○CB750Four K(K7)購入記
CB1300SFに乗り始めて、再びバイクの免許を取ってすぐのころの、あの「わくわくした気持ち」が再浮上してきました。
そういう「バイクに乗るときの高揚感」みたいなものってすっかり忘れていたんですが、ある程度パワーがあって自在に走れるバイクという乗り物の面白さに「気づかされた」感じですね。
考えてみれば、自動二輪免許を取って最初に乗ったKH125は高速道路が走れませんでしたから長距離ツーリングは無理でしたし、次に乗ったフュージョンは高速道路こそ走れるものの、快適でこそあれそれ以上の刺激はありませんでした。
別にビッグスクータを馬鹿にするつもりはありませんが、「快適に」走るならバイクとしては最高の乗り物だと思いますけど、バイクならではの楽しさみたいなものは若干スポイルされているような気はします。
これは、スピードが出ればいい、というような単純な話ではありません。
今の世の中、スピードが出るビックスクータなんて山ほどあります。
もっと、「運転している感覚」というか、もっと曖昧な言葉で云えば「味」みたいなものです。
もちろんスクータには「スクータの味」がありますが、それはまた「バイクの味」とは違うものなような気がします。
それを楽しめればいいのですが、残念なことにその「スクータの味」は、割と飽きるのも早い性質のものなのかな、という気もするのです。快適な移動なら車には勝てないわけですから、バイクだけに乗る人ならそうでもないかもしれませんが、車にも乗る、という人にはどうしても飽きやすいのは仕方がないのではないかと思うのですね。
ツーリングなんかに行くと、町の中ではあれだけ見るビッグスクータの姿をあまり見ないのも、たぶんこういうところに起因するのかな、と。
だからこそわたしもフュージョンのスタイルは気にいっていたけど積極的に乗ることは少なくなってきてしまったし、それと同時に「バイクはもういいや」という気分になってしまったのではないかと思います。
繰り返しになりますが、スクータを否定しているわけではありません。
荷物もたくさん詰めて快適で静かな乗り物としてのスクータは、それだけで充分に価値のあるものだと思います。それはフュージョンを何年も所有してきたわたしでも十分に理解できます。
もうちょっとパワーが欲しいとか細かいことを云えばいろいろありますが、概ねあれはあれで満足な乗り物でした。
ただ、「バイク」というカテゴリとはちょっと違っていて、わたしが「バイク」に求めているものともまたちょっと違っていた、というそれだけの話です。
……まあ、最近ではあんまり爆音マフラーとか爆音オーディオとか、決して品がいいとは云えない改造をされていたり、さらにはあんまり品がいいとは云えない乗り方をする人をこのビッグスクータというジャンルで多く見かけるようになりました。
でも、たとえばビックスクータのマフラーって、ノーマルだとほんとに静かなんです。これをわざわざ音が大きいものに替えたりするというのはわたしにもよくわかりませんが、それが世間の方々のビッグスクータという乗り物のイメージを下げているのは確かだと思います。でもそれはその人固有の問題であって、スクータ自体に罪はありません。
まあ、それはともかく。
気まぐれで取った大型免許をきっかけにCB1300SFに乗ってみて、「やっぱりバイクって面白え!」ということに気づかされてしまいました。
今まで乗ったどんな乗り物にもない怒涛のパワーも、大きい乗り物に乗っているという満足感も、細かいコーナーを曲がるときの操作も、そのすべてがスクータにはなかった、「ああ、バイクってこういうもんだったな」という、KH125をはじめて買ったときの楽しさを思い出させてくれるものでした。
なんでこんな面白い乗り物をほったらかしておいたんだろう?と、自分でも不思議なくらいです。
CB1300SFに不満はまったくありません。高速ツアラーとしての性能はほぼすべて兼ね備えていると云ってもいいでしょう。高速道路で300キロ出したりとか、峠で飛ばしたりみたいなバイクではないでしょうし、わたしももうそんなことができる歳でもありません。そんなことは別にいいのです。
