○BMW 330i Mスポーツ(E46)

ロードインプレッション

 全体的によくできています。全長が短いので取り回しも苦労しませんし、パワーもなさすぎずありすぎずの手ごろさで悪くありません。
 特徴は極端に硬い足回りでしょうか。走るのには気持ちいいのですが、若干硬すぎて人によっては「乗り心地が悪い」と感じるかも。Mスポーツだとこういう仕様になるようですが、助手席に人をよく乗せるとか、どっちかというとあまり飛ばさないとか、コンフォートな乗り味を求めるとか云う向きの方はMスポーツ仕様じゃないほうがいいかもしれません。
 尤も、330iのMT車はMスポーツしかないので、その場合は足回りだけ交換するとかそういう感じになりますでしょうか。

一般道(街中)

 遮音性に優れているので、渋滞の町の中でも車内は静かです。これは結構驚きました。遮音性は前のメルセデスよりいいかも。まあ、前はワゴンでこっちはセダン、という違いはありますが。
 ただし、ロードノイズは結構拾いますので、メルセデスSクラスやレクサスLSのような「無音状態」ではありません。
 マニュアルミッションではありますが、クラッチが特別に重いとかいうこともないので、渋滞でもそんなに大変というほどではありません。むしろトルクが太いので、ノロノロと前に進むような渋滞の場合では、クラッチミートだけでほとんどオートマチック車のクリープで動いているのとあまり変わりません(クラッチにはあまりよくなさそうですが)。  渋滞がなければ、基本的に3速か4速ホールドでほとんどオートマチック車のように使えます。充分に実用的でしょう。

一般道(峠道)

 面白い!の一言ですね。ギアのセッティングがいいのか、2速・3速を使っての加減速でコーナーを攻めていけるんですが、その限界はかなり高いです。
 ハンドリング性能も高いので、車重はある程度ありますが鼻先がすっとコーナーの先を向くので、非常に素直な操縦感覚が楽しめます。振り回せるようになるとまた違う楽しみがありそうです。
 とにかくヒルクライムでもパワーでどんどん坂道を上がっていくので、普通に使うには充分すぎるほどですし、ちょっとペースを上げて走っても楽しめます。国産車ほどではないにせよアクセルが軽いので、ハイペースで攻め込むにはより精密なペダルワークを要求されます。それが余計に楽しい、というのもありますが。
 ただ、ブレーキは少し物足りないかもしれません。もちろん普通に使う分にはまったく問題はないのですが、ガンガン攻めるぜ、という人なら、ブレーキは変えたほうがいいかも。
 E46でも、330iだけは出力にあわせて大きな容量のものに交換されているのですが(そのおかげで、330iだけはタイヤのインチダウンができません)、本格的に走るとなると足りなくなると思います。

高速道路

 ある意味、この車の本領はここでしょう。とにかく快適の一言で、ハイペースでの巡航を楽にこなしてくれます。5速100キロからでも、踏み込むとさらに余裕を持ってスピードが出せるのは、追い越しのときなど非常に重宝します。
 ステアリング特性はメルセデスに比べてややシビアで、センターのダルなところがあまりありません。そのせいで、ずっとまっすぐな道を走り続けるというシチュエーションではちょっと疲れるかもしれません。
 高速道路だけでなら、リッターあたりの燃費も12キロくらいは行きます。もちろんものすごく飛ばして走ったりすれば話は別ですが、100キロ前後で巡航すればカタログ値を超える数字が出ます。やっぱり高速道路向きのセッティングなんですね。
 今のところ最長距離は、首都高一之江ICから島根県出雲大社までの往復2000キロなんですが、若干の渋滞のあった高速道路と島根県の一般道を含め、13.7キロ/1リッターという数字(オンボードコンピュータにて計算)が出ています。高速道路だと極端によくなるようです。

