○タウンエースワゴン 購入動機
ビートという車を一言で云えば、とにかく「楽しい車」。それ以外の形容詞はまったく必要ない、と云っていいかもしれません。
ノンターボの軽自動車だからパワーはないけどコンパクトでどこにでも入っていけるし、高速道路料金も安いし年間の維持費も格安。なんせ年間の税金なんか8000円弱。燃費もがんがん回しても12キロくらい走るし、普通に使う分には15キロくらい行くから経済的には凄く楽なんですね。お金の心配をしながら遊ぶことほどつまらないことはないから、これだって「楽しい」ことと密接に繋がっていると云ってもよいと思います。
そのくせ、軽自動車のクセに(なんて云ったら失礼かもしれませんが)オープンカーだから屋根も開くわけで、屋根を明けて秋や初冬の夜に走りまわるというのは本当に最高で、いいストレスの解消にもなりました。
そして何より運転していて楽しい、というのは大きくて。
パワステのないハンドルも走行中はくるくる回るし、回したら回したぶんだけ素直に車が曲がっていきます。絶対的なパワーはまるでないけど、コキコキ入るギアや後ろから聞こえるNAならではの甲高いエンジン音、スポーツカー然としたインパネなんかは座るだけでワクワクしてきます。そのうるさいエンジン音よりちょっと大きいくらいの音でCDを聴きつつ、夜の山道を走っていれば、別に走り屋みたいなことをしなくても十分に楽しかったし、町乗りというかちょっとした買い物に乗っていくのも楽しくなる……楽しさだけを詰め込んだ、そんなクルマでした。
免許を取ってから運転した車というのを挙げれば、家にあったコルサ、ランドクルーザー・プラド、エクストレイルがあるし、レンタカーで借りたマーチもあれば変り種ではシビリアンなんてのもあります。そんな中でも、「運転している」という感覚がもっともはっきり伝わってくる車。なんていうかな、びしっと地面に貼り付いて走っている感覚というかなんというか。
確かにエンジン音で助手席との会話はしにくいし、そもそも助手席なんて狭くて男性が長時間座るにはしんどいし、ちょっと大きい買い物をしたらもう荷物は載りません。新品に交換したスクリーンは二年で微妙に曇り、かなり見えづらくなってしまいました。雨の降った次の日は盛大に雨漏りしてシートがぐっしょりぬれているから、その上に座っても大丈夫なようにゴミ袋を常にクルマに載せてたなんてのもあります。メカ系はエンジンのトラブルは皆無だったのだけれど、シンクロが頑固で特定のギアが入りにくかったりもするしでネガな要素もいっぱいです。
あるけど、それを補うくらいに十分魅力的なクルマだったんですね。
幸い、年式が古い割には程度のいい中古車を買ったらしく(そのぶん値段も高かったけど)、オイル交換もマメにやってたし点検もディーラーでやってもらうという気合の入りっぷり。車検前に新しい車を探したりもしたのだけれど、それでもじゃあ何かに買い換えようとしてもビートより楽しいクルマなんて考えられませんでした。だから車検を通したばかりで、その車検もブレーキパッドのほかプラグ、タイミングベルトやらエアコンベルトやら交換したせいで九万円近い金がかかりまして。普通車並です。でも、それでもまだ乗りつづけられるんならいいやと思っていたんですね。
ところが。前にいた会社の先輩から、このクルマを売って欲しいという申し出がありました。
正直なところ、かなり迷ったんですよ。
先述したとおり、ビートは乗り物として本当に楽しい車です。もしここで手放せば、こんな楽しいクルマに乗れることはもしかしたら将来的にもないかもしれません。
いや、もちろんあるかもしれないけど、これからの年齢を考えれば二人乗りのオープンカーなんていう非生活的なクルマにはきっと滅多に乗ることはないでしょう。
そう考えれば、もうちょっとこのクルマを楽しまなくていいのかというのはすごく思い悩むところでありました。
しかし、どうも、大袈裟な云い方をすれば、クルマに対して求めるスタイルとして、別のタイプを試してみたい気もしていました。趣味の一つに神社巡りってのがあって、そのために高速道路のSAで仮眠を取ったり、モンキーくらいのバイクを後ろに積んで狭い道や駐車場の無い場所ではそちらに乗り換えて移動したりという使い方。これを買うとき、アクティのような軽ワンボックスを探していたのはそれがあったからです。