それでも、高速走行を楽にこなし、燃費もよく、乗って操作することを楽しむというバイクの基本については、こんなに素晴らしい車はありません。まさに「バイクの世界の優等生」です。
ところが、しばらくして乗り慣れてくると、この優等生っぷりがちょっと物足りなく感じてきます。
非常に欲張りな話なのですが、このCB1300SFというバイク、ほんとに癖がないんですね。
CB750なき次世代の教習車がコレになるというのも頷ける話で、乗ってしばらくすればすぐに身体になじんできます。
だからこそ逆に、コレに乗り慣れてくると、バイクに対して「味」を求めてしまうのです。
バイクの「味」。こんな曖昧な言葉はありません。味ってなんだ、食うのか、と。
でも、この「味」という言葉をうまく説明することって、結局できないんですよね。
なんていうか、「バイクってこういうもの」という理想に実車を近づけるという意味合いなんでしょうか。
もちろん、CB1300をはじめとするいまどきのバイクにだって味はあります。
ただ、それはちょっと無機質な味になっていることは確かだと思うんです。
CBじゃなくても、別にXJRでもZRXでもいい。それはスタイルであったり乗り易さだったり、この車種が特筆して何かが凄い!というのは、最新モデルの同じジャンル(ここでは「ネイキッド」というジャンル)ではなかなか難しいんだと思うんですね。それは「癖がある」とかで敬遠されちゃうんだと思うんです。
その中でも特にCB1300は、「癖がなく乗りやすい」ことが売りですから、云うまでもありません。
ああ、「味」って「癖」なのかもしれませんね。この文章を書いていて気付きました。
わたしの乗っていた、2006年式CB1300SFは100馬力です。本当はもっとポテンシャルがあるらしいですが、自主規制のため100馬力に押さえられている(いた)んだそうです。最新モデルでは101馬力にちょこっとだけアップしています。
押さえられている、と書きましたが、それだって、たった250キログラムの車体にそんじょそこらのコンパクトカー以上の馬力があるわけですから、日本の道路を走るうえでこれに不満が出るシチュエーションなんかあるはずがありません。
高速走行時、5速120キロからでもちょいとアクセルを開ければさらに加速していきますが、140を超えたあたりでネイキッドの欠点である風の影響で身体を持っていかれそうになり、かなりの緊張感を伴いますから、結局5速全開なんてできません。
180キロのリミッタまではおそらく簡単に当たってしまって、そこからもさらに回ろうとするんでしょうね。
つまり何が云いたいかというと、「100馬力でもわたしのような使い方だとオーバースペック」だということです。
パワーと云うのはないよりあったほうがいいに決まってます。よく「低パワーのエンジンをブン回す楽しみ」みたいな話をする人もいますが、それはそれ。ツアラーとして使うなら、パワーはあればあるだけ、同じ速度で「エンジンを回さないで済む」わけで、結果として燃費の向上や疲れの軽減につながるわけです。
実際、ハヤブサだとかZZR1400だとかが150馬力!180馬力!なんてことを云っている中でCB1300SFを買うときにも「100馬力もあれば充分だろ」と思っていたわけですが、結果としては充分すぎたわけですね。
カタチで云えば、わたしはもともと、いわゆる先のエッヂの効いたデザインよりも、ぼてっとした感じの、いわゆる「旧車っぽい」デザインが好きです。
シートに段がなく、ハンドルもワイドかつアップ気味でスポークホイール、細いタイヤ。
そういうデザインが好きなんですね。現役車種で云えば(2010年6月現在)、SR400とかCB1100とかそういう感じが近いでしょうか。
実際、CB1100はかなり迷いました。
試乗させてもらったところ、足つきもよくて操縦もしやすいし、スタイルも好みの範疇。
新車で買うなら迷わずコレ以外の選択肢はなかったでしょうね。
でも、ここで、「レトロ風を買うなら、本物のビンテージが欲しい!」という欲望が頭をもたげてきたわけです。
