2/14 「バレンタイン論」

 ということで、あれなんですけども、どうやら世の中バレンタインらしいんですよ。ロッテの監督ですよね、っていうギャグってなんかすっごいダサくて一回りしてなんかステキだよね。なあボビー。ほらもう思いついたギャグは全部云わなきゃ気がすまない病気の人だからさこの人は。
 いやね、もちろん今日がバレンタインデーだということは知ってたんですけども、なんか今年は妙にマスコミ関係者からの盛り上げが激しい気がするんですよね。どっかから金でも出てるんじゃないのかってくらい。バレンタインデーにチョコレートをあげると痩せる!とかそういう類のあれなんじゃないかと。みんなだまされるな。
 いやまあ別にいいんですよ。今更そんなものをどうこう云うようなあれでもないですしね、こんなものに幻想を抱く段階など遥か彼方に置き去りにしてきましたので、今更やれチョコレートが欲しいだの、ましてややれ学校に来てみたら机の中にチョコレートが入ってただの、やれいつもいっしょに学校には来てるんだけど毎日つまらないことで言い合いをするようなもう昔からずっといっしょにいることに慣れすぎちゃってるような空気みたいな関係の幼馴染みの女の子っているじゃないですか、そういう子にね、帰りしなにいきなり呼び止められて屋上へ呼び出されたりするんですよ、それでもって何なんだよ云いたい事があるなら明日の朝にでも云えばいいのになんて云いながら屋上へ行くんですけどもね、そしたらそこにいるのが一年前に同じクラスだったすごくおとなしくて昼休みも一人で本なんか読んでるような女の子なんですよね、その彼女が「こ、これっ!」なんて云いながらチョコレートと手紙を渡してくるわけでして、それを受け取った瞬間に彼女は走って屋上から出て行っちゃうわけなんですけども、そうすると後に残されてなんかこうどうしたらよいやらよくわかんないけどもみたいなことになるじゃないですか、しばらく待ってても戻ってくる気配ないからしょうがなく帰るんだけど、校門のところにその幼馴染みの子がいるわけですよ、彼女が云うわけです「どうだった、彼女?」「どうもこうも、びっくりした」「紹介してくれって云われたんだよ」「お前が?」「最初はチョコもわたしから渡してくれって頼まれたんだけど、それくらい自分でやりなよって」「それでこうなったわけか」「すっごいねー、モテモテじゃん」「モテモテって。今時おっさんでもそんなこと云わねえぞ」なんて云いながらしばらく夕暮れの町を歩くわけですけどもその中でふと彼女が「彼女どう思う?」「どう思うったって、去年同じクラスだっただけでほとんど知らないしなあ」「ダメだよー?あんたみたいないい加減な男のことを好きになってくれる人なんて、滅多にいないんだから大事にしなきゃ」「大事にってもな……別に付き合ってるわけじゃないし」云うと、彼女がちょっと真面目な顔つきになって云うわけですよね「……付き合わないの?」「……なんだよ、急にマジメな顔して」「だって、あんなに可愛い子だよ?」「可愛いか知らないけど、ほとんどなんにも知らない奴から急にそんなこと云われたって困るだろ、そんなもん」なんてことを云ったら彼女がちょっと不思議そうななんとも云えない表情で「……そっか」って呟くんですね、でも急になんだか怒ったような顔で「だめだよそんなの。あの子だって一所懸命なんだからちゃんと答えてあげないと!」「……わかってるけどさ」「わたしだって、仲介役としていい加減なことはさせられないんだからね」みたいなそんな会話があってだ、そんな中で家に帰る直前のところで「じゃあ、また明日な」「あ、ちょっと待って」「なんだよ?」「はい、わたしからも、これっ」「……なんだこれ?」「なんだこれって、チョコレートに決まってるっしょ」悪戯っぽく笑いながら「いちお、手作りだからね。感謝しなさいよ」なんてことを云って「じゃ、また明日ね」なんて云いながら家に入ってドア閉めて、一人になったところでちょっと暗い顔になってため息なんかつきながら小さく云うんですよ「……だめだな、わたし」みたいなそんなような長いよ。もう誰も読んでないよ。
 というようなそういうことはもう無いのだということくらいわかってるわけです。そもそももう学校行ってないしな。