左ハンドル

 最初は不安だった左ハンドルですが、「なるべく左によって走る」ことにさえ慣れれば、最初ほど恐怖は感じません。それでもやっぱり、二車線の道の左側を走っているとき、右側の車との距離が気になることはありますが。
 苦手なのはやっぱり追い越しでしょう。街中で止まっているバスを追い越したいときや、峠道で遅いトラックをパスしたいときなど、対向車線がまったく見えないので、なかなか対向車線に出られません。
 また、これも当たり前ですが、高速道路などではETCがあるのでまだいいものの、右側にしか発券機のない駐車場などでは降りて取るしかないのでやっぱりちょっと不便ではあります。
 が、基本的にはそれほど大きく変わるわけではありませんし、左折の巻き込みなどについては安全性が増すので、悪いことばかりではありません。日本国内で使うには右ハンドルのほうが便利なのは明らかですが、左でもとんでもなく困るというほどではないでしょう。
 また、左ハンドルベースで作られている車の場合、やっぱり操作系は左ハンドル車のほうが自然です。こればっかりは作りの問題なのでどうしようもありません。
 使い勝手では右、運転感覚では左……と云ったところでしょうか。左ハンドルだからといって極端に使い勝手や運転感覚が悪いものになる……といういことはありません。

燃費

 それなりの排気量なので、決して「よい」ということはありません。
渋滞のない、普通の都内の道路でリッター当たり6キロ〜7キロ程度。ですが、これも欧州車共通の特徴でしょうけれども、信号のないドライブロードや田舎道を60キロ程度で流したり、高速道路を一定速度でずっと走り続けるようなシチュエーションだと、国産車以上に極端によくなります。場合によってはカタログ値を大きく超えてくることも珍しくありません。
 走り方にもよりますが、アクセル開度を一定にして100キロ〜120キロ程度で普通に走れば、おおよそリッター12〜14キロ程度でしょうか。60キロ巡航だけならもっと行くのではないかと思います。

BMWをマニュアルミッションで扱うということ

 BMWというメーカーは、「駆け抜ける喜び」という言葉を掲げた車作りを行っております。
 このコンセプトは、基本的に最小の1シリーズから母艦のような大きさの高級サルーンである7シリーズ、あるいはX5のようなSUVにまで貫かれています。走る、曲がる、止まるという車としての基本性能を、「運転することの楽しさ」に振っているのです。
 メルセデスの車には、これと反対の思想が見え隠れします。つまり、「安全の為にはこうしたほうがいい」というのを車のほうが設定していて、ゆったりと車に乗って移動するというものです。だから、メルセデスは車として全体の評価は高いものの、実はエンジンの評価というのをあまり聞きません。エンジン自体はあまり高性能ではないのですが、それでいいのです。
 BMWは、車屋である前に「エンジン屋」です。「シルキー」と表現されるストレート6のエンジンは、アクセルとダイレクトに繋がっているようにスムーズに吹け上がります。
 2リッターのエンジンあたりになると、やや「トルクが細い」というような声もあるようですが、この330iに搭載されている3リッターエンジンについてはそんな不安はまったく不要です。
 1速で踏んでいけばシートに押し付けられるようなビッグトルクが出ますし、回していけば、まさに「シルキーシックス」たる所以、どこまでも回るんじゃないかというようなエンジンにあわせて跳ね上がっていくメーターの針は、どこまでもフラットなパワー特性を感じさせてくれます。
 これをAT、つまりオートマチックのトランスミッションで操るのも、充分に楽しいと思います。初期モデルでなければステップトロニックというギア変速が可能なATを搭載していますから、自分でギアをある程度変えて走ることもできます。
 しかし、これは別にBMWに限ったことではありませんが、やはり「車を操っている」楽しさは3ペダルのMT車に分があるでしょう。
 「速さ」という点では、よほど巧い人が乗るのでもない限り、クラッチののない2ペダルマニュアルのほうが速いと云われます。事実、E46型のM3のスパルタン・モデルである「M3 CSL」には2ペダルマニュアルのSMGしか設定がありません。
 それでも、「楽しさ」を取るなら、やはりクラッチ付きの3ペダルマニュアル車に限ります。
 「走る楽しさ」を基本に作られた車体と、それを演出する3ペダルのマニュアルミッションの親和性はものすごく高いです。
 車を全身で操る感覚は、クラッチのある車でしか味わえないものです。当然、変速のラグもありませんし、たとえば5速から3速に瞬時に入れることだってできます(やらないほうがいいですが)。
 このE46型では、318iとこの330i、M3にしかMT車は日本に輸入されませんでした。E90では、直列4気筒の320iのみになってしまっています(2008年10月現在)。E46型でも、330iのMT車は販売された数が極端に数が少なく(そもそも330i自体が少ないんですが)、中古車で探すのも一苦労です。
 なんと申しますか、どんどん3ペダルのマニュアルミッションが縮小してしまうのはちょっと哀しくもあります。特にこのBMWというメーカーの車については、「マニュアルミッションで操る」ことで楽しさはさらに増すのは間違いないと思います。
 運転の巧い下手は関係ありません。いつもレースをやるわけじゃないんですから。街中で、ちょっとした山道で、体を使って車を動かす。その楽しさがこのマニュアルミッション車にはあります。
 もしさまざまな環境が許すのなら、これからE46を買おうとしている人は、マニュアル車を買う価値はあると思います。
 まあ、318iならともかく、330iになるとなかなか出てこないんですけどね。

