巫女縛り(可憐ソフト)
項目 | シナリオ | 絵 | システム | 音楽 | 総合 |
ポイント | 2+ | 3 | 3 | 2+ | 5− |
シナリオ:広川マコト
原画:えのもとひろあき
音声:有
主題歌:無し
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<シナリオ>
緊縛に興味があって、さらに巫女さんが好きでたまらないという主人公(学校の先生)が、自分の意のままに操れる縄を入手し、地域振興で巫女装束で学校に来ている二人の女の子を縛ってエッチなことをしてしまおうという、これでエンディングまでストーリーを語りつくせてしまいます。そういう意味ではこれネタバレです。ネタバレしたところで誰も恨みはしないと思いますが、と云いますかこれくらいのことは既にパッケージの裏にも書いてあるんですが。
とまあ、そういうことですので、話に内容なんてまったくありません。地域振興で神社関係の女性に巫女装束が無料で配られてその格好で学校に来ていたり、いきなり女の子に告白されて縛ってエッチにもつれこんだり、もうむちゃくちゃです。世界観もなにもあったもんじゃありません。
ついでに、絵のあるキャラは二人だけです。攻略対象も二人です。絵のないキャラも、クラスの生徒が二言三言台詞があるだけですので、実質的に主人公とこの二人しか出てきません。
この二人は一応設定上姉妹で、妹に告白されて物語が始まるわけですが、その直後に姉とお付き合いを開始して(フラグどうこうではなく強制的にそういう話になります)、それがバレても特になにもありません。三人で仲良くエッチして終了です。話的にはそのくらいのものしかありません。
ということで、当然ボリュームもまったくありません。2時間もあればコンプリートできるでしょうか。スキップを使えば1時間くらいでしょう。
基本的にただどっちとエッチをしたいかを選んで、3回ほどするとその子独自のシナリオ(と云っても基本的にはただエッチなことをしているだけですが)が始まり、これが時間にして十分くらいで終わる感じです。二人同時に話を進めると、上にも書いたとおり姉妹と三人でエッチをする話になります。
そういう意味で、実に手軽です。物語展開的な話なんてまったくありません。アダルトビデオの意味のない物語部分みたいなものです。
今までもこういう「エロ中心」みたいなアダルトゲームをやったことがないわけではありませんが、その中でも徹底しています。
そのなんと申しますか、今までいろいろな作品の物語を勝手に語ってきたわけですけど、これを物語的に語ろうという気にはなりませんし、そもそもそんなもの不可能です。ついでに、攻略キャラクタ二人もゲームが終われば名前も忘れてしまうくらいの印象しかありませんし、キャラクタをどうこう云うようなあれでもないでしょう。
と云うわけなので、基本的にこれはもう「エロ」です。
コレ、そういう視点から見ると、案外悪くないのですよ。
基本的には通して巫女さんを縛ってどうこうですから、そういうのが好きな人にはよいでしょうし、台詞回しとかも何気にエロさはあります。
ただ、シチュエーションそのものがちょっと単調になっているきらいがあって、それがちょっと気にはなります。たとえば基本的に女の子二人とも縛られることに最初から順応してしまうので、縛られるのを嫌がる女の子、というシチュエーションが好きな人にはまったく向きません。ひとつのパターンの中で縛る形が違うだけの差なので、ちょっと飽きてきてしまうところがあります。もともとそんなにボリュームがあるわけではないので、もうちょっとバリエーションが増えてもいいのかなという気はします。
キャラクタが巫女さんである意味もまったくなく、ただ巫女装束を着ているだけの記号にすぎないあたりほとんどコスプレアダルトビデオと同じ感覚です。舞台が神社になることがあるくらいで、学校で巫女装束でエッチをしたりしますから、あまりそのへんも考えられてはいません。手軽にエロが見たい、という向きには面倒な設定など要らん、ということなのでしょう。
そのへん含め、物語はもちろん、エッチシーンの数々からもあまり書き手の「巫女さんが好きだ」という思いも伝わってきませんし(実際別に好きではないのかもしれませんが、そのへんはわたしの知るところではありません)、徹底的にエロに対してドライです。フェティッシュなシチュエーションゲームなのにも関わらず、そういう熱さとか思い入れみたいなものはまったく感じません。