結局、若い時期しか乗れないだろうしオープンカーにも興味あるしという理由でビートを選び、それにはまったく後悔していないのですが、そういうカーライフスタイルの可能性への憧れというのは常に持ちつづけていました。もしそういう思い切りをするのなら、そのチャンスは今なのではないかと思ったのです。
そしてさらに云うならば、クルマが好きだというずっと昔からの嗜好として、一台だけではないさまざまなタイプのクルマを所有してみたいという欲求もありました。
もっと本格的なスポーツカーも所有してみたいし、RVミニバンみたいなクルマも所有してみたい。クラウンみたいな高級車も所有してみたい。一台にこだわって長く乗りつづけるのもアリだとは思うけど、そんな欲望も確かにあったのです。
ビートを売却しようと思ったのはそういういきさつになります。
ただ、中古車屋に売ってしまえばきっと誰か知らない人が買って乗ることになるのだろうけど、知り合いに売るのであれば、どうしても姿が見たくなったときとか乗りたくなったときとかにまた簡単に会えます。そういう安心感もありました。
ただ、またいつか乗りたいカテゴリーの車ではあります。ビートかもしれません。コペンかもしれないし、カプチーノかもしれません。ロードスターかもしれませんし、すごくお金持ちになってれば、メルセデスSLKやTVRグリフィスかもしれません。
とにかくまたもう一度、せめて運転していて楽しいオープンカーを買おうと。それはどれくらい先になるのかわからないけど、必ずもう一度運転席に乗るだけで楽しめるクルマ、春先に走っていると車内に花びらが舞い込んでくるオープンカー。それを必ずもう一度所有しようと、心から思うわけです。
さて、とりあえずそういうことになったら、新しくクルマを探すことになります。
絶対に譲れない条件は、まずマニュアルミッション車であること。そして、サンルーフでもタルガトップでもなんでもいいから屋根が開くこと。そして2シーターではないこと。この三つです。
運転中くらいは自分で運転している感覚を味わいたい、というのならなんだかんだ云ってもMT車しかないでしょう。最近はスポーツモードATというのもよくあるけど、やっぱりそうじゃないんだよなあと云うような気がするんですよ。
メーカーの新車ラインナップを見ると、最近ではマニュアルミッション自体を設定しない車種もどんどん増えてきていて、そのかわりにスポーツモードATみたいなのをラインナップしているような感じではあるんだけれど、MTが好きな人にとってはそれは代わりにはならんのだということはそろそろメーカーさんもわかってほしいなあみたいなそんなような。
コンパクトカーみたいなクラスでスポーツグレードを謳うなら、せめてそのグレードだけでもMTを設定していただきたいと思ってしまうのですが、それどころかスポーツグレードってのは基本的に最上級グレードになりがちなので、下級グレードにはMTがあるけどスポーツグレードはATしかないみたいな逆転現象さえ起こってきていたりもしてなんともはや。
別にMTのほうが速く走れるとかではありません。最近のATは優秀ですし、わたしみたいな素人が運転する分にはむしろATのほうが速く走れるんだと思うのですが、それでもMTを選ぶのはある意味「車を走らせているという気分の問題」なんですよね。
でも、最近は乗用車でもコラムシフトとかインパネシフトとかばっかりで、そうするとどうしてもレイアウトの都合でMTが作りにくいんだろうなあっていう気はしますが。
で、二番目の条件なのですが、オープンカーを一度味わってしまったからには、もうクローズドな屋根の車というのが限りなく息苦しいというのがありました。
もちろんオープンカーだってのべつ屋根を開けて走っているわけではないのですが、いざというときに「屋根を開けられて日差しを入れられる」というのはやはり大きいんですよ。そりゃまあサンルーフとかTバールーフとかじゃどう考えてもオープンよりも閉塞感はありますが。