こうだったらよかった、というポイント

 このE46という車、基本的に完成度は高いと思います。大きすぎず小さすぎずのボディサイズからエンジン・ステアリングのフィーリング、使い勝手などほどよく高いバランスでまとまっているので、大きなところでは満足度は高いです。
 反面、それだからこそ出てくる細かい不満もあるわけでして、それをざっと列挙してみました。

○サスペンションの硬さ(Mスポーツ全モデル共通)
 Mスポーツモデルは、正直な話足回りがちょっと硬すぎる気がします。味付けをスポーツに振ってあるぶん仕方がないところもあるのでしょうが、ドライバーはともかく同乗者はあまり快適ではないかもしれません。そんなにハードにガンガン走るぞーというわけではないので、もうちょっと柔らかくてもいいかなという気がします。
 サーキットを本格的に走るとかって人はサスは交換してしまうでしょうから、夜の首都高なんかをちょっと攻めてみるぞーという「飛ばし屋」な人向けの味付けなのでしょうし、実際にそういうシチュエーションになると非常に気持ちがいいのですが、それはそれで使えるシチュエーションは限られてくるわけでして。
 じゃあMスポーツじゃないノーマルのモデルを選べばいいじゃない、というところなんですが、330iのMT車にはMスポーツしか設定がないのでここは完全にトレードオフです。

○シガーライターソケット(全モデル共通)
 E46のシガーライターソケットには、エンジンを切っても電源が入りっぱなしになる常時電源が来ています。
 ということはどういうことかと云えば、ここにレーダー探知機などのアクセサリ類をつけると、エンジンを切っても取り付けたアクセサリの電源は切れないということです。
 本来、シガーライターというのは煙草に火をつけるときだけに使うためのものですから、規定外の使用方法で使っていて文句つけるなど愚の骨頂であるということはわかっているつもりではありますが、煙草は吸わないわたしにとってはここは完全に「電源を取り出すための場所」でしかないわけでして、そう考えるとこれはちょいと不便です。なにか思想があってのことでしょうが、やっぱりエンジンが切れたらソケットの電源も切れてくれたほうが色々とありがたくはあります。

