10/18「体育祭論」
ということで、季節は体育祭ですよね。だからいつも微妙に遅いんだよ高御君は。そもそも時節に乗った話題を提供しようなんてこれっぽっちも思っちゃいないわけなんですけど。
とはいえ、以前も書いた覚えがありますが、あんまり体育祭にはいい思い出がないんですよね。
というのも、あたしなんかはもう絵に描いたような運動音痴で、ドッヂボールなんかやろうとしてチーム分けがあると、どっちがどの負の資産を背負い込むかを決める逆ドラフト会議の常連でしたからね、体育祭なんていい思い出あるわけがない。
だいたいクラスに一人二人くらいものすごい勝負にこだわってる人とかがいて、そいつがこれでもかってくらい熱心に仕切ってて先生もそれを満足げに見てたりするだもんでさ、こっちとしてはなにも云えないのな。
まあそれでもかけっこしたりなんかは一応楽しくはあったし、健全な男の子だったので好きな女の子がブルマ姿で走ってるのなんかを見れば一応どきどきしたりはしたものでして、それは別にいいんですけども、当時から納得がいかなかったことが二つばかりあるんですよ。
ひとつはまず行進ね。入場行進とかそういうあれなんですけども、なんかもうその前の体育の時間とか何時間も使って行進の練習とかするんですよ。なんだあれ。
だいたい、「行進が揃ってなきゃダメ」というそういうあれ自体がなんかどこかの社会主義国みたいでアレですけど、それを練習させられた挙句ちょっと乱れただけで怒られるとか意味わかんない。なんで揃ってなきゃいけないんだ。あれは子どもがどうこうよりも学校のいびつなプライドの塊ではないのか。今でもああいうのはやっぱりあるんでしょうかね。あるんだろうなあ。
もうひとつはあれですよ、騎馬戦ですよ、騎馬戦。
騎馬戦ってきこえはいいですし、もしそれが純粋に競技として行われるとすれば「ただ単に帽子の取り合い」とかでしょうけど、たいていそうじゃないじゃないですか。だいたい殴はる蹴るの暴行が公然と行われる公開処刑じゃないですかあれ。とか書いたところでうちの中学だけだったら単にあたしがいた中学校がいまどき類を見ない特攻の拓状態だっただけだという話になってしまってアレですけど。日野一中の皆さんお元気ですか。僕は疲れ気味です。人生に。
あたしが中学生のときもやっぱり騎馬戦というのがありましてね、あたしなんか基本的にあれじゃないですか、非暴力非服従非度胸非モテの平和主義者かつ童貞じゃないですか。童貞関係ないだろ童貞は。だから誰に向かって怒ってるんだ。
いやまあとにかく、人を殴るとかそんな恐いことできませんわ、みたいなお嬢様っぽいことを云ってみても、股間におちんちんが付いている性別の人は全員強制参加なわけでして、しかも股間におちんちんがついてないほうの性別の人たちはそれを今まで以上に熱が入った応援で支えるという構図ができてるわけでして、これはもうどうしようもない。こんな使いどころのないおちんちんなら取れちゃえばいいのにどうせずっと使わないんだし。わかんないだろそんなの使うかもしれないじゃないか。なんか奇跡とか起きるかもしれないじゃないか。
なんというか、学年の暴れん坊将軍たちが、今日だけは先生公認のもとで弱い生徒に殴る蹴るの暴行を加えることができ、それを女性みんなが応援するという、なんてかアレだ、古代ヨーロッパとかのコロシアムで奴隷が虎と戦わせるのを見世物にしてたようなそういうあれですよ。
で、しかも間の悪いことにじゃんけんだかなんかで負けて馬の前になってしまいましてですね、馬の前なんてあれですよ、車で云えばバンパーとかですからね、事故ったら真っ先にくしゃくしゃになるところじゃないですか。エアバックとかにまったく守ってもらえないポジションじゃないですか。
騎馬戦でもそれは同じで、いわゆる盾ですよ盾。なんでそんなところにあたしを配置しようとしたのかまったくわからない。そこは一番頑丈な人を配置すべきではないのか。もう勝つ気なんかまるでないんじゃないか。
で、競技が開始されるじゃないですか。
いちおうそこにはあたしが当時好きだった女の子とかの視線もあるわけでして、まあ活躍はできないにせよ華々しく散ろうくらいのことは思うわけでして、突っ込んでいくじゃないですか。
