2/26 「音楽論」

 ということで、なんか文化祭で巫女喫茶みたいなのをやることになったんですよね。いや正確には喫茶ではなくてなんかこうよくわからないものなんですけども、なんかですね、あたしがそれに対して猛烈に反対してるんですよ。もうね、会社の会議でもそこまで論理的に責めねえぞってくらい論理的に打破しようとしてるわけ。「その企画だと男子は否応なしに裏方に回らざるをえない。学校行事でそれは不適切であって一種の男性差別である」みたいな理屈をこねまわして、それでも強行採決されたもんだからさ、一人でボイコットして先生に怒られたりなんかするんだけどそれでも意地になってました。
 というような夢を今日見ました。はっと飛び起きてなんだこの夢と思ってそのままもう一度寝たら夢の続きを見るというようなどんだけ巫女喫茶嫌いなんだよ。夢にまで見るほど嫌いか俺。
 というようなこととはあまり関係なく、あれなんですよ、あたしももう30じゃないですか。そろそろなんていうかな、将来の夢とかを持つべきだと思うんですよね。いやそういうなんていうかたまたま行った田舎町の神社で巫女さんと出会ってその後なんやかんやで結婚、とかそういうんじゃなく。二十年遅いとかはいいです知ってますから。
 いやね、先週の木曜日にライブに行ってきたんですよ。
 CooRie・橋本みゆき・yozuca*・三郷あきの四人の合同ライブというですね、会場は渋谷だったんですけどもこれっぽっちも渋谷に似つかわしくない、むしろ三河島とかでやったほうがいいんじゃないかくらいのメンバーで、というかそもそもここに来ている人でこの四人を知っている人間がどれくらいいるのかと突っ込みたくなるあれなんですけども、まあそういうあれですよね。すごくぶっちゃけて云えばダカーポとかの人です。結婚するって本当ですか。だからもう話がややこしくなるからさあ。っていうかそっちのほうが余計に知らないだろ。
 いやまあ取材というかそういうあれでして、個人で行ったわけではないので行ったら行ったで知ってる曲が一曲もなくてI've武道館ライブ以上に寂しい思いをして帰ってきたわけですが、それはまあともかくですね、これのアナウンスのされ方が「四人の歌姫集合!」みたいなアオリだったんですよ。
 いいじゃないですか歌姫。なにがいいかってこのどうしようもなく昭和の雰囲気と云いますかですね、ラジオデイズな雰囲気がいい。歌姫ですよ。英語で云うところのソングプリンセスですよ。もうどうしたって薄幸なイメージだもの。
 なんかさ、歌姫ってあれじゃないですか、場末の旅館とかをドサ周りしてる人みたいな感じがあっていいなあと思ってたんですけども、ここに来て「歌姫」って言葉を急激に目にするようになってきたところでして、そういうことからしてもこれからの時代は歌姫だと思うんですよね。
 だからですね、最初はあたしも歌姫になろうとこう思ったんですよ。
 いいじゃないですか歌姫。もうね、KOTOKOか俺か牧野アンナかってくらいの勢いで歌姫っぷりを披露しようとこう思ったんですけども、どうもいろんな人に聞いてみたりしたところ、歌姫ってのはなるのに資格が要らない代わりにどうもおちんちんが付いてるとなれないらしいんですよね。いやこれは盲点だった。
 というようなあれですので、ここはひとつバンドをやろうと思うんですよ。やっぱり音楽活動ですって。前も聞いたよ前も聞いた。
 あれなんですよね、あたしの中で、「楽器が出来る人は無条件にかっこいい」というようなあれがあるんですよ。
 なんつうかな、これはもう信念みたいなもんでして、なかなかこう云われたから変わるというようなもんでもないんであれなんですけど、なんかかっこいいじゃないですか。別にピアノでもバイオリンでもギターでもなんでもいいんですけども、なんかそういうのをさらっと弾きこなせる人はいいなあとこう思うわけです。
 いやさ、これずっと前に書いたかもわかんないんですけども、ものすごく強烈に印象として残ってることがあってさ。
 あれは小学校の頃だったと思うんですけどもね、たぶん素人の楽団みたいなのだと思うんですがそういう人たちが学校に来て、体育館で演奏を聞かせてくれるってなイベントがあったんですよ。まあたぶん音楽の授業の一環だったんだと思うんですけどもね。