○小物入れ不足(全モデル共通)
 下の項目でも触れていますが、運転席まわりに小物を入れておけるスペースが少ないです。いちおう、使えるスペースは、(1)グローブボックス(2)運転席左下(右ハンドル車の場合は右下)にある小物入れ(3)エアコン下にある小物入れ(4)センターコンソール の4種類になるのですが、(1)は車検証やマニュアルなどでほぼいっぱいになる上、オーディオに接続されたiPod本体やらDVDプレーヤなどが無理やり詰め込まれていてここはほぼ使用できません。
 (2)が奥行き・大きさともにある程度あるため一番実用的ですが、逆にCDを入れておけるスペースがここにしかないのと、ETCの本体を隠すのがここくらいしかないため、ここもそういうものを入れるとアキはそんなにはありません。また、いくら大きいとは云ってもペットボトルが入るとかそんな大きさではありませんから、そのへんは絞っていく必要があります。
 (3)はほとんど実用にはなりません。奥行きがあれば使い勝手もいいのですが、奥行きがほとんどないためにCDなど絶対に入りませんし(蓋を閉めなければ入りますが)、せいぜいサングラスとかを入れておける程度です。蓋が上部に開くため、物が取り出しにくいのも欠点です。
 (4)は、普通の車だとかなり深いものもあり、たとえば以前に乗っていたメルセデスのEクラス(W210ワゴン)では、ここに100ボルト電源変換機(シガーライターから家庭用100ボルトの電源を取り出せるコンバータです)からガソリンスタンドの伝票からCDからガラスコーティングの容器から全部突っ込んでおけたのですが、このE46では深さがまったくなく、せいぜい小銭や携帯電話用のイヤホンくらいしか入れておけません。
 ということで、普段から車に積んでいる電源変換機などはどこにも行き場がなく、結局トランクに突っ込まれています。別にそれでもいいのですが、いざ使いたいときにすぐに取り出せないのはやはり不便ではあります。

○オーディオ(全モデル共通)
 基本的にE46の場合、オーディオスペースの真下にエアコンのコントローラが備わるため、オーディオは1DINのものしか入りません。2DINのものを無理やりインストールする方法もありますが、エアコンのコントローラを小物入れの場所に移設したりと結構な手術が必要になります。
 ここに1DINオーディオを入れてしまうと、当然ほかにはなにも入りませんから、たとえばカーナビは実質的にオンダッシュのものしか選択肢はなくなりますし、カーナビとは別にDVD用にインダッシュのモニタをつけたいみたいな話になってもそれは無理、ということになります。2DINとまでは云いませんが、どうせ使い物にならない小物入れなんかを残しておくくらいならば、エアコンのコントローラはもともと下にあってくれれば……と思わずにはいられません。
 また、これは割と純正ではどの車でも似たようなものですが、音の出口であるスピーカーがしょぼいです。交換しようと思ってもそのままトレードインのスピーカーが入るわけではありませんので、ちょっと手間がかかってしまいます。
 ただ、スピーカーを交換しようと一式そろえたところではじめて気が付いたんですが、330iはHi-Fiの10スピーカーオーディオシステムが標準なんですよね。当然この車にもそれがついており、通常のものよりも4個スピーカーが多い構造になっています。
 つまり、これでも「通常のものに比べればかなりいい」わけでして、通常のE46のオーディオ音というのは結構アレなんではないかなあと想像せざるをえません。
 さらに云えばこれになるとスピーカー交換もできなくなるわけで、交換用のスピーカーとかが丸々無駄になってしまいました。ちゃんと調べてから買おうよってなもんですが。

