイク発売しましたね
     なぜ今なんだろうなあ。アニメやってたからかなあ。今からやり直すのもなんかしんどいボリュームだった気はするんですが。マナマナシナリオは狂っててよかったけど。
    >彼女ができました日記まだですか?
     そんな夢を見てみたらこのざまですよ。
    >まさかClearに手を出すとは思わなかった。積んだままです・・。
     いいですよ、『Clear』は。ボリュームがそれなりにあるんで長く感じるのと、文章のクセさえ気にならないなら楽しめる作品です。
    >シャドウムーアがいろいろ凄いらしいんで発売したら1パックかってみませんか?(MTG)
     もうほぼ完璧にルールとかセオリーとか忘れてるよ? それでもいいの?
    >ごめんなさい風俗はまりました
     なぜ謝る!? いやまあ風俗って割とそういうものだという話は聞き及んでおります。

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