シ・カ・エ・シ (Foster)
項目 | シナリオ | 絵 | システム | 音楽 | 総合 |
ポイント | 2+ | 4− | 2 | 2 | 5+ |
シナリオ:
原画:
音声:
主題歌:
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-「エロゲーのなんたるか」-
きわめてシチュエーションが独特のお手軽エロゲーです。
主人公は幼い頃から女装させられて育ち、今では女の子として女子校に通うレッキとした男の子。彼がクラスメートの好きな女の子の下着で自慰行為に耽っているのを見られ、男性だと言うことがバレたところが原因でイジメがはじまりますが、あるときをきっかけに一念発起してそいつらにしかえしをしてやろう、というのがまあだいたいのあらすじになります。
まあ、シチュエーションは斬新です。被虐心と加虐心(なんて言葉があるのかどうか知りませんが)両方を一度に補填しようとして、主人公を「女装を強制されてきた男の子」にしているのも非常に巧いです。ですが、その二つをフィフティー・フィフティーでやってしまおうとしているが故に、非常に中途半端なシナリオ展開になってしまっている点もまた否めません。主人公が女の子たちに仕返しをしようと思った動機も一部キャラにおいては非常に弱いですし、仕返しをはじめたところで、それまで強気だった女の子が、一気に屈服してしまうというのは、いくらなんでもあんまりです(例えば、女装を強制してきた、諸悪の根源とでも云うべき叔母なんかは、えっちを一回しただけで一気に屈服してしまいます)。最初は嫌々だったのが、何回か繰り返すうちにだんだんと、というような段階が合ったほうがエッチを楽しむ視点からしてもいいんじゃないかなあ、とか思ったりもするんですが。
さらにはそれに伴い、一度エンディングに辿り着くまでの時間があまりに短くて、シナリオそのものが「お手軽」になってしまっているのもちょっといただけませんでした。文章単体そのもののテンポはよくて、読み進めていくことになんの不満もないレベルなだけに、なんとなく勿体無い感じがします。
反面、エッチシーンは多いです。主人公がいじめられるエッチシーンも、逆に「仕返しをする」エッチシーンもふんだんにありますので、まあ、実用向けと云ったところなのでしょう。それに伴い、絵のクオリティや音声のクオリティもかなり高いので、このあたりを求めてプレイするのであれば、おそらくまったくなんの不満もないと思います。
ただ、システムはかなりダルで、シーンの転換ごとに演出らしきデフォルメキャラのアニメーションが入るんですが、これがキャンセルというかスキップできません。時間にすればおよそ5秒やそこらのものなんですが、いちいちシーンが転換するごとにこれを見せられると、かなり苛々してきます。ちょうどコンシューマゲームで、CDを読み込んでいるときに出る「NOW LOADING」画面のようなものです。メッセージスキップ時には飛ばされるので、なくてはならないものではないことは明らかですから、せめてマウスのクリック一発で飛ばせるようにしてくれればいいのになあ、と思わずにはいられません。エッチシーンを早く見たいなあと思っている人にとってもジャマなだけなんじゃないかなと思います。
さらに、「怒りゲージ」。これはどういうものかというと、最初の苛められパートで、どれだけ対象の女の子に怒りを感じたかに応じて上昇し、それによって仕返しパートでの行動や結果が変わる……そうなんですが、これ、ほとんど意味を為しているようには思えません。なんとなく戦略性が高いように聞こえるんですが、仮にこれが意味を為していたとしても、「苛められパート」があまりに短いので(仕返しパートも長くは無いんですけどね)、簡単に選択肢ツブシができてしまいます。ただまあこれは、「エッチを見る」ための作品であるとするならば手っ取り早くていいわけで、あながち否定も出来ないんですけどね。
でも、この作品に関してもやっぱり一番勿体無いのは、「女装を強要されている主人公」というシチュエーションが、エッチシーンに殆ど生かされていないということだと思います。前半の苛められパートでも後半の仕返しパートにおいても、主人公が女装をしているという状況は殆ど意味を持ちません。この作品のほかに無い魅力はおそらくそこにあるわけですから、特に前半の苛められパートにおいて、「女装させられている」というのは被虐心の強いプレイヤーに対しての強烈なプライオリティであり、魅力になると思うんですが、この作品では、共学の学校で主人公が普通の男子生徒だったとしてもまったく違和感の無いエッチシーンが殆どなんですね。一応、主人公は、「女装をするだけで興奮してしまう変態」という設定になっているわけですから、前半においてはそこを徹底的にアピールしても良かったんではないかなあ、と思うわけです。
後半の仕返しパートでもそれは同様。もっとも、仕返しパートはこちらが一方的に女の子を苛めるわけでして、確かに女装云々を生かすエッチシーンの設定と云うのはきわめて困難なのは理解できるのですが、やっぱりちょっとあっさりしすぎてるかなあ、という感じはしますね。もちろん、濃い陵辱モノというのが最近はめっぽう多くて、そういうのはもういいよという考えの人がやるにはちょうどこのくらいの味付けのもののほうがいいわけで、一概にこりゃダメだと言い切ることもできないわけですが。もっとも、先に書いたようにエッチシーンそのものは結構ねちっこいんで、まあ、そういうのを求めるんであればまったく問題なし。エッチシーンにも簡単に辿り着けますし、満足させてくれること請け合いです。
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