 たださ、今でもまあたいしてクラシックなんか詳しくはないですけども、小学校の頃なんかそれに輪をかけて詳しくないじゃないですか。詳しくないどころか寧ろ知らないって云った方がいいくらいのものですよこんなものは。ベートーベンとかバッハとかなんて音楽の教科書に載ってる落書きの素材でしたからね。頭悪いことこの上ない。
 そこでさ、小学生相手なんだからせめて小学生でも知ってるような曲をやりゃあいいのに、何を考えたのかその人たちがなんかこうえらい難しい曲ばっかり演奏してたわけですね。小学生なんか同じこと十分してられない人種ですから、案の定速攻で飽きるわけですよ。
 それで以って、その途中に楽器紹介みたいなのがあったわけです。
 要するにオーケストラに使われる楽器っていうのはこんなのがあるんですよ、というようなあれですね。このへんが音楽の授業だったんだなあと思わせてくれる一端なわけですけども。
 例えば「これがバイオリンです」とかって指揮者の人が紹介すると、バイオリンがソロでちょろっと曲を弾いてくれるみたいなあれだったんですけど、その中でマリンバだったかな、その担当の人が「スーパーマリオブラザーズ」の曲の頭の部分を弾いたんですよね。
 もう会場大盛り上がりですよ。それまで知らない曲ばっかりだったところに知ってる曲がぽんと入ってきたわけですからね、これは大きいわけです。なんかクラシック曲っていう自分と縁遠い世界とこちらの現実がリンクした一瞬でしたねあれはね。
 というようなあれが強烈に刷り込まれており、楽器が弾ける人はなんかかっこいい、というようなあれに繋がってるわけなんですけども、なんかそういうのってあるじゃないですか。なんかたまたま行った先でにあった、古いちょっと調律がおかしいピアノとかで誰でも知ってる曲をあたりまえのように弾く人とかこれむちゃくちゃかっこいいわけですあたしの中で。あたしなんかピアノがあっても弾けるのはネコふんじゃったとキラキラ星だけですからね、これはもうみっともないことこの上ない。
 楽器ってさ、弾けない人にとってはなんだかよくわからない代物じゃないですか。たとえばあたしがストラディバリのバイオリンをいきなり貰ったとしてもさ、これであたしが何か曲を演奏することは不可能なわけでして、これ単品だとあたしにとっちゃ単音でよくわからない音が出るだけの瓢箪型の物体でしかないわけです。
 ところがだ、これがちゃんとバイオリンを弾ける人の手に渡れば、なんかすっごいちゃんとした演奏になるじゃないですか。これですよね。このギャップがなんかいいわけですよ。あたしの実家にもフォークギターやらシンセやら過去に挫折した数々の楽器が転がってますけども、たまたま遊びに来た友達とかがさ、それで以ってあたしでも知ってる曲をさらっと演奏したときとかもう問答無用で尊敬ですよねこんなものは。どうにも過去の小学校の時の体験と繋がるものがあるわけですけども。
 そこで昔からここを読んでくれてる人には「ピアノの練習はどうした」とこう尤もな突っ込みもあるとは思いますけども、練習に使ってたキーボードが壊れてどうにもならなくなりました。割と練習に行き詰まりを感じてたのもないわけじゃないんだけども。いや年行ってからの手習いは辛いものがあるな。どっかにここまで派手に挫折してる人間に楽器を教える会はないものか。あるわけないだろそんなもの。
 やっぱりさ、モテる人はこれみんな楽器が出来る人じゃないかと思うんですよ。この「さらりと弾きこなす」っていうのがいいわけ。男の人でもそうなんですけども、女の子でもそういうのができる人ってなんかすっごいいいじゃないですか。
 そういうわけでバンドをやろうと思うんですよね。もう話がむちゃくちゃじゃないかと思ったあなたは賢い。あたしにもよくわからないんだからどうしようもないよな。ただ問題は楽器が基本的にできないことだよなああでも篳篥ならちょっとできるよ。君はライブで「越天楽」をやるつもりかい高御君。やっぱりドレミファで演奏できる楽器を習っとくべきだったんじゃないかなあ。いいんです後悔はしてません。
 あれだな、当方ボーカルボーカル以外全部募集だな。ああこれなら歌姫にもなれて一石二鳥じゃないか。もうだんだんよくわかんなくなってきた。なんだこの尻すぼみな結論は。
 それにしてもCooRieさんは歌巧いなあ。

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