間の悪いことに(?)、実家に置きっぱなしになっているCBとは別に、今住んでいるアパートのそばに大型バイクが置ける駐輪場を借りることができてしまい、もう一台買おうかなあ、と思うに至ってしまいました。
そうなれば話は早いです。
まずは憧れていた車種をピックアップしました。CB750FOUR、Z750FX、CBX550F、GT750、SS500、Z1000J……。
どれもいわゆる「国産旧車」です。ガイシャもいいのかもしれませんが、やっぱりずっと憧れていた国産の旧車というのに惹かれます。
もちろんメンテナンスはCB1300SFの比ではないくらい大変なのはわかっています。ツーリングに行った先で故障するかもしれません。でも、どうせバイクは趣味の乗り物なんだし、それも含めて楽しめばいいじゃないかと思うようになってきました。
人によって、バイクに求めるものって違うと思うのです。バイクにしか乗らない、という人には、遊びのツールであると同時に唯一の移動手段でしょうから、バイク一台である程度買い物も旅行も荷物の運搬なども賄えて、なおかつ簡単に故障して移動手段がなくなるのは困るわけです。
でもわたしはクルマにも乗りますし、移動のメインはクルマですから、バイクは本当に「趣味の乗り物」です。
まあ、CB1300でレンタルビデオ屋に行ったりもしますが、それはむしろ「バイクに乗りたいから」であって、移動手段としてではありません。ときどきのロングツーリングとショートツーリングがこなせればそれでいいんです。
旧車が手がかかるのはわかった上で、それでもまあ、わたしの使い方ならそれでもいいかな、というのはあったのですね。
400ccや250ccも考えたのですが、将来的に二台持ちが厳しくなってきたとき、たとえばCB1300を売却して一台にしたとしても、パワーなどの面で満足できるもの、という条件になると、やはり大型になってきます。
あとは、400ccはいわゆる「暴走族」に狙われやすいという話も聞いており、それも躊躇した理由でした。今度の駐輪場が家からちょっと離れているだけに、常に盗難にピリピリしながらというのはあまり胃によくありません。
どれが本命、というのもありませんでした。どれもそれぞれに魅力的で、それぞれに「味」があるからです。
4本出しマフラーとリアのデザインが最高に魅力的なCB750Four、憧れのZ2の血を継ぐZ750FX、大排気量2ストの迫力あるGT750……たぶんどれを選んでもそんなに後悔はしないだろうというのはありました。
細かく分ければどれが速いとか遅いとか乗りやすいとかあるのかもしれませんが、それを求めるなら、この時代のバイクが今乗っているCB1300SFに適うわけがないわけで、それはもう二の次だったわけです。
<店選び>
とりあえず手はじめに、比較的近場で行きやすい某大手有名旧車専門店へ足を運びました。
ここは多くのバイク雑誌にもカラーの広告を出していて、ショールームも大きく綺麗ですし、展示してあるバイクも綺麗です(中には意図的に汚れたまのものもありましたが)。
旧車専門店にありがちな、いわゆる暴走族仕様のバイクをあまり多く置いていない(それでも400ccクラスには少ないながらある)のもよかったですし、店の場所が変わる前から足を運んでいた(それこそ最初のKH125を買うときに足を運んだ)くらいの店ですから、個人的に馴染みもあります(向こうはもちろん覚えてないでしょうが)。
ただ、車両がちょっと高いんです。
もちろん綺麗な程度のいい車両を仕入れいているからというのもあるでしょう。希少車だからというのもあるでしょう。それにしてもちょっと高いんじゃないかなあ、というのは正直なところでした。
諸費用もちょっとかかる感じで、750ccクラスだと車検2年付きで15〜20万円弱、とのこと。
まあ、どこまで重装備をするかにもよりますが、中古車の納車整備費用としてはちょっと高いですよね。
そのかわり色々な車種が見られたし、バイクは綺麗だし、保証もある程度までつく(らしい)ので、悪くないのかもしれませんが、残念ながらちょっと予算に見合う個体がありませんでした。
次に目を付けたのが、本当に小さな(社長が一人でやってるような)店。店と云うよりもヤードですね。