2年40,000キロを乗ってみて

 購入して2年経ち、いつものペース通り1年あたり20,000キロ、2年で合計40,000キロを走行しました。オドメータも10万キロを超えています。
 それからの雑感をまとめておきます。
 まず、故障。
 最近の外車は壊れにくい、というのはよく云われる話で、よくネットの相談サイト(なんとか知恵袋、みたいなやつ)とか掲示板とかで「中古で***(外車の名前)を買おうと思うんですが」という相談に対して、必ず「年間100万円くらいの出費を覚悟してください」とか「車検で100万円くらいはかかります」とか云う「脅し文句」が出てきます。
 なんと云うか、まだまだ「外車=壊れる、金がかかる」というイメージは強いんですね。
 コレはたぶん、バブルのころとかにとにかく高級車!という思考で並行輸入で入ってきてろくにメンテもされないまま乗りまわされ、そんな状態だから当然調子が悪くなってきて手放され、それを安く買って高値で売る外車屋があって、買ってしまった人は高い金出したのにあっちこっち調子が悪い車に辟易し、ディーラに持って行けばアレコレ云われて修理は数十万円です、ということがあちこちに起こっていて、その頃についてしまったイメージなんじゃないかな、と思うんですよ。
 はっきり云いますが、「出所がはっきりしている最近の外車なら、そんな馬鹿馬鹿しい金額はかかりません」。
 出所がはっきりしている、というのは、やっぱり新車時並行輸入で入ってきてメンテもされないまま乗られていたような車両は今でも壊れやすいのは当たり前です。並行輸入車がいけないんではなくて、並行輸入で入ってきた後が問題なんですね。
 無論、ディーラ車であってもろくにメンテされてなければ同じです。ただ、ディーラ車の場合は一般的に購入後何年かの保証があるので、よほどでなければ必要最低限のメンテナンスは受けていることが多い、というだけの話です。
 ただし、そもそもの部品その他について、その頃に比べて格段に耐久性は上がっています。そもそも壊れにくくなってるんですね。そういう意味では日本車に近づいているわけですけど、日本車だってノーメンテで乗ってればいつか壊れます。
 そういうことからすれば、普通の車を選び、普通に普通のメンテナンスをしてれば、中古車でも限りなく日本車感覚で乗れます(もちろんそれでも、日本車よりは多少は壊れやすいのは事実です)。
 もちろん、普通に普通のメンテナンスをしなくてもなかなか壊れないのが日本車の凄いところなので、その感覚からすれば「外車は壊れやすい」のかもしれませんが、そもそもそれが違うんでないの、という感じがします。
 「普通のメンテナンス」と云っても、なにも大げさな年に一回エンジンをオーバーホールするとかそういうことではなく、10000キロに一度オイルを交換して、細かい電子部品なども見てもらって、という基本的なことです。こんなもの、ディーラでやってもらっても高くて2万円くらいです。運悪く部品交換が出たとしても、高いところでエアコンのコンプレッサやミッションで50〜70万円くらいなんじゃないでしょうか。
 で、毎年ミッションやエアコンを交換するわけではないので、「毎年100万円」はかかりません。運が悪い年には100万円くらい行っちゃうかもなあ、という感じです。
 ただし、フェラーリとかランボルギーニとかロールスロイスとか、そういうのは別だと思います。あれはもう、ひとつひとつの部品やら工賃やらが高いので、「普通に普通のメンテナンス」に金がかかるんですね。あくまでもここで云う「外車」というのは、中古で手軽に買えるような車種のことです。
 実際、2年乗って壊れたのはミッションがすっぽ抜けたことくらいで、あとは故障らしい故障はありませんでした。あ、オイルレベルセンサとかがあったか。でもアレは結局オイル量の問題だった気もする。
 それ以外はもう本当にノートラブル。ディーラから買った車だというのもあるでしょうし、高速道路走行が多いからというのもあるのでしょうが、10万キロになってもこれといったヤレもありません。
 燃費は、街中で5〜6キロ、高速道路なら10キロくらいですかね。街中ではさすがに悪くなりますが、高速道路だとハイギアードな設定とそこそこのパワーのおかげでエンジンを回さなくても高速走行ができ、燃費を稼げます。青森から東京まで給油なしで帰ってこれたりとかなかなかにエコロジーでエコノミーです。もちろん高速道路でもぶん回して遊べば燃費は落ち込みますが。ホントに金のかからない車です。
 で、なにより楽しいです。運転していてわくわくするんですね。急いでいてもゆっくり走っていても、高速道路でも山道でも楽しいんですよ。
 最初に買ったホンダ・ビートもすごく楽しい車でして、今でも余裕ができたら買い戻したいと思っているくらいなんですけど、あれのわくわく感とは違った面白さがあります。
 ビートの面白さは、オープン走行と低いエンジンパワーを全開で使いきる楽しさや甲高いエンジン音からくるレーシングカーのような雰囲気でしたが、コレは「まだまだパワーに余裕はあるな、でもこれ以上踏んで捕まったら間違いなく免許取り消しだな、でも踏んでみたいな」というわくわくですね。旋回性能も直進性能も安定しているので、走ることについてはもうまったく文句はありません。乗り心地がちょっと固すぎるか、くらいでしょうか。
 なんというか、今までだと同じ車に1年も乗ってるとどこかで飽きたりウイークポイントが見えてきたりしたものなのですが、コレはもうそういうのがありません。「こうだったらもっといいな」というのはありますが、「ここが悪い」というポイントがないんですね。だから飽きないんですよ。
 今までは2年ちょっとで乗り替えてきて、早いものだと1年で乗り変えた車もありましたが、コレは今のところ最長記録を更新中です。
 たぶんコレを買い換えるときというのは、直すのに金がかかりすぎる故障をしたときか、コレとはまったく違った魅力を味わってみたい、と思うときかどちらかでしょうね。ほんとに魅力的な車です。

