尋問姦(deeper)

項目シナリオシステム音楽総合
ポイント3−6−
シナリオ:非公開
原画:非公開
音声:一部
主題歌:無し

<シナリオ>
 戦争が終わったばかりの国、リンガス。敗戦の混乱に国土の治安は乱れ、あちこちでテロや暴動が起こっていた。国はそれに対して軍警察を組織し対抗していたが、ある時保安部隊が反抗組織の攻撃を受けて多数の死傷者が出た。これによって軍内部の機密が漏洩している可能性が出てきたため、主人公・ケンの率いる部隊は反抗組織を洗い出す秘密部隊に任命される。反抗組織とつながりのありそうな容疑者を尋問し、反抗組織壊滅の任務を負うこととなった……と、大雑把に云えばこんな冒頭ですが、なんというか、ストーリーなんてものは無いに等しいです。
 と云うよりも、「物語に期待して買いました」という人がいたとすれば、それはもうこのパッケージの雰囲気からもしかしたら感動的な物語かもしれないと思ってしまったその人のほうが間違っているとしか云えません。
 一応その概要に沿って物語は展開しては行きますけれども、ストーリーそのものに大きなどんでん返しがあるでもなければ、なにかびっくりするようなギミックが仕掛けられているわけでもありません。
 ですので、基本的なところとして「ストーリーはオマケ」です。脱衣麻雀のストーリー程度だと考えてもらってよいでしょう。
 しかも基本的に女の子側に救いはなく、みんな最初から最後まで「壊れるまで拷問される」だけの存在です。こいつはシロだ、ということがわかった後も、主人公は「拷問をしたことがバレるとまずいから」という理由で精神崩壊まで追い詰めてフィニッシュ。「拷問相手と恋に落ちて二人で逃げ出す」みたいな、『SEEK』みたいな展開もありません。
 主人公と幼馴染の女の子(もちろん、主人公のことが好きだったりするわけです)が疑いをかけられて、主人公が彼女を尋問するみたいなシチュエーションもあったりしますが、それだって彼女を精神崩壊まで追い詰めてフィニッシュです。そういう意味では徹底していると云えなくもありませんが。
 ただこの幼馴染の女の子が壊れるシーンでは、自分の部下で非常に冷たい女性であるところのヒルダが少しだけ女性らしいところを見せたりしていてちょっと違う感じはあります。
 上でもちょっと名前を出した『SEEK』は、あくまでも「SM調教」の作品でした。だから顔に傷をつけたりとかはタブーみたいなことがあったんですが、これは「尋問」ですからそんな甘っちょろいルールがありません。カミソリで体を少しずつ切りつけるとかそういうの容赦なし。ガンガンいこうぜってなもんです。
 さらに、流石と云うかそのへんの描写は過酷なまでに詳しくて、読んでいるだけで体中が痛くなってきます。女の子を乗馬用のムチでひっぱたいて血が噴き出すとか、逆さ吊りにして頭から食塩水の中に入れるとか、マジかよってくらい痛々しい。SMものなんかだとせいぜい「痛そうだなあ」くらいなんですが、こっちはもうそれどころじゃないわけです。
 なんて云うかうまく云えないんですけれども、女の子が痛がっている様子が伝わってくるって云うんでしょうか。このへん、よくテレビなんかに出てくる美少女ポルノが云々なんて云ってるオバちゃんおっちゃんが見たら気絶するんじゃねえのかってくらい克明です。
?  こういうのって、台詞がどうしても悲鳴か説明的かに偏りがちなんですがそういうのも特になく。このへん、そういうのが好きだという人からすればものすごく満足度は高いと思います。この手の作品の老舗は違うぜと云うところでしょう。
 いわゆるメインで尋問を受けるキャラクターは5人。そのほかに仲間というか部下の女性が1人、1回尋問を受けるシーンが出るだけのいわゆるサブキャラクターが数人います。
 と云うと結構ボリュームがあるように聞こえるんですけれども、実はゲームを始めてから早ければ3時間くらいでエンディングにたどり着いてしまいますので、はっきり云って短いです。ある意味でこれはシステムの都合上仕方が無くもあるんですけどね。むしろこういう作品ですから、「いろいろやんないとエッチシーンが拝めない」よりはいいのかもしれませんが。
 ただ、その「1回しか出てこないサブキャラクター」とか、あるいはその部下の女性・ヒルダとかが結構キャラ的においしかったりするんで、なんとなくもったいないなあって気はします。