最後の条件は、やっぱりなんだかんだでどんなに狭くても後席があるのとないのとでは便利さがまったく変わってくるのだということを思い知ったからに他なりません。これも別にいつも三人以上で乗るわけではありませんが、いざというときに困るというケースはままあります。
と云うよりも、2シーターでよければ別にビートに乗りつづければ済む話なんですよね。ビートにあった構造的な不満ってそれくらいなんですから。
あとは維持費ができれば安い方がいいし、できればトラブルの少ない国産車で、値段がそんなに高くないこと。できれば心理的に安心できるディーラー系の中古車屋で買えればいいかな、ってなくらいでしょうか。本当は運転が楽しい車がいいんだけど、ビートでそれは堪能したのでそれはまあできれば、というくらいでした。
そうすると、まず高級車系はアウト。大排気量で重量級とくれば税金も高くなるし、さらに燃料も食います。さらにはMTの車など皆無に違いありません。
タクシー落ちみたいな、名前はクラウンだったりセドリックだったりするけどグレードは低いみたいなセダンでは時々あって、そういうのをなんとなく力の抜けた感じで乗るというのも悪くはありませんが、そういう安いクルマにサンルーフみたいな装備がついていることなどまずないでしょう。
後付けのサンルーフというのもあるらしいということを知りましたが、素人仕事でルーフパネルやメンバーを切るというのはやっぱりちょっと怖いです。
あとはまあ、セダンで云えばカローラとかカムリみたいなファミリーセダンもとりあえずはまだいいかな、と。インプレッサみたいな本格スポーツカー系セダンや、R34スカイラインセダンみたいなのは渋くて好きなのですが。
まず候補に上がったのは、「四人が乗れるオープンカー」。それなりの年式でマニュアルミッションの設定があるクルマとなると、普通車でS15シルビアヴァリエッタとセリカコンバーチブル、マーチカブリオレ、RAV4幌、エスクード幌、ジムニー幌あたりになり、そこに外車を視野に入れるならプジョーなんかが入ってきます。
カテゴリ自体がレアなので、はっきり云ってどいつもこいつも片っ端から希少車。ファミリアとかシティのカブリオレなんてのもありますが、ここまでいくといくらなんでも年式が古すぎるし第一もうどこにも売ってません。
まず、プジョーとシルビアはカッコはいいし性能も申し分ないんだけど値段が高すぎて話になりませんでした。セリカもたまにあるけど軒並み百万円オーバーで、年式や程度の割には若干値段が高い気が。RAV4やエスクードならバイクを積むことができていいんだけど、幌車が中古車市場に滅多に入ってこないのでアウト。こんなん見たことないよ中古屋で。
そうするとマーチとジムニーなのだけれど、実はジムニーは近所のスズキに入っていたので直接見に行きました。値段はやっぱり希少な幌車とあって少し高めなのですが、それでもなんとかならない金額じゃなくて。軽だから諸費用も安いですし。モンキーが積めるかどうかは微妙なところでしたが。
ただ、実際に見て思ったんですが、あれはちょっときついです。なんていうか、ハードすぎるんですよ。
確かに四人乗りオープンなのですが、まあジムニーだけでなくてクロカン系の幌車はどれもそうなんでしょうけれども、幌を開けるのがものすごく面倒くさいんですよね。街中で幌を明けたクロカン車をほとんど見ないのはこれが原因なんでしょう。
そしておそらくこれを買ったら、わたしも幌を開けることはほとんどないと思いました。
それなら普通のハードトップのサンルーフ車でいいじゃんかということになりますし、それでいて幌と車体の間は隙間だらけで隙間風がぴゅーぴゅー来そうだし、幌のたてつけ(と云うのか)もあんまりよくなくてカーナビなんか付けて繁華街に止めておいたら一時間でなくなっていそう。
はじめての場所に行くことを考えればカーナビは必須。そうするとちとつらい。やっぱりジムニーの幌車なんてものは、オフロードを走り回る男の車なのだなあと実感したものです。
というか、アレなら今のビートでもたいして変わらんのではないかという気もしますね。
マーチはCVTのものは結構あるのですが、MT車はものすごく希少。ぜんぜん出てきません。
