1/27 「巫女の日論」

 ということで、やっぱり俺の居場所はここなんだよ!みんな俺帰ってきたよ!もうなにがなにやら。
 なんだかいろいろネタとかも書いてたんだけどもさ、普段はあんまりこういうこと書かないんだけども、なんかいろいろ思うところもあったし、あながち無関係ってことでもなさそうだし一応書いておこうかなとそう思うんですよね。
 あ、今回あんま笑いとかないので、童貞トークを期待して来た人はほんとすみませんみたいなそんなような。こういう文章って後で見直すと恥ずかしいからあんまり書きたくないんだけどなあ。
 まあその、タイトルでわかる人はわかると思うんですけど、あの問題ですよ。
 わからない人もたくさんいると思うので捕捉しておきますと、一言で言えば、なんか「巫女の日」「巫女デー」という言葉を商標権登録した人がいて、それが通っちゃったんですと。
 まず個人的な驚きとしては、こんな普遍的な単語で商標権取れるのか、と思うところではあるわけですけどもそれはともかく。
 で、当然のごとくいろいろなところからこの商標権を取った人は叩かれてるわけですけども、この人の言い分としては、単純にまとめると「別にこれで儲けるつもりはない。メイド喫茶みたいなのでメイドのようなものが氾濫したように、それで同じようなことが巫女さんにも起きて巫女さんのイメージが汚れるのが嫌だから法的に守ることにした」と。
 さらに、同人誌即売会などのイベントについては、「基本的に申請してくれれば無料で許可する」という云い分なんだそうです。なんか詳しくはもっとごちゃごちゃしてるので、ネット上で検索すると出てくるであろうサイトをご覧ください。とりあえずポイントとなるのはこの二点です。
 まあその、いろいろあると思うんですけど、実は基本的に前者に関して……メイド喫茶が云々のところに関してはあたしも概ね賛成なんですよ。
 あたしはメイド喫茶みたいなのがそもそも大嫌いですし(今の秋葉原をこんなふうにしたのはメイド喫茶だと思ってるくらいですから)、こういう経営者がメイドに飽きたとき、巫女喫茶みたいなのが氾濫したら嫌だなあと思ってたのもありますしね。これは何度もここで云ってることですし覚えてらっしゃる方も多いとは思いますが。
 でだ。問題はこれからだな。
 で、だからどうした、ってことなんです。それでなんでこの人が商標権を取る理由があるのかがさっぱりわからない。
 いや、たとえば「巫女デー」という言葉をはじめて使ったのがこの人だとか、そういう事実があればそれもいいと思うし当然のことだと思うんです。
 ま、はじめて使ったんでなくても、これで商売をしてる、とかね。巫女の日、という言葉を使って商売をしている実績があるなら、それを守るために商標権登録をするのもわからないではありません。
 あるいは、どこかのメイド喫茶が突然「巫女の日」を商標権登録した。これもわかります。まあ、それ以外のほかのメイド喫茶は怒るでしょうけど、これなんかは「巫女の日」を使って実際になにかをしたという実績があるわけですし、その利益を法的な力で守ろうとするというのも、心情的にどうかは別にしてしょうがないよねと思うところではあります。
 さらにもう一つ、巫女界のカリスマみたいな人がいて、まあその同人でもネットでの創作物発表でもなんでもいいですよ、そういうことをやっていて、多くの巫女さん好きが支持しているという、そういう人がいたとしましょう(もちろん実質的にこんなことはありえませんけど)。で、この人が「今日は巫女の日だからこういうことをやるぜ!」と云えば、多くの巫女さん好きな人がいっせいに動くと。そういう人がこれを商標権登録するのも、これもまた心情的にはアレだとしてもなんとなく判ります。
 まあ、要するに、「巫女の日」という言葉に何らかの関わりがある、ということが一つのポイントなわけですね。それを実際に本人が使っているかどうか。前にコナミが使いもしない普遍的な言葉をいくつも商標権登録して叩かれたことがありましたけども、ああいうことなわけです。
 でね。じゃあこの人が何をしたのかというと何もしてない。この人が「巫女の日」についてやったことはと云えば、「巫女の日」という言葉を商標登録しようと思いついたというそれだけのことです。
 さらに、この人曰く「儲けるためじゃない。基本的には同人誌イベントなどからお金は取らない。まずは問い合わせろ」ということになっているわけですが、これも相当に意味がわからない。
 おそらくメイド喫茶を狙い撃ちというかそういうあれだと思うんですけど、もし「巫女の日」という言葉を絡ませた同人誌即売会をやったり(巫女の日記念、とかって言葉も駄目だそうですから)するときは、無料ではあるけどこの人にいちいちお伺いを立てなきゃならんぞってことなわけでして、これは相当に意味がわからない。どうしてコイツに許可取らなきゃならんのさ、って疑問は当然出てくるわけです。