前から。2001年式ですが、マイナーチェンジ前なのでまだ垂れ目。個人的には後期のツリ目よりもこちらのほうが好みなので、これはよかったなあと思います。エアロパーツはMスポーツ純正後期(330iだけは外装のモデルチェンジが早かったようです)。見ての通り、丸目メルセデスに比べるとかなりデザイン的にはいかつくなっているのが特徴でしょうか。Mスポーツの足回りのおかげで車高も低くなっており、全体的にスポーティさのあるデザインです。330i Mスポーツは、いちおうE46型の3シリーズではM3を除いて最上級グレードになります。
 後ろは逆にちょっとぼてっとした感じのデザイン。いわゆる「ハイデッキ」になっているせいで、後ろが膨らんでいる印象を受けます。テールのデザインは全体的に悪くないのですが、重々しい感じは拭えません。濃い目のボディカラーだと印象が変わってくるのかな、という気はします。トランクはその分広くて使いやすいんですけどね。
 真横。ハイデッキスタイルがわかりやすいのではないでしょうか。ボディサイズは本当にコンパクトで、横幅は広いのですがタテの長さは4490ミリしかなく、コンパクトセダンの代名詞、カローラ・アクシオ(2008年現在)と比べても10センチ程度しか違いません。このボディのコンパクトさは結構取り回しや走行性能にも効いてきます。慣れない左ハンドルでもさほど違和感が無いのは、このコンパクトさも効いているのでしょう。セダンのパッケージングとしてはきわめて優秀です。
 メーター周り。W210に比べると水温計の動きは緩やかで、渋滞に入ってもそんな極端に上がったり下がったりはしません。この液晶モニタは「オンボードコンピュータ」というやつで、時間や温度のほか、航続可能距離や燃費、平均走行速度も測れます。これを使えば、右側タコメータの下にある瞬間燃費計と合わせて、「燃費を意識した運転」をすることも可能。これが、やってみると結構ハマります。
 インパネ。メルセデスより飾り気ありません。上からナビ(後付)、オーディオ(後付)、エアコン、小物入れ、灰皿です。収納があまりないのが欠点と云えば欠点かも。いまどきのミニバンやコンパクトカーのようにあっちもこっちも収納である必要はないのですが、ダッシュボードは狭く、センターコンソールボックスもコイントレー程度の大きさなので、携帯電話のヘッドホンや100Vコンセント変換機などを入れておく場所がありません。基本的にこれと運転席左側の小物入れですべてです。
 あと細かいことですが、メルセデスにあった、エアコンの「REST」機能がないのが何より痛いです。あれむちゃくちゃ便利だったのに。
 探すのにむちゃくちゃ苦労した5速マニュアルミッションです。後期モデルになると6速になりますが、この時代だとまだ5速。当然クラッチ付きの3ペダルになります。ミッションはスコスコと気持ちよく入り、変速操作が楽しめる感じ。リバースギアに入れる時はレバーを強く左に引いてから上に入れます。最初はちょっとやりづらいですが、慣れると操作のしやすいシフト配置です。
 シフトレバーの下にハザードスイッチがあります。かなり手前にあるので、いざというときに押しづらく、運転中押したいときにちょっとスイッチを目視で探してしまいます。W210メルセデスはダッシュボードのものすごくわかりやすい場所にあったので、あちらのほうが無骨ではありますが使いやすさは上ですね。
 ヘッドライトのスイッチはメルセデスとあまり変わりません。右に一つでポジション、もう一つでヘッドライト。下のスイッチはそれぞれフォグとバックフォグです。右側のスライダはインパネ照明の明るさ調整。キセノンヘッドライトなので光軸の調整は自動のため、スイッチはありません。
 で、これがそのヘッドライト。初のキセノンヘッドライトです。若干青白い光に最初は感動したものですが、いざ夜道を走ってみると実はあまり普通のヘッドライトと変わりません。期待が大きすぎたせいか、劇的に明るいとかそういう感じはしないですね。ここはお金に余裕がある時に後付の明るいバルブに変えてもいいかも。って、そういうことできるんでしょうか。キセノンヘッドライトの仕組みって今ひとつよくわかりません。
 後部座席はこんな感じ。センタートンネルのでっぱりが大きいので5人で長距離乗るのはちょっと厳しいかも。ただ、横幅があるので4人なら割と快適に移動できそうです。さすがに全長が短いので足元はW210ほどの余裕はありませんが、平均的な日本人なら必要にして充分な大きさでしょう。
 また、横になって丸まって寝るにも充分な広さです。Eクラスより横幅も狭くなるので心配していましたが、幸いにしてそれほど狭くなる感じはありませんでした。
 トランクはこんな感じ。ステーションワゴンと比較してしまうとどうにもなりませんけども、そんなにものすごく大きい、というほどではないにせよ、これも4人で旅行に行くくらいの荷物なら余裕なのではないでしょうか。三角表示板と、この下にスペアタイヤが、上にはカーナビの本体がくっついています。
 さらに広さが欲しいときは、リアシートを倒してトランクスルーとして使うこともできます。長いものでも余裕で入りますが、段差があるので寝るのには向きません。操作はトランク内のレバーを引っ張るだけときわめて簡単です。シート裏は布張りなので、汚れ物や濡れ物を入れるには向きません。
 3000cc直列6気筒DOHCエンジン。M54という形式で、NAながら231馬力の高出力を誇ります。さすがに「シルキーシックス」などと呼ばれているだけのことはあり、吹け上がりはきわめてスムーズで文句ありません。パワーもわたしにはありすぎるほどで、特にトルクが太いので町の中でも乗りやすいのが特徴。燃費もよく、高速道路だけならリッター12キロ、街中でもよほどひどい渋滞でもなければ6〜7キロ程度は走ってくれます。
 17インチのタイヤです。銘柄はミシュランのパイロットスポーツPS2。同じ17インチながら、前後で微妙にサイズが違い、駆動輪であるリアのほうが若干「強い」仕様になっています。Mスポーツのマーク入り。さすがに太いだけのことはあり、コーナーではかなり粘ってくれます。が、反面、ブレーキはちょっと弱いかな、という感じ。扁平率はフロント・リアともに40とか45なので、タイヤがちょっと高いのが痛いところです。