それでも神奈川のほうの中古車屋にMT車が置いてあるのを確認していました。時間を見つけていつか見に行こうと思っていたのですが、その店の名前で検索したらなにやらつらつらと悪評が出てきたのでちと敬遠。
ネットの情報をすべて鵜呑みにするわけではないけど、やっぱり高い買い物だし、保証があるかどうか知らないけれども、あったとしてもディーラーではないのでもし故障したら神奈川まで行かないといけないというのはきついです。
あのサイズで電動オープンだったりベースがマーチなので意外と走りのほうも楽しいという話もあったのでちょっと期待していたのですが、なかなか出てこない物件を待ちつづけても仕方がありません。
そういうあれで、本命だった4座オープンカーが消えてしまいました。それじゃあスポーツカーやスポーツセダンでサンルーフつきのものになるのですが、これもなかなかきついんですね。
まずはスカイラインを探しました。なにはなくともスカイラインは昔から憧れの車でしたし、RB20E搭載の2リッターのモデルなら維持費も安いです。ものすごくパワーは無いのでほんとにフンイキだけの車なんだけどその見栄っ張り感は逆に楽しい気がしまして。
スタイルはR34が好きなのでR34のスカイラインセダンかクーペで2000GTサンルーフ付きMT車というのがあればいいなと思っていたのですが、廉価版の2リッターモデルでサンルーフ、しかもMTなんて車を新車で買う人はほとんどいるはずもなく、探せど探せどヒットせず。
排気量を2.5まで拡大すると、R34では高いのでR33がメインターゲットになってきます。R33も嫌いじゃないので別にいいんですがやっぱり値段が高いんですよね。
そうなればR32か。そう思っていたところで、家から近くの日産ディーラー系中古屋に、MTのR32のサンルーフ付きGTS-tタイプMが入っているというのをネットで知って見に行きました。
値段は8万キロ近い走行距離と10年以上前の年式にしてはかなり高め。それでもそれなりに引き合いがあるということなのかもしれないけれど、これもまあ頑張ればなんとかならない金額じゃありません。
で、見に行ったときにまだ店頭にその車はなくて。店員さんに聞いてみたら、あれはまだいろいろ細かい修理とかで近くの工場にあるとのこと。
車で五分くらいの距離にあるので見に行くならそこまで送っていきますと云ってくれたのでお言葉に甘えることにして連れて行ってもらったのですが、そこで行われていたのがいきなり全塗装。
ちょっと待ってくれと。全塗装すれば確かに見栄えは綺麗になるけど、その前に車の状態がどうだったのか確認できなくなっちゃうじゃないか。
まして古い車だから外見のヤレや凹みはそれなりに参考になるはずなのに、並べる時点でそれを直してしまっているわけです。
全塗装だって安くないでしょう。それをやらなければならないほど外見はボロだったということか。
そして、その全塗装代が年式や距離の割に高い値段に跳ね返っているとすれば、中古車なんて中がしっかりしてれば外見なんて多少ボロでも構わないというのが信条のわたしにとってこんなに馬鹿馬鹿しいことはありません。
他にもアルテッツアとかインプレッサとかいろいろありますが、予算に合うものは見つかりそうもなく。
インプレッサはセダン・ワゴンともに時々そういう車体もあるのですが、人気車なのに相場以下ということは走行距離がえらく伸びているとか修復暦車だったりとかさまざまな事情がありまして。
AE111型レビン・トレノも形は好きだし人気があまりないから値段も落ちているのですが、1.6リッター4A-G搭載のBZ-Gとかのグレードになると値段が跳ね上がるし、何よりサンルーフ装着車になるとほとんど一つ下の1.5リッターエンジンを搭載したモデルばかりになってしまいます。
別に峠を攻めたりサーキットを走ったりするつもりはないし、むしろおとなしく使われていた可能性の高い1.5リッターモデルのほうがいいのでしょうが、なんかレビン・トレノと云えば4A-Gみたいな概念が付きまとっててどうにもつまらんプライドの対抗みたいなのがありました。
それならR34スカイラインはRB20Eでいいのかという疑問は当然あるだろうけど、いいんです。スカイラインだけはなぜかわたしの中では特別なんです。気分の問題なのでこればかりは仕方がありません。