ここにZ750FXが置いてあるのをネットで見て、値段もそこそこだったのですが、いざ行く前に問い合わせをしてみようと電話をかけても誰も出ない。
結局その日一日、何度かかけてみたにも関わらず電話には誰も出ず、その店には行くこともありませんでした。
まあ、その個体も外装がノンオリジナルだったので、それほど執着しなかったところもあるのですが。
そして最後にもう一軒、家からちょっと離れた場所……というかもう東京都ではなく近県にある店に手ごろな値段のCB750Fourがあるのを見つけてそこへ行ってみました。
CB750Fourはスタイルが本当に好みでしたし、「ナナハン」という言葉への憧れも含めてある意味で本命ではあったわけです。
CB1300SFを買う時に迷ったCB1100も、結局はこのCB750Fourへの憧れみたいなものだったわけですし、でもどうせならCB750Fourに乗ってみたいなあというのもあって、CB1100は試乗して見積もりまで出してもらったにも関わらず結局買わなかったわけですけど、肝心のCB750Fourはといえば価格が全体的に高く諦めていたのです。
旧車にはよくある、「*型までは人気があるけど、*型以降は不人気」みたいなのはこのCB750Fourにもあるようなのですが、それでもやはりどれも高価でした。
そんな中で見つけたこのCB750Fourの最終型、CB750FourK(いわゆるK7)は、距離こそ30,000キロと走っていますが、ちゃんとした国内ものでオリジナルキーもあり、不人気ならではの安価なプライスタグがつけられていました。
不人気とはいえその中でも相場より安いくらいで、これなら失敗してもまあいいか、と思えるくらいの金額です。
わたし自身はわりとどの型もそれぞれに好きだったので、これはもう本当に好都合でした。
写真で見れば見るほど、綺麗な4本出しマフラーも、テール周りのデザインも、ただただ綺麗で、これがこの価格で手に入るなら、まあベース車両にもなるだろうと思ってちょっと見てみようと思ったのです。
どうやらそこはCB750Fourを多く扱っている、専門店とはいかないまでもそれに限りなく近い店で、パーツなどのストックもそれなりにあるとのこと。店主っぽいおじさん(というよりもおじいさんかな)は決して愛想よく話す感じではないのですが、職人な感じで必要なことだけを説明してくれます。
で、現物のK7はどうやら最終年最終型。タイヤを交換する途中だったとかで外されていたために跨ってみることはできなかったのですが(店がせまいのです)、全体的に綺麗で程度はよさそうでした。
諸費用も先の店とは比べ物にならないくらい安く(半額以下でした)、それでいてタイヤ交換など細かいところまでやってくれる様子だし、ここなら安心できるかなと。
一番最初の店とは比べ物にならないくらい小さな、本当に個人経営のバイクショップですが、まあ、えてしてそういうことって多々あるわけです。
迷っていても仕方がないので、そのまま契約してきてしまいました。
旧車なんで整備に時間かかるかも、と云われたんですが、云われたとおりにほぼ3週間ちかくかかって納車。買うときはほんとに思い切りです。
……それにしても、いろいろ見て回っても結局ホンダになるのですねえ。あたしはどんだけホンダ好きなんでしょうか。
<旧車の買い方>
とか偉そうに書いてますが、わたしも今回はじめて「買う」までに至ったわけで、人に語れるほどの知識があるわけではありません。
が、買おう!と思ったことは何度もあるし、実際に買ってみてわかったこともあるので、ちょっとここに残しておきます。
まず、上のほうで「相場より安い」という言葉を使いましたが、実際にはこの手の旧車には「相場」は存在しません。程度重視なのかというとそうでもなく、これはもう本当に店の胸先三寸、高く売れると思ったらちょっと不人気でも高く売り抜ける、というのが慣習のようです。
それを否定するつもりはさらさらありません。商売なんだから当然です。
もちろん、ざらっとした「高い」「安い」という相場はあります。たとえば、旧車の中でも超人気車種であるカワサキZ2なんかは、だいたい80万円〜150万円あたりに集中していますし、その枠の中で高い、安いを見ることはできます。