装備品

○ウインドウフィルム
 これは「ついてた」のではなく「つけた」もの。高速道路のパーキングエリアなどで仮眠を取るとき、リクライニングでなく後席で丸まって寝るのが好きなんですが(だから2シーターではダメなんです)、ノーマルガラスだと中が丸見えになってしまいますのでこれは必須です。夏の時期にはエアコンの効きにも影響してきますし。
 購入したディーラーで値段を聞いたら、一般的なフィルムショップと比較して3千円くらいしか違いがなかったので、それなら最初にやってもらおうということでお願いしました。

○ETC
 これも「つけた」もの。正確には「つけてもらった」ものですね。もはや左ハンドル車には必須でしょう。いえまあ、割引とかを考えれば、高速道路を頻繁に使う人にとっては右ハンドルでも必須な感じはしますが。運転席下の小物入れにCDといっしょに収まっています。ここにあると本体が目立たなくていいのですが、微妙にスイッチが押しにくかったりカードの出し入れがしづらかったりするのが欠点でしょうか。

○ガラスサンルーフ
 必死になって探したオプションです。色がシルバーでもこれがついてればいい!くらいの勢い。ところが、なぜか330iのMT車になると装着率が極端に低いんです。メルセデスだとCクラスでもEクラスでもそんなに苦労しなくても探せるんですが。わざわざMTを選ぶ人は車重がかさむ上剛性が下がるサンルーフなんか選ばないよ、と云うことでしょうか。W210のものよりもサイズは小さくなりましたが(車のサイズが違うからあたりまえですが)、ちゃんとチルト状態にもフルオープンにもなるサンルーフです。