で、次に出てきたのがワンボックスタイプのワゴン。レガシィみたいなステーションワゴンも考えましたが、荷物が載るステーションワゴンを買ったらきっとバイクを積みたくなるでしょうし、それならば走りとかは割り切ってしまっていっそワンボックスのほうが積みやすいかなと。
さしあたり、ひとつの趣味であるところの神社巡りをやろうとすると、「狭い道に入っていけるバイクを積んで走れる」「仮眠が楽に取れる」という二つが一気に実現するのは非常にありがたいんですよね。一般的に燃費が悪かったり走行性能が低かったりと不満もありますが。
昔、中学生くらいの頃というのはみんな普通はスープラやソアラのようなスポーツカーに憧れるものですが、わたしは当時からワンボックスワゴンが好きで仕方がありませんでした。
当時はまだステーションワゴンブーム&クロカンブームとかって云って、レガシィツーリングワゴンやパジェロ、ハイラックスサーフみたいな車が大ヒットしていた時代。
今でこそミニバンブームなんて云ってますが、その頃は本当にそんなものは黎明期です。初代のエスティマやセレナ(当時は「バネットセレナ」という名前でしたが)はそれなりに支持されていたものの、プレーリーやシャリオ、MPVみたいな現在のミニバンの潮流にあるものはほとんど無視されていた時代でした。
当時はワンボックスと云えば、最近は営業車でも旧型ハイエース以外はなかなか見なくなったキャブオーバー型のいかにも箱といった風体のもので、「ミニバン」なんて言葉は今みたいに誰でも知っている言葉ではありませんでした。
先のエスティマやバネットセレナの影響でじわじわとその手の車が注目されていた時代ではありましたが、間違いなく中学生くらいの子どもが惚れるような車ではなかったのです。
ですが、なぜかその頃のわたしはハイエースやキャラバン、エスティマやバネットセレナにものすごく惹かれてまして。
その頃の思いをかなえるのもいいかもしれない、というのがありました。
七人とか乗れちゃうのも使うかどうかはともかく便利かもしれないし、クルマの使い道を考えればそのほうが性に合っている気もします。ワンボックス車なら幸いなことにサンルーフ装着率も高いです。
ただ、現代のいわゆるミニバン系の車でマニュアルミッションを設定しているものは皆無で、2004年9月現状、唯一ダイハツのアトレー7だけが新車で買えるMTミニバンだとのことでした(たぶん)。
参考になればと思い、ダイハツのディーラーでアトレー7MTサンルーフ付きの見積もりを出してもらいました。
車両価格は高くないのですが、なんやかんやで150万を余裕で越えるらしく。ビートの売却価格を入れれば買えないこともありませんが、新車だともし飽きても簡単に乗り換えられなさそうです。
なんせMTを選んでいる時点で不人気車確定ですしね。しかも現行型はモデル末期だという話でもありますし。
そういうあれなので、新車を早々にあきらめて中古車で。中古車なら車種はあるのです。年式を古くすればいくらでも出てくるのですが、そのへんは最低でも十年落ち程度で区切ることに。そうしないとキリがありません。
そうするとMT設定があるのは、ハイエース、キャラバン、タウン/ライトエースあたり。バネットラルゴやボンゴは、ディーラー系の中古屋では古すぎてほとんど扱いがないのでパス。
デリカは車高が高くてバイクの積載がやりづらそうなのと、ガソリン車がほとんどないのでこれもパス。あとはミニバンやそれに近い形のものとして旧型セレナ、エスティマルシーダ/エミーナ、初代タウン/ライトエースノア、ボンゴフレンディー、アトレー7。それに軽の各種箱バンあたりが残ります。
ルシーダやノアにMTの設定があったことなど既に知らない人も多いでしょう。わたしも知りませんでした。
……んが、モデルがあるのと実際に条件を満たすクルマが見つかるのとはまったく別問題で、やっぱりありません。
MTのモデルが見つかっても、それにサンルーフが付いているという条件が付いた瞬間にがくんとヒット率が下がります。
まあ、考えてみればスポーツカーの場合は趣味でMTを選ぶ人が多いのだろうけれど、この手の車はむしろ「安いから」MTを選んだ人のほうが多いのだろうことは想像できます。