<CG>
 今までのアセンブラージュ(たっちー)のアクの強い絵と比べれば、だいぶ一般的というか普通の絵になったなあという印象ですね。キャラによっては結構可愛かったりもします……が、結局彼女たちもほとんど拷問の憂き目なんでそんな悠長なことも云ってられません。相変わらず目をむいたときの絵とかは依然としてたっちーテイストいっぱいです。
 でも全体として見れば、クセもなくて見やすいのではないでしょうか。
 ただ、いわゆる拷問とかそういうあれですので、血なんかはすごい勢いで飛び散ってたりします。そういうのが苦手な人はちょっときついかもしれません。ていうか、そういうのが苦手な人はそもそもこの作品手に取らんよな。

<システム>
 正直、ちょっとしょぼい感じ。クリックに対する反応が妙に遅かったりするのもアレですが、なんかセーブロードしようとすると「計算式が云々」みたいなエラーメッセージが表示されたりします。それでもちゃんとセーブもロードもできるんでいいっちゃいいんですけども、あんまり気分のいいものではありません。
 さらにフラグ管理もむちゃくちゃ。捕まえたはずの女性が町で普通に店を開いていたり、「ライバルに取られた」みたいなことを云ったり、ちゃんと読んでいるつもりでも時系列がむちゃくちゃです。
 「ストーリー」の項目でも触れたように、展開的にそういうストーリーなんかは作品の趣旨からすればどうでもいいっちゃいいんですが、じゃあ作るときも適当でいいかというとこれはやっぱりちょっと違うと思うんですよね。
 女性を捕まえて尋問(拷問)する順序とかによってストーリーが変わるとかそういうあれもありません。
 攻略フラグを全部取ったわけではないので詳しくはわかりませんが、あえて云うなら一応レナに関しては早めに進行させておかないとゲームオーバーになったりもするのかな、という感じ。
 他は戦略性などまったくなくて、一人を捕まえたら最後までその子だけを集中的に狙っても、満遍なくやっててもたいして変わりません。スキップが早かったりセーブポイントが多かったり、シーン単位で回想モードがあったりするのはなかなか悪くないんですけどね。
 つまりまあ、「一人エッチに使うためのツール」としての機能については問題ありません、ということでしょうか。

<音楽>
 雰囲気の都合上、基本的に暗い曲がほとんど。ほとんどっても8曲しかありませんけどね。
 ですので正直殆ど頭には残りませんが、製作側にしたって別にそんなことはどうでもいいのでしょう。それにしてはミュージックモードがあったりしますが。それよりも声ですよ声。これがみんな巧くて、妙に臨場感があります。
 もちろんそれだからと云って惚れたとかそういうあれはなくて、ただひたすらに痛そうだなあ苦しそうだなあ辛そうだなあなわけですけれども。
 ま、「ボイス……女性のみ「絶叫フルボイス」あり」って書いてあるしな。

<総合>
 以前、『ミッションスレイブ拷問遊戯』とか『牲2』を薦めてくれた友人のオススメ作品だったんですが、こりゃあれですね。強い精神力があるか、あるいは余程サディスティックな行為に興味が無いと楽しむのはキツイです。特に血がダメな人はまずロックアウト。そんなのそういうのがテーマの作品なんだから当然と云えばあまりに当然なのかもしれませんが。
 逆に云えば、そういうのが好きな人なら充分に納得できる作品なんだと思います。そういう意味では、一種のフェティッシュな欲望を満たすための「エロゲー」なのでしょう。この手の作品は、そのジャンルが好きな人にはたまらない逸品になりますが、そうでない人にはただキツイだけの作品になっちゃいますから。
 この作品、秋葉原とかの中古店でまだ妙に高値がついていたりするのも、きっとそのあたりに理由があるんだと思います。「そのジャンルに興味がある人は買うけど手放さないし、中古で売るくらい興味のない人はそもそも買わない」と云うような。
 これはこれで、「エロゲー」の一つのあり方ではあるのかなとは思います。ただまあ、先の『ミッションスレイブ』とか『犠2』よりはなんとなくよく出来ている感じはしました。この二つがあらゆる意味であんまりだったというだけかもしれませんが。
 ただ、もうちょっと尋問そのものにバリエーションと云うか、ボリュームがあってもいいのかなという気はしましたね。極端なことを云っちゃえば、「ちょっとしたストーリーと音声、音楽が付いたCG集」みたいなものなわけですから、それなりのバリエーションがないとなかなか成立しづらいかなと。このへんは難しいところなんですが。

2004/11/24

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