Silence 〜聖なる夜の鐘の中で〜 (e-エレキテル)
項目 | シナリオ | 絵 | システム | 音楽 | 総合 |
ポイント | 2− | 4 | 1+ | 4+ | 6 |
シナリオ:
原画:
音声:
主題歌:
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このゲームに関しては実はあんまり触れたくないなあというのがあります。なぜならわたし、これマジで結構期待して買ったんですよ。発売日前から発売を心待ちにしたソフトなんてそんなにありませんでしたから。
でも残念ながら、ここは「それなのに」という逆接の接続詞で結ばなければなりません。それなのに、この作品、ことごとくわたしには合わない作品だったんですよ、結論としては。だもんで、期待していた分評価がきつめになってるきらいもありますが、そのへんはまあ各自修正お願いしますということで。
で、まずシナリオです。あくまでもこれはわたし個人が感じたことなのでと前置きをしながらも怒る人がいることを覚悟で言うなら、シナリオ云々以前に、この作品のシナリオは文章として未完成すぎます。なんというかな、書いた人……シナリオライターの頭の中には、きっと流れるように一連のストーリーが絵付きで浮かんだのではないかな、と思うのですよ。だからシナリオライターさんの中では、物語のすべての物事にちゃんと説明がついてるわけです。でも、それを文章に直すときに、思いついたままに書いてしまうと、これはもうその物語が頭の中にない我々にとっては、なんじゃこりゃあ?になってしまうわけですね。悪く言えばその文章の独り善がりな感じでは、読んでいても情景がさっぱり浮かんでこないし、もうただただ退屈なだけです。そんなだから、シナリオが盛り上がるべきシーンでも、おそらくシナリオライターさんの頭の中では盛り上がってるんだろうけどね、というような淡々とした感情しかこちらは持てません。
それに付随する絵ですが、こちらは個人的に物凄く好みです。ま、この絵に惹かれて買ったようなものなのでそれはまあわたしにとっては当然の話なのですが。キャラクターに関しては、立ち絵もイベント絵も抜かりなく可愛いというのはこれはもうすごいことだと思います、わたしは。ただそのかわり背景はかなり適当というかなんというかで、ロビーの階段なんかもう病人が登ったら蒲田行進曲よろしく転がり落ちそうな角度が着いていたりするし、病室なんかもちっとも病室に見えなかったりするしでなんだかなあ、といったところです。
システム……はちょっと置いといて音楽ですが、これもかなりいいです。歌はオープニング・エンディング2曲あわせて3曲収録されてるのですが間違いなく名曲だし、一曲一曲もなにげに名曲揃いです。……なんですが、これがもうまったくシーンにマッチしてません。曲が浮いてます。勿体無いことこの上ないです。
で、システム。これはもうなんというか……どうにかならんかったのかなあ、というのが正直なところでした。バグが云々というのももちろんありますが、これはまあわたし自身は修正ファイルが上がってからやったので問題なかったのでまだよく、そうではなくてゲーム中システムのありとあらゆる場面でイライラさせられるのです。
セーブポイントの数は不満なしです。というか、フラグ自体は物凄く単純な作品なので、セーブポイントをそんな頻繁に使うわけではないのでというのもありますが。まず根本的に、フルスクリーンでしかゲームが出来ないあたりでちょっとアレなのですが、それより何より一つ一つの動作が遅く、それを早くする方法がないのにはもうとんでもなくイライラします。メッセージスキップはもうこれでもかというくらい遅いし(これでもメッセージは「瞬間表示」でやったのですが)、画面が切り替わったりキャラの表情が変わったりするのが遅い遅い。CTRLキーを押しっぱなしでスキップなんですが、スキップ状態でもちゃんと文字が読めるんですから、これはもうスキップとは言いません。
さらにオープニングとエンディングのムービー?ですが、これ、スキップできません。いちいち全部見なくちゃならんのです。もしかしたらなにか方法あるのかもしれませんがわたしにはわかりませんでした。最初はいいんですが何度かやってるうちにもういいよという気になってきます。これは間違いなく。
この作品、とにかくいろいろな部分で、やりたいこと(目指したこと)と出来上がったものとが、細かい部分の歯車の微妙な狂いの積み重ねによってまったく別のものになってしまった、ある意味では極端な例なんじゃないかな、と思うんですよ。なんというかな、泣いてくれ、感動してくれというオーラはあちこちから感じるんです。で、実際、もしかしたら泣けるかなあ感動できるかなあという展開もあります。でもそれが、たとえばシナリオの文章そのものであったり、展開であったり、ちぐはぐなシステムであったり、いろいろなものが積み重なって一つの「Silence」という作品に仕上がったとき、まったく別の、なんじゃこりゃな作品に仕上がってしまったと。
ある意味、「バカゲー」に入れてもよかったのかもしれません。ですが、いろいろな意味合いを込めて、わたしはこの作品をあえて茶化すことはしません。そのかわり、多少キツめな感想を持つことにしました。この作品が好きな人には申し訳ないんですが、これはもう、少なくともわたしにとっては「合わなかった」としか言えない作品でした。
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