そしたらそこにいたのが学年でも有数の特攻の拓系の人だった武藤君ですよね。武藤君、基本的に容赦とかしないですからね、もう日本は廃藩置県も行われているというのに、隣の中学校に攻めていくとか全国統一とかそういう群雄割拠の世界に生きていた人ですから、ものすごい勢いの蹴りを一発腹部にいただいて轟沈ですよ。華々しいとかそういうレベルじゃない。大げさな表現抜きで10秒くらい目の前が真っ暗になった。しかもその後ほかのメンバーに「あれくらいで倒れるなよ」とか集団で責められてもう涙も出ませんよこんなものは。倒れるっつうの。考えてもみろよ。
っていうかこんなものはどう考えてもただの暴力じゃないかと思うんですが、先生なんかも楽しそうに応援してたりして、ますますこれはコロシアムだよなと思うわけです。なんであんなものが容認されていたのかまったくもって理解できない。
今では運動会はみんないっしょにゴールして順位を作らないゆとり教育云々などという報道がありましたが、そんなことよりもまず騎馬戦をなくすべきじゃないかとこう思うわけです。
ところがですね、これが高校に上がるじゃないですか。
あたしが通っていた高校の体育祭は、いわゆるベタな「体育祭」というのは存在せず、ベースが「球技大会」で、そのあとにリレーとかそういう体育祭っぽいものがちょっと付随するという形でして、この球技大会は全員参加だったんですが、そのあとの体育祭っぽいものはクラス選抜で全員参加じゃなかったんですよ。
あたしみたいなのが当然そんなものに選抜されるわけもなく安心していたところ、急にリレーに参加する予定だった奴らがさぼって逃げ出したために、たまたまその場にいたあたしら文化系どもが仕方なく引っ張り出されて、他のクラスの強豪の前に著しい差をつけられて負けると云うハードな晒しもんというか、アフリカの水泳選手のオリンピックみたいになってたりしたんですが、この体育祭風のものの見所は「棒引き」という競技だったのです。
これがどういう競技かと云えば、フィールド中央に竹製の、太さ15センチ長さ3メートルほどの棒が何本か置いてあり、フィールド左右に分かれた連合軍が合図とともにその棒に殺到し、それを自分の陣地まで持ち帰れば一本につき一点という非常にプリミティブながら血と暴力の匂いがぷんぷんする競技なわけです。
もうここを読んでる人にはすっかりおなじみでしょうけど、あたしがいたのは男子校でして、男子校というのはさらにもうなんていうかあれですからね、基本的に性欲とかそういう高校生が溜めがちな欲求が全部フラストレーションに変わる環境ですからね、こんな競技やれば大変なことになるのはわかりきってるんですけど、予想通りもうすごいことになってた。
ヨーイドンで真ん中にある棒に走っていく参加者。そして棒には目もくれずいきなりとび蹴りを相手にかます参加者。もうその様子があまりに綺麗過ぎて脳裏にくっきり焼きついてるくらい綺麗なとび蹴りだったもの。もう棒拾う気とか最初から皆無としか云いようがない。
あとはもう棒とかわりとどうでもいいっていうか、まあ余裕があれば持って帰ればいいんじゃね?くらいの感じで、基本的には単なる殴る蹴るの学校公認公開喧嘩で、女性の黄色い声とはまた違った、なんというかこう直接的にキルとかデスとかそういう感じのニュアンスの言葉が飛び交う単なる暴動の現場みたいになってて、もう誰も棒なんか狙ってないの。
こうなってくるとあんなもんに出なくてよかったなあとかそういうあれですよね。もう見てるだけでちょっとおしっこ出そうになってたもの。
それでまあ、一定時間が経つと笛が鳴って両軍ともに自分の陣地に戻って取ってきた棒を数えるんですけど、笛が鳴って土煙が消えると、そこにほとんど残ったままの棒と何人か倒れたままの人という、まさに鎮圧された暴動みたいになってたもの。よく死者が出なかったなあれ。
当時は男子校だった母校も、あたしが卒業した数年後に共学になると云う、なんというかもっとも屈辱的な形と云いますかそういうお前ちょっといい加減にしろというようなあれでしたが、共学になった今でもあれはやってるんでしょうか。やってたらやってたで怖いけどあの雰囲気は男子校がゆえの溜まりきった何かを発散させてるだけなような気はするな。
なんてか、そうじゃないんだと思うんですよ。