 まあそういうあれではあるんですけどもね、いいじゃないですかバレンタイン。好きな人に告白できる理由がある日っていうのはね、これロマンですよ。それまでなかなか云い出せないでいたものが、バレンタインだからって理由で告白できる。これすばらしいことじゃないですか。そういうのを恨もうだとかバレンタインデーを廃止しようだとかあまつさえバレンタインデーなんて製菓会社の陰謀ですよとかそういうのはもういいじゃないかとこう云いたい。声を大にして云いたいね。
 まあでもね、あたしには聞こえるんですよ、全国三十億人の童貞たちの怨嗟の声が。
 いやそれだと地球上の男性ほぼ全員が童貞じゃなきゃいけない計算になるからそのレートはおかしいんだけどもそれはともかく、聞こえるのです。そんなものなくなっちゃえばいいのにと。どうしてカップルを成立させる日があるなら、カップルをぶっこわしてもいい日がねえんだと。あるいは世の中のカップルなんてみんな死ねばいいんじゃないのとか、グリコ森永脅迫事件の犯人がいつの間にか今日に限ってチョコレートに毒物を混入したりしてねえかなあとかチョコレートの原材料に今日だけは賞味期限を五年過ぎた牛乳使ってもいいんじゃねえかとかなんとかいろいろ云いたいことはあると思うんですけどもね。なにそんなこと思ってない。いやいやそんな隠さなくてもいいですって判りますから。
 その点あたしなんかはあれですよ、もう何度も云ってますけども過去に一度クラスの女の子から家に呼び出されてチョコレートを貰うという経験をしてますからね。そりゃもうね、童貞フレンズな方々とは一味違いますよ。小学校の頃だけどもな。しかも「呼び出されてる」時点でもう義理以下なんじゃないかって気がすっげえしますけどいいんですそんなことは。家族以外の人間から貰ったという事実があればそれだけで一生生きていけますそうか俺とかうっかりトラックとかに轢かれちゃえばいいのかそうかそうか。だいじょうぶ、ぼくはいつでも貴方達の味方であり続けます。そしていつか世の中のカップル達よりも幸せになろうではありませんか。もうなにがなにやら。
 なんかさ、更新しないでほっとくとまたWEB拍手とかで「バレンタインデーなにかあったんですか。あるわけないですよね」みたいな、そりゃもうその通りだしすごいあたしのことをよくわかってるんだけどもなんだか妙に悔しい気分になるコメントが寄せられたりするので予め云っときますけどもね、なんもないですよ。あるわけないだろ。
 いやまあこれを書いてる時点では2月14日はまだ終わってないのでまだ量子力学的にも可能性はゼロではないわけなんですけどもこの後数時間で何かあるくらいだったらとっくにこの30年の人生の中で何か起きてるっての。それまで何も起きてないからの蓄積じゃないかこんなものは。
 何年か前なら帰りしなのホームでいきなりチョコレートと手紙を渡されてとかなんとか脳みそ一回砕いたほうがいいんじゃないのみたいな想像というかもうただの妄言のひとつも云えましたけども、もう少年も大人になりましたからね、そんなことはありえないことくらいはもうわかってるわけですから。そりゃエロゲーとかじゃなんか朝にいつも電車でいっしょになるちょっと気になる女の子からいきなりチョコレートと手紙を渡されたりみたいなこともよくありますけどもね、みんな知ってるか実際にはないんだぞああいうことは。
 と思ってたらさ、今日「笑っていいとも!」を見てたらね、っていうか社会人でそんなもの見られるってのはどういう会社員なんだよというところなんですけどそれはまあともかく、なんか客席にアンケートするみたいな企画があってさ、これで「どこでバレンタインデーのチョコレートを渡しましたか」みたいなやつだったんですけど、まあ、やっぱり「学校」とかがすごい多いわけなんですけども、それによると結構「駅のホーム」って多いらしいんですよ。ということはあれだ、もしかするともしかするのと違うかなと。ああ少年よ、大志を抱け。そして絶望するがいい。なんだ俺のキャラ。
 あと「神社」っていう人が一人いたよ。これはそういうあれだなきっとな。

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