01/23 「風俗のおはなし」

 とは云うものの、風俗なんですよ風俗。童貞の味方風俗。もうね、時代は風俗なんですよ。よくわかりませんけど。
 あたしもほら、29じゃないですか。そうするとですね、だいたい周りの同じくらいの年の人間は一度くらい風俗に行ってるんですよ。行ってるどころかどはまりしてる人も少なくなくて、なんかこうえらいことになるとかならないとからしいじゃないですか。
 というようなまあこういう物云いでわかると思うのですけれどもね、高御君はどうもこの年になってもまだ風俗とかそういうあれに行った事がないわけですよ。
 そりゃあれですよ、もうね、あたしの中の風俗イメージなんてあれですよ。もう行った瞬間に怖いお兄さんが出てきて数万円ね。それからビール一杯が一万円とかで、さらに帰る時になんかわかんないけど不条理に何万円も取られてみたいなそういうあれなわけですよ。そりゃね行きませんさそんなの。あとほら、そういう不潔なあれじゃなくてはじめては好きな人とじゃないと。なんなんだ俺はどこかのお嬢様か。だからまあ童貞なんですけどもねあっはっは。
 いやまあね、よくわかんないですけど、ああいうところってこうきっかけがないと第一歩を踏み出さないじゃないですか。いや、慣れてる人ならわかんないですけど、じゃああれだ、いるかどうか知らないけどこれ読んでる人の中で今じゃ風俗店なんてなんでもないよってな人もだ。はじめて行ったときのことを思い出してみねえって。引けるじゃないですかやっぱり。そこをわかんないけど会社の上司とかそういうあれに連れて行ってもらってなんだこんな程度かだと思うんですよたぶんですけど。
 そこをさ、アルバイト時代からあたしなんかこうもうそういうのぜんぜん行かない人の会社を渡り歩いてきちゃったもんだからさ、もう行ったことないわけ。だからこその童貞キープですよ。
 だいたいさ、もう風俗店って何がどうなってるかわかんないわけですよ。いやほら、キャバレーとかキャバクラとかなんかいろいろあるじゃないですか。ああいうのわかんないわけ。仮に行っても、これはあれか、触っていいのかそれともこのまま僕は29年間守り通してきた貞操を捨てる日が来るのかみたいなそういうあれになるのかとかそういうのぜんぜんわかんないわけですよ。もうまずそこからじゃないですか。
 まあそりゃね、いろいろな法律とかそういうあれで、こう本番までレッツゴーな店っていうのは基本的に違法であるってことくらいはそりゃ知らないじゃないさ。知らないじゃないけど、じゃあ、あたしらはその店でいったい何を楽しめばいいのかってことじゃないですか。
 いやだって、あたしの思い浮かべる風俗ってあれですよ、なんかこう席に座ると回りに二人くらい女の人が来てそれでいてなんかお酒とかついでくれたりして喋るみたいなそういうあれだろ。いや、これがその種類で云うところの何になるかは知りませんよ。キャバレーなのかキャバクラなのかパブなのかヘルスなのか知りませんけども、とにかくそういうあれだとすると、いったい何話せばいいんだってことじゃないですか。
 だってさ、わかんないけど、ああいう店の人が女子大生くらいのまあ20歳くらいだとしましょうさ。今あたしと同い年くらいの人でさ、ハタチの女と話すことなんかあるかい?ああいうところ行ってる人は何話してんだよってなもんですよ。
 あたしとかさ、こうあれなんですよ、いっしょに居る人はわかるかもしれませんけども、基本的になにかのべつ喋ってないと気がすまないタイプの人ですよ。それでもいいのかと。相手が話をあわせてくれるプロならそういうのでも困らないのかもしれませんけどそうじゃないだろ。今のハタチの女子大生がなに考えてんのかなんてわかるわけねえだろそんなこと。そんなのわかるんだったらとっくに彼女の一人でもいるっつの。
 ってなことを云うと、「好きなことを喋ればいいんだよ」みたいなこと云う奴とかいるけどさ、それそういうもんなのかいとこうなるわけですよあたしとか。好きなことってことはだ、神社トークとかすっげえマニアックな話とかすんぞ平気で。さだまさしの話とかしかできねえぞってことですよ。それで相手も付き合ってくれんのかとそういうあれですさ。つまんなそうに「はい」「はい」なんて頷かれるだけだったら俺その場で店飛び出す自信あるぜと。それともあれか、よくコントとかでやってるみたいな、「手相を見てあげる」なんて云って手握ったりとかそういうあれか。どこのおっさんだ俺は。
 つまりそういうことなわけで、ああいう風俗ってさ、基本的に「モテない奴のもの」イメージあるけどそうじゃないと思うんですよ。あれってさ、基本的に「この女の子は絶対に自分の彼女にはならないのをわかった上で純粋に女の子と話をする」場じゃないですか。我々童貞族はそんな覚悟できねえもの。
 もうね、女の子と話をするなんて時は必死ですよ。必死っていうとなんかがっついてるっていうか必ずモノにしてやるみたいなそういうあれみたいに思われるけどそうじゃなくて、もうね、我々にしてみれば、女の子と話をするってことはそれ自体が特別なことなわけ。もうどんだけモテないんだ俺は。自分で書いてて死にたくなってきた。
 つまりこうあれだ、軽く女の子となんでもないトークをするなんてことができない体なわけですよ我々童貞系の皆さんは。何気なく話しちゃいるけど心の奥底でどきどきしたりしてるわけ。いや繰り返すけど別にこの子は俺と話をしてくれたから気があるに違いないみたいなそういうあれじゃないよ云っとくけど。そうじゃなくて、もうそのこと自体が特別異空間。
 ということになるとだ。もう駄目じゃないですか風俗とか。そんな状態で普通に話なんかできるわけがない。だいたい、お互いにお互いの素性をある程度まで知ってるとか趣味が共通とかならそこをとっかかりに話をするみたいなそういうあれなんだろうけど、そうじゃない女性と何話したらいいのか想像もつかなくてもう考えただけで心臓が。
 ていうか極端な話、趣味も趣向も合わない女性と話すことなんか何一つねえよってなあれが本音なんですけども。そうかこんなこと云ってるから彼女の一人もできないのかそうかそうか。地球滅びないかなあ。
 そこで最近流行のコスプレイメクラですね。イメクラっていうのが何なのか既にわかんないんであれなんですけども、なんかこう女の子がアニメだのゲームだのの格好でいろいろお相手してくれるらしいですよ。うわあもう想像するだにサブイボが。ここならアニメとかゲームとかの話でも女の子に通じるからオタクのお兄さん方でもハッピーに風俗が楽しめるんだそうです。もうなんかいろいろ間違ってる気はするよな。すべてにおいて。
 しかしそんなの秋葉原にあるメイド喫茶だってたいして変わんねえじゃん。コスプレイメクラが風俗ならメイド喫茶も立派な風俗じゃねえかとそういうあれなわけですけどもまあ別にいいですそれは。
 というわけで謎に満ちた各種風俗。ま、別に行きたいとも思わねえけどな。じゃあいいじゃん。

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