巫女装束です。いわゆるコスプレ衣装ではなく、神社などで実際に使われている本物であるらしいです。もちろんモノ自体は着古しの中古であるとかどっかからかっぱらってきたとかそういう素性の知れないモノではなく、きちんとした新品ですよ。 これは社務所等で仕事をしたりするときの簡単な服装ですので、神楽舞を舞ったりするときは、この上に千早という薄手の上着のようなものを着用し、髪の毛には簪(かんざし)や冠をつけ、手には神楽鈴と呼ばれる鈴を持ったりなんかすることになります。さすがにここまでのものはなかなか大きな祭りにでも行かないと見ることができないかも知れませんが、これはやはりもう本当に美しいの一言に尽きますでしょう。まあここに来ている人の多くはそういうこと云われないでもわかってらい、みたいな人ばかりだと思いますが。 まあ、どうせ揃えるのであればまあ冠や簪は無理にしても千早くらいはいっしょに揃えたいところではありますね。これから一式揃えようと思っている人は是非。そんな人いないと思うけど。 |
おなじみ「巫女さんの上着」。正式名称は「白衣(はくい・びゃくえ)」です。ご覧の通り結構な長さがあるのが特徴。まあ別にこれに関しては見てのとおりで特に解説とかそう云うあれは必要ないような気もしますな。着方も別にただ袖を通すだけだし。併せは左前、ってこれも別にわざわざ云うようなことではないな。もちろん色は明るい白。 ただし、本来これをいきなり素肌の上に着用することはなくて、襦袢という下着のようなものを着てから上に重ね着をするのが普通です。神社にいる巫女さんをよく見てみると(あんまりじろじろ見ると怪しまれますけど)、胸元は何枚か重なっているはずです。それですね。これも別に巫女装束だからということではなくて和服は基本的にどれもそうらしいのですが。巫女装束をそろえるならば、一緒に襦袢も買ってしまうといざ着るときにちゃんとそれっぽく見えると思います。余裕があれば襟口もあるといいですね。 これまで揃えるのは結構本格的になってきて大変だと云うのであれば、襟口にそれっぽい布を縫い付けてしまえばこれを単体で着ていてもちゃんと重ね着をしているように見えていいのではないかなという気がします。絵を描く方はご注意ください。 |
|
袂はご覧の通り、思っているよりは短いです。袴は基本的に胸のところまであげて着用するため、ちょうどこの袂と袴がいいバランスになるようにできてるんですね。だからこれ自体はそんなに大きいわけではないのだな。実際に着用した上で見ると、ちゃんと手を肩と平行のところにまで持ってきたところ……ジュディ・オングで云うところの「エージアーン」のところですねうわその例えむちゃくちゃわかりにくいわ。つまりちょうど手を真横に持ってきたところで、ちょうど袴に届くかどうかというところまでの長さはあるようです。 |
巫女装束といえばやっぱりこれでしょう。袴です。緋袴・朱袴ってやつですね。 袴にはいわゆる、馬に乗れるようにとズボン型に股が分かれているものと(男性が着ける袴はすべてこれのはずです)、そのままスカートのような形状になっているものの二種類があるようですが、神社によってどれを採用するかはまちまち、といったところですね。どっちが正式、というのもないようです。 洋服のスカートと大きく異なるのは、その形状もさることながら、着用する際の位置でしょう。これもまあ巫女装束に限ったことではなくて和服全体に云えることなんですが、スカートは骨盤のちょっと上あたりになるのが普通なのに対し、袴はそれよりもずっと上……胸の下すぐあたりになります。日本人は一般的に西洋人よりも身長と腰下が短いので、骨盤を中心にするよりも胸の下を衣服のセンターに置いたほうがバランスが取れるからという意味合いで考えられたデザインなのかもしれませんね。だから袴に関しては、洋服感覚で骨盤の上でセンターを出してしまうとたまらなく格好悪いものになってしまうので注意が必要です。 色は「太陽」の象徴である赤。太陽神・天照大神が女性であったことや、シャーマニズム色を色濃く残す自然崇拝神道の流れにからくる色なのかもしれません。それがゆえにドギツイ系列の赤ではなくて、もう少し明るいオレンジが若干混ざったような赤です。写真だとどうしてもオレンジが強く出てしまうんですが、実物はもう少し赤が強い感じ。まさに名前のとおりの「朱色」で、この色合いに関しては見たところどの神社でもそんなに差異はないようですが、島根県大社町の出雲大社の巫女さんの袴は少しそれよりも赤が強かったような感じを受けました。巫女装束の袴は、元来赤は「目出度い色」であるという文化的背景も手伝って、非常に暖かくていい色合いだと思います。 |
|
着方は他の和服とほとんど同じです。先にも述べたように袴の上部は胸のすぐ下になるので、ここまで袴の前側を上げた上でまずは前側の紐を二回回して結び、次に後ろ側を持ち上げて前で蝶々結びにするだけ。口で云うのは簡単なんですが、これを綺麗に仕上げようとするとなかなか難しいようですね。詳しくは下に書いておいたのでご参照くださいな。白衣は本当に胸から上しか外に出ないけど、袴はすべてが外に出ることになるから、この仕上がり……とりわけ紐の結び方で見てくれが綺麗かどうかが決まります。あとは綺麗に見せようとするなら、なるべく袴を胸元まで上げるのが大切。洋服のように腰で結んでしまうとこれはほんとにかっこ悪いので注意です。 ちなみにこの前側に結ぶやり方はそれぞれ神社によって違うらしく、腰の横で結ぶ結び方もあるようです。ただ、袴の後ろ側を引っ掛ける役割をする「帯」は使わないので、そのかわり巫女さんの袴には後ろに回した紐に袴を引っ掛けるための「へら」がついています。つまり朱袴の前と後ろはこの「へら」によって見分けられ、これがついているほうが後ろになるってことです。画像の下側はレストラン「馬車道」などで見かける通常の大正女学生風袴なんですが、これはこの袴が帯の上に袴の後ろ側を固定する形状になっているので、ご覧の通り「へら」がないのが解りますでしょう。袴の作りも主として二種類あり、これは左側の帯がそれぞれ分離して二本になっているものですが、U字型に繋がっているものもあるので注意が必要です。 |