山宮浅間神社


 浅間様と云うと今では富士宮にある富士宮浅間大社ですが、古くはこの山宮浅間神社から始まりました。ここにある説明によれば、御祭神は木花佐久夜毘賣と浅間大神で、神殿を持たず、富士山を直接祀るという奈良県の大神神社のような古代祭祀の形態を残している貴重な場所です。実に由緒ある場所で、かつてここが「山宮」だったのに対して、人里にある行きやすい場所に建てられたのが「里宮」である浅間大社だったとか。まあ決して行きやすい場所ではないし、行っても人がいたことがないのであんまり知られた場所ではないのかもしれませんが、静かで本当にいいところですよここは。浅間大社に参拝したときは必ずここも立ち寄るようにしているのですが、鈴とお守りを売る場所と社務所と絵馬奉納所があって宮司さんや巫女さんがいて……というようないわゆる「神社」の雰囲気はありませんが、ここはもっとなんというか、一言で云えば得体の知れない畏れを感じさせてくれる場所ですね。一人でここに来てじっと耳を澄ましていると、なんだか自然の中に吸い込まれていくような感じがして、ああもしかしたら神様ってほんとにいるのかもしれないなあと思わせてくれます。
 まず一番上の写真の門をくぐると、こんな石段が姿を見せます。頑張って登ってください……ってもまあ別にそんなえらい大変だなあというよなあれではありませんけれども。頂上まで登ると鉄の扉がありますので、それを開ければ中に入ることが出来ます。
 中はこんな感じ。本当はこういう神域というか神籬で写真を撮るというのはあまり好ましいことではないのですが、まあそのあたりは申し訳ございませんと心の中で謝りつつ。ちょっと解りづらいですが、真中にある石が磐境……つまりは祭壇ですね。この先には富士山があり、ここから直接富士山をお祀りする形になっています。かつてはこの場所を特殊な聖域として守るため、地域にはさまざまなタブーがあったらしいですが、いつ行っても必ず参道や磐境には新しいお神酒などが置いてあるのを見ると、長い年月を経ても守りつづけてきている人々がいるということにこの場所にある深い意味を感じることができるでしょう。


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