そうすると、つけるだけで十万円くらいがぽんと飛んでいくオプションのサンルーフなどつけるはずがないのです。
サンルーフをオプションでつけるくらいの人ならわざわざMTなんか選ぶ必要もない。いや、そもそも、MTの設定があるような安いグレードにはサンルーフがオプションでも選択できないということなのかもしれませんが。
あってもエンジンがディーゼルだったりして結局だめ、というのも多かったです。つまり、「サンルーフとかの豪華装備も好きだけどギアは断然MTでエンジンはガソリン」という奇特なユーザーがいない限り、この条件がかなうことは無いのです。
ネットで調べてみたところ、ちょうど車でちょっと走ったトヨタディーラーにそこそこの出物があることがわかりました。
MTの旧型キャブオーバーのライトエースワゴン、サンルーフ付きで走行は31000キロ。値段は30万円以下。これは行くしかないと週末に車を飛ばして見に行ったものの、既に売れてしまっておりまして。条件が条件だけに相当なレアものですから仕方がありません。欲しい人がいたら即決モノでしょう。
残念に思いながらもしばらくまたマメに検索を続けてみたところで出てきたのが、家から一時間くらいかかりそうなちょっと距離は離れているけど行けない場所ではないトヨタディーラーにあった6年式タウンエースワゴン旧型39000キロ。
MTでサンルーフがついているのはもちろん、前のライトエースにはついてなかったABSが付いているとのこと。値段は少し高くなりますが、一応見に行ってみることに。
行ってみると、程度はそれなりでした。というか外見はあんまりよくないかなという感じ。
大きい傷や凹み、サビなんかはないのですが、ボディに細かい傷がついてあんまり艶がありません。10年前の中古車にそんなものを求めても仕方がないんでそのへんは期待していませんでしたし、そもそも外観についてはそれほど気にはしないんでいいんですが。
内装は、ヤレとかはそんなにないけど別段綺麗というわけでもなく。シートに目立った染みとかはないけど、運転席に一箇所、よく見ると小さなタバコの焦げあとがありました。なるほど、前のオーナーがサンルーフを付けたのは喫煙者だからということかもしれません。
気になるほどタバコの匂いが染み付いていたら冗談じゃないってところなのですが、それはまったくありませんでした。
いちばん気になる機関は好調。アイドリングも安定しているし、一発でエンジンもかかります。中の広さも申し分ありません。
欲を云うとグレードがスーパーエクストラなので、できればロイヤルラウンジのほうがよかったなあ、くらいでしょうか。
スーパーエクストラとロイヤルラウンジで具体的にどんな装備が違うのかは知りませんでしたが、とりあえずキャプテンシートと助手席のアームレストが欲しかったもので。
ネットで検索したときには書いていなかったのですが、他に純正のアルミホイールと純正のCDチェンジャーがついており、さらに記録簿を見せてもらえばワンオーナー車。悪くありません。予算の中に充分納まる金額ですし。
ただ、CDチェンジャーはリアの荷室に取り付けられてて邪魔です。これがないとCDは聴けないので、手持ちで余っているCDレシーバーをつけるか、あるいは前から欲しかったMP3対応のCDレシーバーを買うのが一番手っ取り早そうです。
とりあえず事務所に入れてもらい、見積もりをもらってみました。いろいろ話をしてみたところ、そのセールスさんもバイクが好きなんだそうで。今はヤマハのマジェスティに乗ってて昔はモンキーにも乗ってたんだとか。
ついでに今はハイエースに乗ってるらしく、そのあたりの話で割と盛り上がったりしておりました。
セールスさんにも相性があって、この人はそういう意味ではわりと相性がいい気がしまして。話を併せてくれているだけなのかもしれないけど、人によってはそれもしてくれなかったりもしますしね。
肝心の見積もりは、納車と車庫証明を自分でやることにして、その費用をそのまま延長保障にまわします。古い車なんで何が壊れるかわからないので。
エンジンとかのトラブルだけなら標準で付いている一年保障でいいのでしょうが、サンルーフからの雨漏りまで保障してくれるらしいので。希望ナンバーも、法定費用もらえれば手数料とかは無料でやってくれるらしいので、それならこういうところで遊んでもいいかなと。
