8/1 「花火論」
ということで、高御さんはあれなんですよ、今は江戸川区というところに住んでおりましてですね、これがもう実に花火なんですよね。云ってることがおかしいけどしょうがない。花火なんだから。
隅田川の花火なんてのがこないだあったようでして、いえもちろんあたしは家で一人洗濯なんぞにいそしんでおりましてなんというかもうせきをしても一人な状態だったわけなんですけども、ああそういえば夕食の準備とかしないと冷蔵庫の中に焼肉のタレしか入ってないなあなどと思い出しましてですね、スーパーに行こうとして外に出たらこれあなたもう外を浴衣のカップルがいっぱいあるいてるわけなんですよ。バスなんかもう浴衣運搬車みたいになってた。あそこまでにぎやかだと逆に不気味でさえあったもんな。
あたしももう30になりまして、こうだんだんともしかたしらあたしは本気でこのまま一生モテないどころか女の子と手もつなげないまま生きるのではないかなあなどという現実など見えてくるようになるとですね、そうだなあ物心付いた頃からあこがれていたあの「浴衣の女の子と一緒に花火を見る」というようなあれももうそろそろ臨界点に達しているのではないかなあなどとこう思うわけなんですけども、やっぱりなんてかな、あの光景を見るとこうなぜだかわかんないけどもどんどん悲しくなってくるわけなんですよねこれがね。ああ俺はまだ夢を捨てきれていないのだなあとこう思うわけなんですけどもいろんな意味でもう無理だろうなあという気はするよね。どうすればいいのかなあほんと。
もうね、毎年毎年書いてることだからいまさら何かこう語るでもないけれどもさ、こっちに住んではじめての夏じゃないですか、そうするとこうあれなのな、モロに被害が出るのな。今までなんか実際には見えなかったからなんとか妄想の中だけに抑えることができたわけなんだけども、これが実際に目に見えるとなるとたちがわるい。だって見えちゃうわけですからね、嫌でも意識しないわけにいかないじゃないですか。
そりゃね、あたしだっていろいろかっこつけてもう女なんて俺の人生には不要なのさみたいなこと云ってますけども、いやそんなこと一回も云ったことがなくてむしろウエルカムなのに染色体XXの方々にはガン無視されてるだけなんですけどもそれはともかく、そりゃ花火の見える川原とかで女の子の手握ったりしたいですよ。ええそりゃしたいですさ。なんかよくわかんないニセピカチュウの綿菓子買ったりとかたいしてうまくもないたこ焼きを二人で食ったりしたいですよ。ところがどうだ、それどころじゃねえじゃねえか。30年間スタンダードな状態でも女の子の手すら握らないで生きてきちゃったじゃないか。これはいったいどいういうことだとこう云いたい。むしろあたしの人生に問いたい。
もうあれですよね、やっぱりあれなんですよ、浴衣なんですよキーワードは。浴衣の君はススキの簪熱燗徳利の首つまんでもういっぱいいかがなんて妙に色っぽいね、なんてそういうことなわけです。いや今のは頭の中の景色を具現化しただけであってパクリとかジャスラックとかそういうあれはなんだろうなあ聞こえないなあ。
そういうなんだ、普段と違った君の姿を見ることができるからこその魅力みたいなところだとこう思うんですけども、そこに花火というプラスアルファが加わることでいろいろこう盛り上がるものはあるわけですよね。あの最後の花火が終わった瞬間の静けさみたいなものとかそういうあれですよ。なんかこう始まる前はいろいろ話なんかしてたのに、始まるとつい見入っちゃって、ふと君の顔を見ると花火の明かりに染まる君の顔。そして終わったところで訪れる一瞬の静寂。そこで云いますよ。「次の仕事が終わったら、俺たち結婚しような」うわあ完璧な死亡フラグだこれ。
まあ実際は人ごみだらけで花火見に来たんだか人見に来たんだかわかんないような状況になろうともそれはそれでして、これから花火見に行くぞ的なカップルなんかを見るとそれがゆえになんかこういたたまれなくなったりするんでしょうなあ。しょうなあ、じゃないよ。そういうささやかな夢はいったいどこへ行ったらかなうのよ。ガンダーラかそうかそうか。よしみんな旅立とうじゃないか。時間は人を裏切らないぜ。もう何がなにやら。
そこでこう一人エロゲーなんぞに興じながらいると、外から聞こえてくる花火の音になんだか泣きたくなったよ。なんか花火大会とか土砂降りの中でやればいいのに。
<近況報告>
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> ようやくちょっとずつ体が空きはじめました。ぼちぼちメールの返事とかいくと思います。すみませんほんとすみません。
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