 一番引っかかるのはここなんですよ。
 たとえば、小説家が書いた小説を転載して使った。この場合、もとの小説家にお伺いをたてるのは当たり前の話です。それは、「この人が苦労して作り上げたものだから」という、その人にお伺いをたてるきちんとした「理由」が存在しているからに他なりません。
 繰り返しますけど、あたしはメイド喫茶とか好きじゃないですし、ましてそれが巫女喫茶になるなんてこと考えたくもありません。基本的に巫女の日だから何かイベントをやろう、って云うノリにも今まであんまり乗らない立場でやってきました。
 でももしかしたらこれから何かそういう機会があるかもしれない。(商業流通で)巫女さんの本を作って、その記念に3月5日に巫女さんの日イベントをやるかもしれない。そうなったとき、なんでこんなどこの誰だかもわからない、何の「理由」もない人間の許可をいちいち取らなきゃいけないんだということになります。
 だからね、この人が、何らかの理由を持ってるんなら、心情的にはどうあれ仕方がないかなになるんですよ。権利ってそういうものじゃないですか。
 ただ、権利の対義語は「義務」であって、権利を発生させるだけの「義務」が必要なんです。それは「それを使った」「それを作った」など多岐にわたるわけですが。
 じゃあこの人はその「義務」を果たしてるのかというと、なんにもしてないわけですね。それで何かしていたわけでもない。ましてそれを作った人でもない。いわば「赤の他人」が、突然権利だけを主張してると。
 そりゃね、叩かれてもしょうがないですよ。どう考えてもおかしいもの。
 さらに心情的なことを交えて云うとね、この件で個人的に一番腹が立つのは、「巫女さんを汚さない」みたいな大義名分でやってるということなんです。
 そんなもんそれこそ余計なお世話で、アナタ(いえまあ、その当人とは会った事も話した事もないですけど)にごちゃごちゃ云われる筋合いはないよと。その対象に対してどう思うかは個人の自由だし、云ってしまえばアナタもあたしもただの巫女オタで、それをなんだってアナタにいちいち許可取らなきゃいけないんだと。
 それならまだ、商売でやるつもりです馬鹿なメイド喫茶から金巻き上げますのほうがマシです。それならあたしも半分くらいは応援してたかもしれない。それを妙な正義感振りかざして、私は君たちの味方なんですよみたいなことされても、そんなもんほっといてくれになるのは当たり前の話です。
 まあ、なんだ。この人のこの行動における根底にあるのも、一種のオタク心理なんでしょうね。
 オタクの人って、常に「同好の人々の中でちょっとでも上の立場に立ちたい、一目置かれたい」っていう心理があるじゃないですか。それの結果限定版を必死に買いあさったり、コピー誌買うためにコミケに何時間も並んだりのコレクションだったりすることもあるでしょう。
 あるいは濃いオタクの人から「俺あの人と知り合いなんだぜ」みたいな話を聞かされてうんざりした経験がある人というのもいると思いますがそういうのもそうです。
 なんにせよ、根底に「俺は君たちよりもさらに上なんだ、より特別なんだ」という意識が働くのがオタクの心理の基本でもあるわけでして、それが悪い形で出てしまったのが今回の一件なのかな、という気もします。「巫女の日」の権利を持つことで、他の巫女オタとは違うんだと一目置かれたい欲求が理性的に考える力を超えてしまった結果がコレだと。
 だからつまりね。
 たぶんですけど、この人は本気なんだと思います。
 本気でメイド喫茶等によって巫女のイメージが汚されると思ってるから、じゃあこうすればいいんだと思いついて行動した。たぶん本気で儲けようとか思ってないんでしょう。だから同じ巫女さん好きの人から非難される謂れはない、これはお前たちのためを思ってのことでもあるんだと。だから彼からすれば、それが「理由」なんでしょう。周りから見れば、ぜんぜん理由になんかなってないんだけどね。
 だから、この人に「自主的に権利を取り下げろ」って云っても、「実は儲けるつもりなんだろ」って云っても無駄だと思うんですよ。
 だってこれこそが正義だと思ってやってるんですもの。反対する人はみんな間違ってると思ってるんだから。ちょうど、60年前の戦争の時のように。
 ただねコレ、歴史的に一つ確実に証明されてることがあってね。
 自分がとんでもないなことをしていると知っているのは実はまだまし。自分がとんでもないことをしてると気づかないでとんでもないことをするのはただ厄介な人。
 ま、そういうことなんじゃないかな。
 あたしは本来そういうの好きじゃないんですけども、今年からは敢えて云おう。
 皆様、3月5日は巫女さんの日です。

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