とりあえずその日はいったん保留にして、一週間後にメジャーを持って再訪。サイズを測ってみますが、はっきり云って申し分ありません。
モンキーくらいならサードシートたたむだけで余裕で積み込めますし、リアドアから運転席後ろのエンジン部分の出っ張りまで2メートル以上あると云うことは、セカンドシートをなんとかすれば全長1.7メートルと大柄なジャイロでさえ積めてしまうということです。
セカンドシート半回転状態で、うまくやればモンキーと原付スクーターの二台積みも可能かもしれません。
もっとも、旅行に持っていって車内で寝ることを考えると、セカンドシートを外すのはちょっと気がひけるのですが。
とりあえずクルマ自体に文句はないのであとは条件になるのですが、件のCDチェンジャー&純正デッキの取り外し、手持ちのCDプレーヤーの取り付け、ついでに今の車につけているサブウーファーの取り付けはいくらくらいでやってもらえるか聞いてみました。
と、無料でいいと。このセールスさんは昔はそういうカーオーディオ取り付けの仕事をしていたらしく、そういうのはお手のものみたいな感じなんだそうで。思わずカーナビの取り付けも頼んでしまおうかと思ったくらい気前がいいです。他にもバッテリーを新品にしてくれたりとかなんとかいろいろと一通りやってくれるとかで。
落ち着いて考えようと、翌々日に連絡する約束だけして帰宅。
と、さらにネットで探してみたところ、近くのトヨタ系ディーラーにMTサンルーフ付きのアトレー7姉妹車スパーキーが見つかりました。
翌々日が祝日だったので行ってみると、距離は1万キロ程度、純正のエアロパーツと黒いボディカラーのおかげで精悍さがあり、さほど商用車っぽくもありません。サンルーフ付きでMTの条件もばっちりです。内
装はまだ新車の匂いがするし、やたら豪華なカーステやエアバックまで付いていて、さらに今ならETC車載機が無料で付くらしいです。
ただ、なんだか微妙に荷室やシートの使い勝手が悪そうでした。セカンド・サードシートともにシートが薄くて座り心地があんまりよくないとか、椅子が回転対座にならないとかはまあいいのですが、とにかくシートの収納が面倒くさいのです。
サードシートは前に倒してフラットになり、セカンドシートはそのまま前に倒れる感じ。ボディサイズが小さいからセレナやタウンエースに比べて狭くなるのは仕方がないにしても(それでもモンキーくらいなら余裕で載るのですが)、シートが収まる構造上、荷室が地面から高いのがいただけません。
あとはあそこまで新しいと、なんだか汚して使うのが気が引ける感じもします。小回りが利くとか税金が一段階安くなるとか燃費が若干いいとか、いいところはいっぱいあるのですが。
しかしまあ、なにより年式が比較的新しいこともあって値段が100万円近くします。新車のアトレー7にサンルーフを付けた値段が140万円弱なので、値引が10万あるとすればその差は30万円。それなら新車買ったほうがよっぽどいいでしょう。諸費用の関係もあるから一概には云えないのですが。
あんまり欲を云ってもしょうがないので、電話でタウンエースの購入を伝えることにしました。パワーがないとか燃費が悪いとかいろいろネガ要素も多いのですが、こういう車の場合はある程度妥協しないことにはどうにもなりません。
っていうか、燃費で考えるとエスティマかアルファードのハイブリッドしか選択肢がありませんしね。ノアとかアトレー7くらいのクラスでハイブリッド、MT設定ありで出してくれればがんばって新車でも買うのに。
ま、それはともかく買うと決まればいろいろ動かないといけないことも出てくるわけで。車庫証明とか面倒だなあいつ行くかなあとか思ってたら、なんか月末の駆け込み登録が欲しかったらしくてセールスさんが無料でやってくれました。なんかもうそのへんの費用だけでかなり引かれている気も。なんというか、やっぱり車買うなら月末ってのはある意味ひとつセオリーではあるかもしれません。
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