フロント。今は滅多に見ることもなくなったシールドビーム式ヘッドライトとフォグランプ。つまり、今の車ならライトが切れたら電球だけとりかえればいいところを、ライトごと取り替えなければならないという非効率的極まりない(そのかわり値段が安いんですね)上、はっきり云って明るさも不足気味。汎用のシールドビームとはいえ自動車用品店とかで替えを見たことないんですけど、出先で急にライト切れたらどうすんでしょ。常にストックを積んどけってことでしょうか。デザイン的にはいかにもオフローダーなデザインで、乗用車然とした今のジムニーとは明らかに雰囲気が違います。 前から見ると、ターボエンジンであることの主張と云うか、ボンネットに開けられたエアインテークが目立ちます。 |
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リアゲートは横開き。中からはドアを開けることはおろか、ロックの解除すらできません。これが結構不便だったりするんですが、どうにもなりませんね。「中からドアを開ける」ということがありえないという前提のもとでしょう。 ハイルーフモデルなので、全体的にちょっと腰高に見えます。このデザインがコアなジムニーファンには受け入れられないというのも、まあ、むべなるかな。だいたい山道入るのに全高が高いというのはいいことではないですしね。 |
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サイドから。小さいです。ものすごくコンパクト。今の軽自動車よりも一回り小さい「旧軽規格」なので当然なんですが。これもまたパノラミックルーフのせいで多少寸詰まりに見えてしまいます。このデザインが(以下略 | |
インパネ。見れば見るほど潔いですね。なんにもありません。内張りすらない、とにかく鉄板むき出しの室内です。安全装備など皆無で、ドアはペラペラ。閉めるときに重みがまったくありません。これなら横から当てられたら間違いなく一発で死ねますでしょう。山道でひっくり返ったら簡単に歪みそうですが、そのへんはたぶんしっかり作られてるんでしょう。 装備は一応エアコンと、社外品のカセットステレオが着いています。1DINだからCDレシーバなんかをインストールすることも一応はできそう。ステレオなんか音大きくしないとエンジン音がうるさくて聞こえませんけどね。あとはとりあえず、洒落で家に余ってた三菱製分離型ETC車載機をつけましたが、これでETCが役に立つほど高速道路に乗ることあるんでしょうか。 エアコンもちゃんと冷風が出たので驚きました。ですが、噴出し口ごとに「冷風」「温風」が決まっていて、例えばダッシュボード横の噴出し口からはどうやっても温風は出ません。 また、やたらと重いステアリングも特徴と云えば特徴かも。当然パワステなんてものはついておらず、据え切りが重いのは当然なんですが、走行中に切っても重いです。このへんが、同じ重ステとはいえ以前乗ってたビートと大きく違う点でしょうか。 |
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メーター周りはものすごくシンプル。その一言。なんにもありません。水温、燃料とタコ、スピードメーターだけです。タコメーターがあるだけでもよし、といったところでしょうか。 スピードメーターは140キロまで振ってありますが、長い下り坂とかでもない限りは、全開走行したところでまず間違いなく出ないでしょうし、出す勇気もありません。 ガソリンの残量計がいい加減で、なんだか上下を繰り返したりするので結構怖かったりします。5速で5000回転を超えると、いかにも安っぽいブザーが鳴って警告してくれるのですが、このときのスピードが大体80〜90キロくらい。昔は高速道路でも二輪車と軽自動車は80キロ制限でしたから、その警告なんでしょう。もちろん無視してブン回すこともできますが。 |
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これが後部座席。もともと4ナンバーのバンなので、折りたたみの出来る「一応ついてるだけの椅子」です。見ての通り、狭いとかなんとか云う以前に、このレッグスペースでは子どもでも足を入れるのは厳しいでしょうから、たぶんひざを抱えて座る感じになると思います。大人4人のフル乗車なんてやろうとすると、後ろの席の人はエコノミークラス症候群にでもなりそうです。ほんとに緊急用ですね。 3人なら、横向きに足を投げ出して座ればなんとか過ごせそうです。パノラミックルーフのおかげで屋根が高いのが唯一の救いでしょうか。 |
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で、これがそのパノラミックルーフ。別に開くわけでもなく、使い道のない後部座席のさらに後ろ、荷室の上に小さく開けられているだけのガラス屋根で、果たしてこれどんな意味あるんでしょうか。光が入ってきて嬉しい、とかそういうあれだと思うんですけども、それにしたって荷室に光を入れてどうするんでしょうか。このあまりの意味のなさが、コアなジムニーファンから敬遠される一番の理由な気がします……が、車を買うときの絶対条件が「サンルーフ」なわたしにとって、こんなんでもあればあるだけ嬉しかったりするもんなんですよ。 | |
後部座席を畳むとこれだけの荷室が出現します。もちろんトリムなんかはされておらず、鉄板むき出しの無骨さ。汚れようがどうしようが知ったことか、という潔さが高感度高いです。 広さはまあ申し分なし。これで長距離の旅行に行くとかっていうのはあまりないと思いますけど、仮にそういうのをやっても充分な荷物は詰めますし、山道に持っていって遊んだりするにも予備のタイヤや工具なんかも詰めそう。 ナナメにすれば、モンキーくらいの原付なら乗りそうですし、そういうのを乗せて泥だらけになってもちっとも気にしなくていいというのはこれはこれで結構いいかもしれません。ほんとに割り切った車だと思います。 |
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5速のマニュアルミッションです。この時代のジムニーにはまだATの設定がありませんでしたから、当時からこれしか選択肢が無かったことになります。 オフロード車らしくものすごいローギアードな設定で、1速を使うのは発進のみ、すぐにシフトアップしていき、街の中では4速か5速で走ることになります。ひとつのギアがカバーしている範囲がものすごく狭いのが特徴で、これで練習すれば運転もうまくなるでしょう。 シフトレバーもえらくフニャフニャで、ギアが入っていてもレバーが横に動きます。よく教習所とかで、「エンジンをかける前にギアがニュートラルに入っているかどうかレバーを横に動かして確かめる」というのがありますが、あれの意味がありません。だってギアが入ってても動いちゃうんだもの。 個体差だと思いますが、一速の入りが妙に渋いです。クラッチを奥まで切ってもギアが入らないことがあったりとか。このときばかりは発進時にちと慌てます。 シフトレバーだけはあまりにも握りづらかったので、以前タウンエースに使っていたRAZOのものに変えました。変えたところでもともとが緩いので劇的に変わるわけではないんですけど、純正のものよりはだいぶよくなりました。 |
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F5A型550ccのインタークーラー付きターボエンジン。カタログでも50馬力ちょっとですから、実馬力ではさらに下でしょう。車体が軽量でもとがアンダーパワーなぶん、過給機の効果は絶大。しかもこれが典型的なドッカンターボで、ターボが作動するといきなり後ろから蹴っ飛ばされたように加速するという、慣れるまでは恐怖を感じるエンジンです。 最高速度はエンジンを壊す覚悟で回せば110キロくらいは出そう。ただ、上にも書いたように90キロくらいでブザーが鳴るので、なんかいかにもこれ以上回すと壊れますと主張されているようでその勇気もありませんし、車体が不安定になるのでそもそも怖くて回せません。軽自動車の割にトルクがあるあたりは、小さくてもやはりオフロード車ですね。 |