○Mスポーツステアリング
 握りが太く、ちょっと握るところが出っ張って親指が引っかかるようになっているもの。ついでに「M」のロゴが入っています。Mスポーツなら全部についてるものなのかと思っていたんですが、オプションカタログに載っていたのでどうやらオプションの模様(もしかしたら、ノーマル車にMステアだけ付けたい人向けのオプションで、Mスポーツ仕様には必ずついているのかもしれません)。ステアリングでオーディオ等を操作するマルチファンクションボタンがついていませんが、どうせオーディオは変えてしまう=ボタンが使えなくなるので、ついてないほうがシンプルでいいです。握りが太い分操作しやすくなって悪くありません。

○アルミペダル&Mスポーツフットレスト
 セールスさんは社外品だと思っていたようですが、このアルミペダルも純正品カタログの中にちゃんと載っていました。まだゴムの部分もさほど磨り減った様子がなく、もしかしたら後からつけたものなのかも。感覚はさほどかわらないんですが、足元が一気にスポーティな感じになります。実用云々よりも、雰囲気的に華やかにしてくれるアイテムですね。本格的にガンガン走る人とかだと実用面でも違うのかもしれませんが。
 アクセルペダルはメルセデスに比べるとちょっと軽い感じ。また、アクセルとブレーキペダルの間が妙に狭いのがちょっと気になります。わたしより足のサイズが大きいであろう本国の人たちはこれで大丈夫なんでしょうか。

○シートヒーター
 本皮シートなら標準的な装備ですが、布シートについてるのは割と珍しいです。オープンカーとかならあるとすごく便利そうですが、普通のセダンでどうしても必要かと云われればちょっと微妙なところではあります。が、冬場、エアコンがまだ温風を噴き出すほどに温まっていないとき、こちらはすぐに暖かくなるので結構あればあったで重宝します。

○電動リアローラーブラインド
 ボタン一つでリアウインドウのブラインドが上下します。リアウインドウにはフィルムを貼ってしまったので使い道はあるかどうかはともかく、後席が極端に暑いときにはいい……のかな?
 でもこれ上げちゃうとルームミラーで後ろが見えづらいから走ってるときにはちょっと使いづらいし、ステーションワゴンと違って荷物が見えてしまうわけでもないし、ちょっと微妙かも。ま、せっかくついてるんですし、仮眠のときに使わせていただくことにしましょうか。
 コレ、純正オプションで5万8千円もするんですが、前オーナーさんはどういう理由でつけたんでしょうか。フィルムが貼ってなかったからフィルム代わりってことなんでしょうかね。同じBMWでも7シリーズや5シリーズなら後席に人を乗せることも多いでしょうし、つける理由もわかるんですが。前オーナーさんは主に後席に人を乗せて走ってた、とか?

○「M」ロゴ
 これ、わたしが貼ったわけじゃなく、買ったときにこういう風に貼ってありました。これくらいならアクセントとしてまあいいか、という感じだったんですが、撮ってるときに気づいたんですけど、これって「M3」と勘違いしてほしい、っていうそういう貼り方……じゃないかなと。ネットとかを見ると、90年代前後のBMWの慣例に倣った「M3X0i」とかって結構定番の貼り方のようではあるんですが。
 なんとなく哀しいものがあるので、ステッカー剥がしを買ってきて炎天下で剥がし、330iロゴと対称の位置に貼りなおすことにしました。アルミペダルやMスポーツステアリングとあわせて、こういうことはするのに足回りやマフラーはノーマルのまま(オプションのマフラーカッターは付いてましたが)使い込まれた形跡や、意味不明のリアローラーブラインドを見ると、「M3が欲しかったけど、家族のことを考えると2ドアのM3は買えない、330iが買える余裕のある走り好きなお父さん」が乗ってたのかなあ、という想像をしてみたのですが、どんなもんでしょ。


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