ということで、どうも最近はあれなんですよね、最初は半分冗談で云っていたことがどうも冗談でなくなってるというか、事実があまりにも奇になりすぎているというか、なんかそういうような気がしてならないわけなんですよ。
　だってあなたあれですよ、メイド喫茶がそろそろ秋葉原あたりに蔓延して来た頃、今度は男装喫茶なんてのが登場して、じきに女装メイド喫茶とかできるんじゃねえの？ とか云ってたらあなたほんとにできちゃってるわけですよ。しかもそんなの誰が行くんだよとかそういうことになりそうなもんですけども、これがふたを開けてみれば実に毎回満員の大混雑というそういう状況。
　だからこう、ある意味で想像を超えてるんですよね、現実が。なんてかな、普通に考えたらありえないからこそ冗談半分で云ってるわけで、それがなにかの拍子で流行っちゃったりするもんだからもうすごいよなあとこう思うわけです。
　そこでいよいよ来るんじゃないかってのが童貞ブームね。もうこれずっと前から云ってる気がしますけども、いよいよ童貞の時代が来るんじゃないかとそういうことなわけですよ。
　今まで童貞というのはどうしても卑屈にならざるを得ませんでした。ましてや30を過ぎて童貞などと云ってしまうとこれはもう魔法使いなどと云われていいからかいの対象になり、人によっては軽蔑さえされたりするわけです。
　しかしですね、そもそも童貞の何がいかんのかとそういうことじゃないですか。エッチをしたことがない、それだけでなぜそこまで地位を貶められねばならんのかとこういうことになるわけですよ。
　そもそもエッチをすることがそんなに偉いのか。そこに皆が気づいたときに童貞はブームになるのではないかとこう思うわけです。
　だってあれですよ、あたしなんかももう31ですけども、もう純粋培養の童貞ですよ。でも別に生きる上で何か困ったことが起きているわけでもなし、もしかしたらこれから現れるかもしれない女性に操を捧げようというそういうことじゃないですか。一人を守り通そうとするその純粋さこそが童貞が持つ最高のステイタスなわけです。卑屈になっちゃいけない。
　いやまあ確かにモテないというかそれまで一人も女性と深い関係になったことがないというのはそれはどうなんだと云われたらもうグウの音も出ませんけどもそれはそれじゃないですか。便利な言葉だよなそれはそれ。
　おそらく、童貞が下に見られるのは、いい年した男のくせに女の一人も抱いたことねえのかよみたいなそういうことから来る軽蔑と、ある程度の年になったら普通の男は女の一人も抱いてるものだという常識があるからではないかと思うわけですが、高校生くらいの時までそんなことは非常識みたいなところで来てて、いきなり大学卒業するころくらいまでに童貞卒業してなきゃおかしいでしょみたいなのはどう考えても期間が合わない気がするんですよね。
　まあ一般的にはそれまでに普通彼女の一人や二人いるものでしょ、というのがあるからこそ高校卒業後即童貞も卒業とか、あるいは早ければ高校の時に既に童貞を卒業とか、そういうことなんだと思うんですけども、それまでに彼女を作れなかったらもう人生負けってことになってしまうというのはこれは絶対的におかしいわけです。
　尤も、テレビとか雑誌とかのどこまで本当かわからないようなデータを見ると、既に中学校で童貞とか処女を卒業している方々が何割かいて、鑑みるにあたしが中学校の頃なんて真剣にドラクエの漫画描いたり自転車で塾の周りを走るレースしたりしてましたからね、そりゃ無理だわそんなものは。ちゃんと色気づいて女の子に告白したりもしましたけども見事に玉砕してますしね。それも一回や二回じゃないのがまたアレだよね。だよね、って云われても。
　なんで童貞捨てられなかったかって云えばこんなものはもう男子校卒業して女の子との接し方もわからないまま大学を卒業して就職したら出会いなんてまったくないまま生きてきたからにほかならず、運命の出会いなんて嘘だったよなどと夜空に向かって一人つぶやきながら誰も待っていない真っ暗な部屋に帰って「ただいま」と呟くそんな生活なわけです。もう何がなにやら。とりあえず一回くらい女の子と手を繋いで歩いてみたいなあ。
　とかくそういうことなわけですから、運悪く童貞を捨てられないまま生きてきた人が、25歳を超えたあたりから急激に悪く云われるのは絶対的に間違ってるとこう云わざるを得ないではありませんか。根本的にあたしのツラに問題があると云われたらもうどうにも云い返せませんけども。いや実際そうなんだけどもな。
　とりあえずそういうことでですね、童貞というのは純潔を守ってきた証なのですよ。そういうのが正しいとされる文化がこれからメジャー化してくれば、きっと世の中変わるんじゃないかとそう思うのです。ここまで世の中が爛れてくるときっと人は純なものを求めるに違いない。だからこその童貞ブームなわけです。
　さあみんな、童貞を守ろう。そして童貞の王国を作ろう。王様は僕だ家来は君だ。