ただ、たとえば同じくらいの走行距離で同じ色、同じくらいの程度のバイクが、A店では80万円、B店では150万円で売っている、ということが当たり前に起こるのがこの「旧車」の世界なのです。
この傾向は特に「ちょっと不人気な旧車」……まさに今回のK7のようなときに起こりやすく、同じ程度のバイクでも、A店では「K7は人気もそんなにないから安くしよう」といって安くするわけですが、その一方で「人気がなくてもCB750Fourであることには変わりないし、それで釣られて買っていく奴がいたらボロ儲けだから高くつけよう」というB店も当然あるわけですね。
どっちで買ったほうが得か、といえば、当然A店です。
つまり、4輪も含めた多くの中古車選びがそうであるように、結局は「店選び」なのですね。
この手の旧車は、値段だけで見ると「一般店より専門店のほうが高い」のが一般的です。一般店ではたとえば下取りなどでたまたま入ってきた旧車を売りものとして出したりすることがほとんどで、「古いから安くしよう」ということになるのは当然でしょう。古ければそのぶん故障する可能性だって高まりますし、いざ故障しても部品が欠番で直せないことだってありえるわけですから、現状販売になったりして非常に安く買えることがあります。
この場合、買った店でのアフターケアは望めないわけですから、価格の安さに釣られて買うと痛い目を見ることもあります。
ただ、自分である程度バイクが見られる人であれば、こういうのを見つけられれば非常にお買い得です。尤も、それ自体が滅多にあることではないので、偶然に偶然が重ならないといけないわけですが。
ということで、ほとんどの場合が「専門店で買う」ことになるわけですが、上にも書いたように、「ちょっと胡散臭い雰囲気が漂っている」ことが多いのがこの旧車専門店というジャンルです。
旧車専門の総合大型店では、さまざまな旧車が置いてあります。その中にはZ2などの人気車種も置いてあるでしょう。ですが、反面、ちょっとマニアックで一般的に不人気な車種(CB550FourとかZ650とか、中間排気量車あたりがわかりやすいです)が置いてあることもあったりします。
そういうのがあれば、それにつけられている値段によって、「旧車だから高くつける店」なのかそうでないのかがだいたい見分けられるかもしれません。もちろんどれが人気でどれが不人気かは予め知っておく必要がありますが。
ただ、もちろんそういう店でも安いと思えば買えばいいわけですし、もしかしたら整備などを徹底的にしてくれるから高いのかもしれませんから、そのあたりは一概には言いづらいところではあります。
車種を絞ってそれを専門にしている店、というのもあります。実際、今回買った店は、CB750Fourをほぼ専門にしており、こう云うところだと知識はもちろん部品のストックもあったりしますから、アフターについてはある程度は安心できます。
ただ、こういう店の場合、「同じ車種だから人気も不人気もない」思想になりやすく、どんなモデルでも平たく高い、ということがおきやすいのは確かです。今回買った店は、それがなく、人気・不人気でかなり値段が分かれているようでしたが(この店でも、人気のあるK1やK0は非常に高価でした)。
で、最初に戻って、結局は「店の胸先三寸」なのです。その値段で買う人がいると思えばその値段をつけるし、不人気だから安くしようと思えば安くなる。理想は、専門店で不人気だから安くしているところを探すことなわけですが、不人気車ではなく人気車を買うなら、どこで買ってもそれほど金額に差はないかもしれません。
正直なことを云えば、バイク店の中でも「旧車専門店」というジャンルの店は、誤解を招く云い方で申し訳ございませんが「ちょっと胡散臭い」感じがどうしてもつきまといます。
そう感じるのは、その店のメインとなる客層がいわゆる暴走族や暴走族上がりでもう一度暴走行為をしたいと思っている人たちだからというのもあるでしょうし、安くボロを買いたたいてきて外装だけ綺麗にして高く売る、というイメージがあるからというのもあるでしょうし、まあそのへんはいろいろだと思います。
