あそび塾(An*tique)

項目シナリオシステム音楽総合
ポイント2+2+3+5−
シナリオ:
原画:
音声:
主題歌:

-物語方面が非常に惜しい-


<シナリオ>
 まあなんというか、急死した父親が経営していた学習塾で女の子たちとエッチなお勉強を、なんていうのが大まかなコンセプトなんですが、あまりこれといって物語らしい物語があるわけではありません。個別キャラのシナリオに入っても、まあ一応その女の子が抱えている過去なり現状なりを解決するという過程は描かれますが、これ自体は非常にあっさりしたものです。1ゲームがそんなに長くなく、およそ2時間程度でだいたい1キャラのエンディングまではたどり着けますから、正直なことを率直に云えば、物語構成や展開、それぞれの結末に見るべきところはそんなにないです。
 ですが、反面、エッチ方面のテキストはかなり濃厚。『夜勤病棟』なんかの陵辱モノを手がけた米倉俵氏がシナリオを担当しているのですが、ここの濃さはもう流石です。展開上、どちらかといえばロリ系というか幼い感じの女の子がほとんどなことと、緊縛系の描写が非常に多いので、そういう系列のエッチがダメだというのならもうお手上げなんですが、そうでなければこの絶妙な描写バランスはかなりハマるはず。モノによってはエッチシーンというのは、なんだかもうひたすら女の子があえいでいるだけで面白くもおかしくもない興ざめものになってしまうこともままあるのですが、この作品のエッチシーンは、状況の説明・心理状況からの行動をきっちり抑えた後で表面的な描写が入るようになっていますので、文章がそれ単独で読んでもきっちりエッチさを感じることができます。こういう丁寧な書かれ方は、読んでいてもなかなか飽きません。
 また、エッチシーンそのものも毎日毎日同じようなものを繰り返すというのではなく、日によってちゃんと違うものが用意されています。もちろん同じシーン・状況の使いまわしがないわけではありませんが、基本的にはたとえば一日目と二日目では女の子のエッチに対する感じ方や興味の度合いが変わってきていますので、展開の上でのエッチはかなりバリエーション豊かに楽しめると思います。また、エッチと通常物語とのバランスも非常に良くて、なんだよまたエッチシーンかよというようないい加減にしてくれ感というのはそんなにありません。
 かえすがえすも、その物語そのものの薄さが惜しまれる一作です。まあ、内容が内容だけになかなか深まった物語性を追求するのは難しいのかもしれませんが、それならそれで発端と結論のバランスというのはもうちょっとよくてもいいんじゃないかなあと。キャラクター同士の心境の変化や言動の変化があまりに急で、特に後半部において物語方面での物足りなさを感じてしまいました。酷な云いかたをさせてもらえば、「印象に残りづらい」作品になってしまっている感じは否めません。

<CG>
 間違いなく巧いと思うんですが、これも結構クセのある感じですね。とりあえず間違いなく今のエロゲー主流の絵ではありません。表情なんかは豊かで可愛いし、キャラクターたちのちょっと幼い感じというのは非常に巧く出てるんですが、なまじリアルな系列が若干入っているので、苦手な人は苦手かもしれません。ただ、それだからこそなのかもしれませんが、エッチシーンの絵はなんだかとてつもなく生々しくてエッチです。縛られた縄のディテールまで拘って描かれているのがわかるほどで、第一印象で抵抗がなければ結構お気に入りになるかもしれません。まあ、そもそも立ち絵に比べて一枚絵のほうはクセが若干消えてはいるので、なじみやすいというのはあるのですが。
 ただ、背景と主人公キャラの描かれ方はかなりアバウトな感じ。まあ別にこんなところでやるかやらないかを決める人はいないだろうし、別にいいといえばいいんですけど。

<システム>
 スタンダードな選択肢タイプのアドベンチャーゲームで、スキップなんかの基本的なことはすべて出来ます。セーブポイントもいっぱいあって不足することはないと思います。ただ、ちょっと細かいところで不足している感じはちょっとするかな。基本的にはできることはちゃんとできるんだけど、若干使いにくいというかなんというか。
 まあ、普通にゲームを進行させる分には特に不足はありませんので、これはこれでよいかなという気はします。

 <音楽>
 コンセプトにしっくりきているなあと思ったのはエンディングテーマ。なんだかいかにもという感じの妙に暢気な曲で、聞いてるとなんとなく楽しくなってきます。音楽に関してはそれくらいであまり印象深くはありませんでした。一応、あるキャラクターのときのみ聞くことができる挿入歌が存在しているのですが、これはまあいかにもアイドルソングといった感じのテンションの高い曲で、聞いている分にはなかなか悪くはありません。これはまあ歌っている声優さんの演技力というのもかなりありまして、声に関してもみんな文句なし。すすっとイメージ通りで入って来やすいです。なまじキャラクターが幼いので、声質も全体的に幼くなってしまうのかと思っていたのですがこれがそうでもなく、きっちりキャラクターごとに個性が出ています。

<総合>
 エッチ方面だけを見れば間違いなく良作なのですが、如何せん物語展開のほうがあまりにあっさりしていることが非常に惜しいです。まあ、それでもどうやら原画を担当されている方は著名な漫画家さんだと云うことで、この絵のファンならば絶妙なシナリオと併せてなかなかに満足できる作品になりますでしょう。そういう意味では、まあ純粋なエッチゲームですね。個人的にエッチの方向性の趣味はともかく、絵の微妙なリアルさとキャラクターの幼さの生々しさにどうにも馴染めずに終わってしまって今ひとつ入り込めなかったというのが事実ではあるのですが、それはまああくまで個人的な話なので作品そのものの出来とはあまり関係ありません。この類の作品に物語性を求める人というのはあまりいないでしょうから、ほんとに絵とコンセプト、第一印象の好き嫌いですね。波長が合った方には間違いなくオススメの一作です。

2002/12/20


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