あたしが望む体育祭ってのはもっとあれですよ、終わった後のフォークダンスで好きな女の子と手をつないでその手の暖かさにどきどき、みたいなそういうあれですよ。お互いにちょっと照れながら指先が触れたときの感触とそのときの甘酸っぱい思いとそういうあれであって、それでこそ青春てもんだと思うんですよ。
いいよなあフォークダンス。今になって冷静に考えてみれば、あんなに素敵なイベントないよいやマジで。マイムマイムでもオクラホマミキサーでもジェンカでも魔王でも平調越天楽でもいいけど、合法的に女の子と手を握れてさらに踊りまで踊れるんですからね、しかもなんだろうな、しばらくすると次の人に入れ替わらなきゃいけない、ってのがまたいい。なんてか、限定された素敵な時間って感じがするじゃないですか。そういうどきどきですよ忘れちゃいけないのは。
そもそも基本的にフォークダンスなるものが体育祭で行われるものなのかどうかはあたしは経験ないので知りませんけども、なんかそういうイメージがあってですね、やっぱりどきどきしたいじゃないですか。どきどきすることやめられなーいーオーイエーじゃないですか。
もうさ、とりあえず現状生きている上で当面の目標が「女の子と手を繋ぐ」ことなあたしとしてはこれはもうなんというかあれですよ。オフィシャルで暴力を公認するならもっとこういう甘酸っぱい想いをみんなに経験させるべきだと思うんですよ。まあなんだろうな、あたしもいちおう教育学部出身ですからね、ちょっとした教育改革案ですよね。云ってること自体は童貞の戯言ですけど。
うるさいうるさいあたしのような魔法使いをこれ以上生み出さないためにはどうしても必要なんだよちくしょう。女の子と手を繋ぎたいなあ。
なんだその終わり方。
<近況報告>
アニメの『とらドラ!』がなんか面白くなってきたよ! あたしはもうダメかもしれない。後藤さんがんばりすぎだと思うの。
逆にどんどん微妙になっていく『あかね色』と、ちょっとだけ面白くなったかな?という『今日の5の2』。『かんなぎ』『CLANNAD After Story』は鉄板なんでおいとくとして。
主題歌として印象的なのは『かんなぎ』のOP・EDと『今日の5の2』のEDはちょっと好きかもなあ。『とらドラ!』はOP・EDともに迷うところ。聴きなれてくるといいのかも。
> クラナドアフターの芽衣ちゃんがかわいくてしょうがないんですけど。
いやほんとにそうだと思った。もともと好きなキャラではあったけどアニメでもう株価大暴騰。三話の芽衣とかもうマジヤバイ。あれか、これが田村ゆかり効果なのか……!
> 久しぶりだね!まみちゃん待ってました!
> まみちゃん生きてたのか……
> まみちゃん小説化を希望します!
なんでこんなに人気なんだまみちゃん。ただの妄想の産物だよまみちゃん。っていうかそもそも誰なんだまみちゃん。
> まみちゃん復活おめでとー つかあれですよ、生き方不細工ってのは意外ともてますぜ。
そうなのかなあ。まあそれに加えて性格とか顔もアレだからやっぱりダメなんじゃないかなあ。
> じゃあなんて呼べばいいんですか!!!
「高御さん」「高御」「ゆいにゃん」好きなのをお選びください。
> 学園祭ですか…その時は急に彼女がコギャル化して、二股かけられたりされてました…
よくわからないけど学園祭ってそんな夏休み的なイベントなのか……。
> 他人の言う『不幸』や『苦労』は我々には日常茶飯事だと思えませんか?
思いますね。あたしくらいの奴はなかなかいないぜと。で、その思われた相手もまた同じこと思ってるんだよね。結局不幸ってそういうことだと思うんだよ。まあそれでも自分がつらいなら結局同じことなんだけどもね。
> とっぱら面白いよー
キャラメルBOXか……っていうかアレだ、今書いてる『おいでくださいこっくりさん』と思い切りネタ被ってそうでむちゃくちゃ怖いな!
> き○めき高校があれば行きたかったとは思いませんか、マスター?
あなた方もあれですね、いろいろな呼び名を考えますねしかし。でもあれです、あの高校はなんか恋愛方面に対してものすごくシビアなのであたしみたいな性格の人間にはすごく生きづらそうです。なんかイジメとか受けそう。この童貞!不細工!とか云って。ご褒美です!
> 運が悪いのも障害として認めてほしいものですね。もち一級で。
うん。あと顔のつくりが悪いのもね。
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