そういう意味で、面白みはあまりありませんが、なんとなくエロいテキストが読みたい、というのならこれはこれで、という感じでしょうか。
細かいことを云えば、「?」とか「!」の後は一角空けて続けたほうが読みやすいのではないかなとかそんなことは思ったりしますけども。
<CG>
なんとなく色合いとか含め同人ソフトっぽい感じの絵柄ですが、クオリティ面ではそんなに悪くはありません。好き嫌いのあまりない絵ではないかなという気がします。立ち絵のパターンもそんなに多いわけではありませんが、過不足も感じないのでこんなものでしょう。
低価格ソフトの割にはCG枚数は比較的多いのではないでしょうか。立ち絵以外はアダルトシーンしかイベントCGはありませんが、枚数はそれなりに揃っています。
シチュエーションはどれも一貫して「巫女さんの緊縛シーン」なので、その手の趣味の人にはたまらないのではないかと思います。
<システム>
普通のアドベンチャーゲームシステムで、特に凝ったことをしているわけではありませんが、一通りのことはできますしストレスはありません。スキップも高速ですし、セーブデータの数もゲーム自体のボリュームからすれば考えられないくらいありますから、これで不満を覚えることはないと思います。
<音楽>
歌はなし。劇中曲も全部で6曲しかなく、タイトルも「Track1」〜「Track6」なんで、まあ、作る側も聴かせようと思って作ってるわけではないでしょう。流れてればいいだろ、的な扱いです。実際、イージーリスニングみたいな曲で、特に頭に残るとか云うわけではありません。
それでも音声のほうは結構気合が入っています。会話のほとんどがアダルトシーンで占められているのですが、そこそこのエロさはありますので、そういうニーズは満たせるのではないかと思います。そこに注力しなければ作品の存在意義さえ失ってしまうでしょうし、無理からぬことではありますが。
<総合>
この作品、最近一つの流れとして立場を確保しつつある「低価格ソフト」のジャンルです。実際、これも定価で3000円と非常に安価。フルプライスソフトの半額以下です。
分厚いマニュアルもサントラも原画集もついてこない、トールケースのシンプルなパッケージですが、これはこれで一つ路線としてアリでしょう。
価格的に手を出しやすく、エロに直結させるという方法論は、アダルトビデオでもよくあるような、低価格で何本も入っているタイプの「お買い得エロ」を売り物にするというものなのでしょうが、不況が叫ばれる昨今、財布の中身も時間もあまりないけど、手軽にゲームのアダルトシーンが見たいというユーザのニーズには答えているものだと思います。(ただし、単純にコストパフォーマンスを計算した場合、フルプライスソフトに比べて必ずしもそれに見合っているかと云われると疑問であるということは留意しておく必要があると思います)。
作品自体はまあなんと申しますか、値段相応と云いますか、それ以上でも以下でもありません。基本的にはアダルトシーンの連続で話の脈絡もなく無理やりにつなげてあるだけですし、話なんかあってないようなものですが、「そこそこエロ需要が満たせる」のが目的なのでしょうから、これはこれでいいのでしょう。
フルプライスの作品しかやったことがなく、こういう低価格路線の作品もやってみたいなと思っていたところで購入したのがコレだったのですが、まあ、こういう作品に対してのニーズはこれからも増えていくのでしょう。
別に記憶に残るような作品ではありませんし、後でもう一度やり直したいと思うような作品でもありませんから、まさに「使い捨て感覚」のアダルトゲームなわけです。
だからもう、難しいことは云いません。パッケージの裏のサンプルCGを見て気に入ったら買えばいいし、そうでなければ手を出さなければいいというそれだけの話で、それはちょうどコンビニで「なんとなくおいしそうだから」と菓子パンを買うようなものです。考えて買うようなものではありません。
値段的にもそうそう抵抗のない金額ですし、それでちょっとエロい気持ちになって満足して、飽きたらアンインストールするという、そういう作品なのだと思います。
2009/08/05
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