特にその胡散臭さは、いわゆる暴走族に人気のある車種(CBX400とかZ400FXとかGS400とか、まあそのあたりですかね)を専門に扱う店ほど増えていくような気がするのは仕方がないことかもしれません。まして、いわゆる暴走族が乗るような仕様の派手なバイクが売ってたりするとそのゲージは一気に跳ね上がります。
同じ旧車専門でも、CB750Fourもでしょうけど、Z650ザッパーとかそういうあんまり暴走族好みのしない車種を扱っている店だと胡散臭さも多少は薄まる気がします。
だから、どうしても暴走族に人気のある車種が欲しい!という向きなら、これはもう仕方がありません。そういう店から買うよりほかにないわけで、そうでなくてもドリーム店やYSPなんていうディーラで仕入れてもらえるような車種ではない場合、こういう専門店を見て回るしかないわけですから、その中で店選びを慎重にする必要があるでしょう。
本当かどうか知りませんが、販売したバイクを自分の息のかかった暴走族の手下に盗ませて色を変えて再度販売する、なんて業者もあるというのが都市伝説のように語られていたりするのも、やっぱりこのあたりの「胡散臭さ」からくるものだと思います。
バイク雑誌を見ると、カラーで綺麗で大きな広告を出している旧車の専門店というのが何軒かあることに気づきます。この割合は普通の現行車種の中古車屋よりも多いかもしれません。
もしかしたら、この旧車の専門店というのはそれだけ利益率がいいのかもしれませんが、そのへんはわたしの知るところではありません。……まあ、田舎の納屋で眠っているボロを買いたたいてきて適当に仕上げてそれなりの値段で売って……という商売がもし成り立つのなら(あくまでも仮定です)、それなりに儲かるのかもしれませんね。本気で直そうと思ったらそれなりの金額になるでしょうけど。
ただ、カラーで綺麗で大きな広告を出しているから信用できるとか、逆に広告が小さいから信用できるとか、そういうことではなくて、実際に行ってみて整備はちゃんとしてくれるのか、そのジャンルにどれだけ強いのか、買った後のアフターケアはどうなのかなどを見てくる必要があると思います。
それはもう確認しなければならないことはいろいろありますが、店員さんの愛想とかそういうことではなくて、本質的に「ここなら大丈夫」と思えるかどうかでしょうね。
そして、皆さんが気にするネット(特に匿名掲示板)の評判は、驚くほどあてになりません。印象なんて個人個人、店員によってまったく違いますし、どれだけ整備をしても、個体によっては走って100メートルで壊れることだってありえます。
そして、ネットの掲示板は基本的に「叩くところ」ですから、誉められていることはまずないです。こんなものを信用していたらバイクなんか買えません。
たとえば最初に書いた店なんてネットでは結構叩かれているのですが、少なくとも行って話をしている感じでは不快な思いはしませんでした。まあ、買ってみたらまた違うのかもしれませんが、そこは買ったことがないわたしにはわかりません。
なのでここでもあえて店名は出しません。もちろん、ある程度推測はできてしまうと思いますが。
ただ、少なくとも納車のときに「ここは注意して」ということをちゃんと教えてくれる店がいいですね。旧車って車種ごとのクセが強いですから。
ちなみに、一部車種(Z2とか)を除き、旧車は大型車よりも中型車のほうが高価になる傾向があるようです。
これはおそらく、旧車の主たる購入層がいわゆる暴走族やそれに準じる人々、ないしはそれに憧れる人々であり、彼らにとっての「憧れ」がほとんど中型車に集中していること、そういう人々が持っている免許がほとんど中型(現在の普通二輪)までだからというのがあるのでしょう。
ですので、たとえばCBXなんかでも、CBX400FよりもCBX550Fのほうが圧倒的に安い、なんてことはザラにあるので、大型免許がある人で旧車に興味があって中型車に拘りがなければ、大型の旧車というのは概して結構お買い得だったりします。
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